ナチュラルサイコパス2人に囲われていたが、どうやら俺のメンヘラもいい勝負らしい。

仔犬

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暗中模索

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だけどそれは見てるのが辛くなるくらいの、自分なんかどうでも良いみたいなそんな目でさ。本気じゃ無いって分かってるし、俺の心が痛くて思わずため息が出た。


「……それ本気にして了承したら英羅はどうすんの」

「どうもしないよ。ただ俺はここにいるだけ」

「それとも何、俺が英羅と寝たらもう少し幸せそうにしてくれるのか?」


ぴくりと英羅の眉が反応した。
どうやら俺の一言は気に障ったらしい。ごめん、これはお節介だって分かりながら言ったんだ。英羅のその自嘲的な笑顔の理由が分からないから本心を出て来させるために。


「幸せ……父さんも母さんもいないのに?」


初めて泣きそうな傷ついた笑顔を見てその時やっと思い出したんだよ。

高校もあと少しって頃からお前学校来なくなり始めて、卒業式にも英羅は参加しなかった。
連絡しても繋がらない、誰も行方を知らないし教師に聞いても渋い顔するだけ。そんで俺は風の噂で英羅の母親が亡くなった事を聞いた。

だけど当時はそんな深く考えてなくて、時間も過ぎてたし忙しいんだろうなとか、誰にも会いたくないのかもとかそんな事考えててさ、もう情けなくなった。
だって結局何も出来ないで、そのまま俺は今日まで生きてしまった訳だ。



「ごめん……俺あの時なんも気付けてなかった」


思わず頭を下げて謝った。
母親が病気って知ってたけど、父親まで病気なんて聞いたことがなかったから。
そこだと思った。そこに何かきっかけがあったんじゃないかって、ここまで英羅を変えたのはそれしか無いって。何も根拠無かったけど、そんな気がした。
 
だけど英羅はまた無機質な口調で話し始める。


「なあ初早希……俺のお願い聞いて欲しい」

「え……?」

「簡単だよ。どこの会社でもいいから内部まで知ってるところがあれば情報をまとめてきて欲しい。あとその近くにあるアパート……そうだな本当に安くて必要最低限の部屋でいい。あとは辺りの町の情報とか、写真もあればそれも全部。とにかくまるでそこに働けて生活が出来るくらいの情報」

「待った、なに、何だよそれ。どう言う」


いきなりのお願いにもちろん意味がわからなくて英羅の瞳から少しでも何かを読み取りたかった。だけど瞳は答えてくれない。表情も変えず淡々と話を続ける。


「別にどこにも漏らしたりしないし、ただテレビとか見ると吐きそうになるけど人から聞いた限定した情報なら大丈夫なだけ。また次も今日みたいに無理矢理押しかけて、それで俺だけに教えて」

「だから何が……!」

「死にたいんだよ」



静かだった。
静かな声ではっきりと英羅は言ってた。
俺が感情を剥き出しにしてもその瞳には何も写ってない。英羅の綺麗な目には多分俺も写ってないんだ。



「でも死ねないから、こうして頼んでる」



その言葉はやばい事だって分かってるのに。だけど断ったら全てが終わりそうな何も希望が無くなるみたいな、そんな気にさせる声だった。

頷いてた。いつの間にか頷いてたんだよ俺。



「……ありがとう」




そこで安心した表情するなんてずるいだろ。


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