ナチュラルサイコパス2人に囲われていたが、どうやら俺のメンヘラもいい勝負らしい。

仔犬

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依々恋々

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「英羅おはよう」

「はよ~」


来夏は普段から朝早くに学校に行く。教室の騒がしくなる前の景色が好きだった。そして最近加わった楽しみが英羅との時間。

「今日もバイト?」

「うん!早朝の仕込み手伝い!」

最近バイトを増やした彼は朝まで働いているようだ。だけど学校の開始時間よりも微妙に早く終わってしまい家にいて寝る可能性があるより登校してしまおうといったものだ。だがすでに英羅の瞳が半分閉じかかっている。

「眠かったら、寝たほうがいい」

「そうしようかなぁ」

すると何故か英羅が来夏の方に移動してきた。床に座り込むと寝やすい位置を探し始める。来夏は何となく、もたれかかるものが欲しいのかと思い自分も英羅の横に座り込んだ。

「なに……来夏も寝んの?」

「君が倒れそうだから」


もう半分夢の中で来夏はありがとうと呟いた。すぐに穏やかな寝息が聞こえてくる。

不思議な気持ちだった。来夏は英羅といるといろんな色が見えてくるから落ち着かない。それは暖かいようなそこからどす黒い何かがどろっと溢れるようなそんな危ういものだった。

しばらく英羅の寝顔を見つめていると、珍しくこの時間に足音が聞こえる。人が来るにはいつもより30分は早い。

ガラリと空いた教室のドアから見慣れた姿がこちらに向かってくる。

「……珍しいね」

「お前もな……」

来夏が誰かに肩を貸すなんて見たことがない。

知秋の目も来夏には見た事もない色をしていた。英羅を見てぎらぎらと何かを食らいつこうとする瞳。この男はこんなに感情的にだったろうかと来夏は静かに考え、やはりそんな記憶は何処にもない。

全部英羅が変えたのだ。


「上着貸して」

「あ?」

「英羅に掛けて、僕今脱げない」


起こしてしまうと言いたいらしい。いつもならこんなに分かりやすく来夏は話さない。論理的な知秋と来夏は話し方も真逆だが、英羅が関わることはやけに分かりやすかった。

知秋は適当にカバンを置き制服のブレザーを脱いだ。すっぽりと英羅が埋まると知秋はやけに充実した気持ちになった。自分のものに包まれる英羅がたまらなく欲しくなった。

もう少し可愛げのある気持ちなら、日々はの心情は穏やかになるのかと知秋は思う。

ざわついた心は2人とも同じだ。色は違くても、求めるものが同じ2人だから。
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