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言いつけ通りドアの前に服が置かれていた。
またお高そうで凝った服は来夏の趣味なのだろうか。
「今日はレースか……レースかよ……」
レースのワイシャツって初めて見たんだけど。そのシャツはオーバーサイズでロング丈と羽織り代わりらしい。下はノースリーブとセンターラインの入ったパンツ。今日は全身白コーデだ。
一応メンズらしいが、どうせ部屋から出す気がないのならおしゃれしなくても……まあ、裸よりは良い。これくらいは受け入れよう。
「いや、部屋から出してもらわないと困るんだよ!」
危ない、何としてでも服は着るべきだ。
おしゃれも積極的に取り入れよう。とにかく外に出ることは重要だ。俺が本当に外に出ていなかったとするとベランダすら拒否していたのも頷ける。
あいつらももう少し外の環境に俺を出す事を慣れるべき。
洗面台に置かれていたワックスを発見し、髪の毛を整える。そういえば俺、顔の出来栄えは中々だったんだ。
父さんも母さんも美男美女でさ、俺は二人おかげで二重とバランスのいい顔を貰った訳だ。親友に身長は大きく抜かとされたがあいつらがでか過ぎなだけで175とそれなりだ。
それにしてもこんなに若返るものなのか、食べたものとかが違うのかあとは外に出てないから日焼けのせいとか?
「あれ、てか……髪短くなってる」
これまた不思議な話。でも確かめようのないことは今は後回しだ。
兎に角、アイツらのキラキラフェイスのせいで忘れそうになるけど、使えるなら自分の顔もぜひとも活用していきたい。どう活用すんのか検討もつかないけど見た目から入ることは重要。だからヘアセットも毎日しよう。
久しぶりのセットはもともと手先は器用なので案外上手くいった。見慣れたモカベージュような髪に束感を持たせパーマ風にアレンジ。
「よし」
廊下に出ると良い匂いがする。
今日は何のご飯だろう。そう言えば用意できてるって言ったけど、来夏が作ってるのか?確か2人とも頭と運動神経はいいけど家事は壊滅的だった気がする。
「英羅!何だよセットなんかして珍しいな、俺のためにしてんのか……いいな、そそる」
キッチンからペットボトルを持った知秋が俺を見つけ駆け寄ってきた。顔を見るなり甘ったるい笑顔と色気を毒ガス並み吹き出した。
これだ!このまずはこれをどうにかしないといけない。
「ストップ!!」
知秋の顔の前にピシ!!っと手の平を突き出すと身体をピタッと止めた知秋の眉間に皺が寄る。
「まだ不機嫌なのかよ」
「不機嫌……いや、そうじゃない……来夏!」
「え?!あ、はい!」
俺の声の大きさにびっくりして固まっていた来夏も呼ぶと俺の前に駆け寄ってきた。
俺はリビングを改めて見渡す。
朝食の良い匂いが腹をすかせるがまずはやらなければいけない事がある。一面ガラス張りのこの広いリビングダイニングでこれまた大きなテレビとソファを見つけた。その横のスペースには何もない。
「あっち行こう」
2人をそこまで移動させる。
右側は高層マンションらしい超絶絶景だ。そして俺の前に不思議そうな顔で2人が並ぶ。
「知秋、来夏」
「ああ?」
「な、何?」
不満と困惑対照的な顔をした2人を前にも俺は腰に手を当てた。
「まずは正座だ、そこに座れ」
またお高そうで凝った服は来夏の趣味なのだろうか。
「今日はレースか……レースかよ……」
レースのワイシャツって初めて見たんだけど。そのシャツはオーバーサイズでロング丈と羽織り代わりらしい。下はノースリーブとセンターラインの入ったパンツ。今日は全身白コーデだ。
一応メンズらしいが、どうせ部屋から出す気がないのならおしゃれしなくても……まあ、裸よりは良い。これくらいは受け入れよう。
「いや、部屋から出してもらわないと困るんだよ!」
危ない、何としてでも服は着るべきだ。
おしゃれも積極的に取り入れよう。とにかく外に出ることは重要だ。俺が本当に外に出ていなかったとするとベランダすら拒否していたのも頷ける。
あいつらももう少し外の環境に俺を出す事を慣れるべき。
洗面台に置かれていたワックスを発見し、髪の毛を整える。そういえば俺、顔の出来栄えは中々だったんだ。
父さんも母さんも美男美女でさ、俺は二人おかげで二重とバランスのいい顔を貰った訳だ。親友に身長は大きく抜かとされたがあいつらがでか過ぎなだけで175とそれなりだ。
それにしてもこんなに若返るものなのか、食べたものとかが違うのかあとは外に出てないから日焼けのせいとか?
「あれ、てか……髪短くなってる」
これまた不思議な話。でも確かめようのないことは今は後回しだ。
兎に角、アイツらのキラキラフェイスのせいで忘れそうになるけど、使えるなら自分の顔もぜひとも活用していきたい。どう活用すんのか検討もつかないけど見た目から入ることは重要。だからヘアセットも毎日しよう。
久しぶりのセットはもともと手先は器用なので案外上手くいった。見慣れたモカベージュような髪に束感を持たせパーマ風にアレンジ。
「よし」
廊下に出ると良い匂いがする。
今日は何のご飯だろう。そう言えば用意できてるって言ったけど、来夏が作ってるのか?確か2人とも頭と運動神経はいいけど家事は壊滅的だった気がする。
「英羅!何だよセットなんかして珍しいな、俺のためにしてんのか……いいな、そそる」
キッチンからペットボトルを持った知秋が俺を見つけ駆け寄ってきた。顔を見るなり甘ったるい笑顔と色気を毒ガス並み吹き出した。
これだ!このまずはこれをどうにかしないといけない。
「ストップ!!」
知秋の顔の前にピシ!!っと手の平を突き出すと身体をピタッと止めた知秋の眉間に皺が寄る。
「まだ不機嫌なのかよ」
「不機嫌……いや、そうじゃない……来夏!」
「え?!あ、はい!」
俺の声の大きさにびっくりして固まっていた来夏も呼ぶと俺の前に駆け寄ってきた。
俺はリビングを改めて見渡す。
朝食の良い匂いが腹をすかせるがまずはやらなければいけない事がある。一面ガラス張りのこの広いリビングダイニングでこれまた大きなテレビとソファを見つけた。その横のスペースには何もない。
「あっち行こう」
2人をそこまで移動させる。
右側は高層マンションらしい超絶絶景だ。そして俺の前に不思議そうな顔で2人が並ぶ。
「知秋、来夏」
「ああ?」
「な、何?」
不満と困惑対照的な顔をした2人を前にも俺は腰に手を当てた。
「まずは正座だ、そこに座れ」
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