ナチュラルサイコパス2人に囲われていたが、どうやら俺のメンヘラもいい勝負らしい。

仔犬

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依々恋々

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「当たり前のように家にいるなよ……」

「お前の父親から頼まれんだ、仕方ねぇだろ」


知秋は何故か誇らしげだ。
そうなのだ。母さんがまた入院してしまい、父さんは夜勤が増え、俺は流石に夜勤はできないから必然と夜1人になるからと知秋と来夏に連絡したのだ。全く心配症なんだから。


「てか何でいつの間にか父さんの連絡先知ってんだよお前ら!」

「会った時に挨拶した」

「あいさつう?」

来夏も同じくうなずくので、どうやら本当らしい。

「なんて」

「息子さんを下さいって」

「嘘つけ」

流石にそんな事言ったら父さんに何か言われるだろ俺が。来夏が俺の袖を引っ張った。

「知秋本当に言ってたよ。僕もだけど」

お前もかよ。

「はあ?!」

「でもお父さん冗談だと思って笑ってた」

「まあ、そうだろよ……馬鹿なのか」

母さんが聞いたら大笑いするぞ。一生語り継ぐぞあの人。

「まあ、そのあとに息子さんと仲良くさせていただいていますって普通に。良かったら英羅の学校の写真なんかを送りたいのですがって言った」

「も、もっともらしい理由つけやがって」

「でもこうしてお前と居れる」

「僕も嬉しい」

くっ、沁みる。2人の友情パワーにバイトで疲れた体が沁みるぜ。

「まあいーけど、てかどうする?飯食った?」

「腹ペコのお前に特上弁当買ってきた」

「僕は甘いもの」

「まあじでええええ。愛してる2人とも!!」


抱きついたらいつでも受け止めてくれる2人に俺もそれなりに甘えていた。最近夜は1人ばかりでそれならもっとバイトを増やしてしまえとも思っていたから、もしかしたら父さんはそれを心配してこの2人を呼んでいるのかもしれない。

抱きついて知秋の腕が遠慮がちに背中を撫でる。普段男前なのにこう言う時だけ割れ物でも触るようなのだ。


「……お前、また痩せた」

「え、そうかな。でも時間あるなら働きたくて……あ、だけど居酒屋の賄い美味いから幸せなんだよなぁ」


知秋が眉間に皺を寄せて心配そうにするから慌てて食べてるアピールだ。本当にそれなりに食べている、と思う。

「父さん頑張ってるし、俺だけ楽すんのは違うじゃん」

「……英羅」


こう言う話をするとしんみりしちゃっていけない。ガバッと立ち上がり、とにかく風呂だ。


「食べたいけど先さっぱりして来ていい?」

「うん。用意しておくから、言っていで」


来夏が微笑むとなんだか家に帰ってきた感じがして肩の力が抜ける。俺って案外疲れてたんだ。

「早く入んねえと俺らも風呂突撃するからな」

「なんでだよ!せめえだろ!」

「……そこじゃねえだろ」


知秋のため息。

ならどこだ。
何故そこで呆れるのかも教えてくれ。

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