ナチュラルサイコパス2人に囲われていたが、どうやら俺のメンヘラもいい勝負らしい。

仔犬

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依々恋々

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「……こんの、ネガティヴが!!!」


真っ暗闇に落ちそうな知秋の顔を両手でぺちん!と叩いてやる。可愛い音だ、これくらい許せ。ちょっと赤くなったけど知ったこっちゃない。

「……いってえな英羅!」

「え、英羅?」

知秋の首根っこを掴んで俺から引きか剥がし、目の前に座らせる。来夏にも無言でベッドの上をバシバシ叩きアピールし俺が正座すると2人は思わず同じように正座をし始めた。
俺たちは全員、叱る方も叱られる方も問題があるので今回だって変わらず俺も正座。

そうだ、朝から28歳の男3人で正座の反省会だ。


「いいか、この家にはメンヘラクソビッチニートの経歴がある俺と、おそらくそれにやられたサイコパスのお前らしかいないんだよ」

「ク、クソビ……英羅あんまり汚ない言葉は……」

来夏が青い顔で俺の言葉遣いを正そうとするがピシッと手を上げてストップ宣言。


「いいから聞く!とにかく、この家はなぁやばいわけよ、1人狂ったら全員道連れのやばい橋を渡ってるのと一緒だ。あ、勘違いするなよ、出せって言ってるんじゃない」

「つ、つまりなんだよ」

俺の勢いに押され気味の知秋が背中を曲げて俺の視線に合わせて聞いてくる。そうだよ、お前はほんとはそうやって相手に合わせられる優しい奴だ。

「死ぬとか、悲しい言葉は禁止」

「……英羅」

「これは俺自身にも言ってるけどな、正直俺だって早くあの世に行きたいってここにくるまで思ってたけど、2人見てたら危なっかしくて置いてけないし……あと、メンヘラクソビッチニートにもどうにかしてもらわなければいけない」

「え、英羅ごめんなさい!あの、どうしてもその、英羅からそこまでひどい言葉使いは聞きたくないというか、あの、その、ごめんなさい」

なんかどうにも来夏の中の俺って美化されてる気がするが、こんなに説教中の俺にあの来夏が口出すくらいだから相当嫌みたいだ。何かいい案は無いかと思い、2人の知る俺にあだ名をつけた。
だいたい分かりにくいしな、どっちも英羅じゃ。

「じゃあお前らのよく知る俺はメイラな」

「あ?」

「メンヘラ英羅、略してメイラ」


ほんとはど畜生とか色々あるけど来夏が気にするからメンヘラのメだけ取り出した。

「とにかく、メイラにもそれを解らせたい」

「何言ってんだ……」

「いや、よく分かんないけど。実際にメイラは居たわけだろ?俺とは全く違うとはいかないけど確かに存在してた俺、ならどっかにまだいるんじゃ無いかなって例えば……ほら例えば俺がいた世界線で俺の代わりに働いてるとか」


なんとも非科学的な話はもちろん適当に言ったわけだが、来夏と知秋はそこで視線を合わせた。そして困ったような顔で同時に俺を見る。


「メイラは絶対働けない……」


まさしく引きこもりニートに向けられたような憐れみだった。俺じゃ無いのに俺が傷つくだろ。










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