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光芒一線
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しおりを挟む「え、え、てか来夏ってあんな風に、怒る、のか……?」
俺の知ってる来夏は怒るとしてもだいたい悲しむとか拗ねるとかが多くて、怒るとしても知秋に怒るのは見たことあるけど俺に対してあんなに静かに笑顔で怒る姿は初めて見た。
しかも一方的にキレるというか、俺の話を一切聞かないなんて初めてだ。
「あ?あいついつもあんな感じじゃねえか」
興味なさげに知秋は煙を吐く。俺は足枷、いや手錠を引きずり知秋の元に行く。
「全然違うじゃん、2人の言い争いで怒ったりとかはあるけどあんな」
「だから言ってんだろいつも、あいつはサイコパスだって」
「いや俺から見たらお前も相当サイコ……」
「だいたいそのベルトだって最初に考えたのあいつだしな」
「ええ……」
来夏よ、お前なのかこの足枷発案者……。
俺の可愛い来夏の記憶が消えるわけでは無いが彼があんな風に怒るのは強烈な出来事だ。驚く俺に知秋がぽつりと言う。
「まあ、お前にあのモード見せるなんて珍しいけどな。今までじゃあり得ねえよ。相当頭にきたんじゃねーの……まさか、あのモードのあいつにおねだりかますなんて英羅はやっぱり英羅だな。わがままモードのお前が戻って来たかと思ったわ」
くつくつと笑い出す知秋だが俺は俺で大反省。メイラみたいな事をしてしまったのかと思うと非常に罪深い。いやむしろメイラならやりかねない事でもメンヘラでも無い俺がやる方がやばいやつでは無いか。
ああ、どちらにせよ最悪だ。
「くそおお、だいたいお前なぁ……今くらい俺に優しさを見せてくれよ」
「まさか、俺には好都合。あいつに怖がったお前は俺のとこに擦り寄るしかねえだろ」
ニヤリと言った知秋は本気なのだからこれまた笑えない。
とにかくだ。本当に怒らせたなら来夏にはきっちり謝らないといけない。一度会ったことがある人間なら外も出ないし2人もいれば許可出るかな、なんて甘い考えだった訳だ。もっと慎重になれ俺。
「……で、結局誰なわけ?メイラが会った人」
「……お前も本当にめげねえな」
俺がめげたら試合終了だからな。
呆れ果てた知秋は結局教えてくれなかったけど、それでもしつこく聞いていると知秋のポケットから着信音が鳴り響く。
「……最悪だ」
知秋がこれでもかと眉を寄せスマホの画面を見ている。俺はそこに何か新しい風を感じたのだ。
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