ナチュラルサイコパス2人に囲われていたが、どうやら俺のメンヘラもいい勝負らしい。

仔犬

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異常事態

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瞳孔が開いて、アニメみたいに髪の毛が逆立って見えるくらい2人の雰囲気が一瞬で変わった。どうかしたのか、ここは全棟禁煙かなんて聞く間もなく立っていた俺はソファに戻され知秋に押し倒される。なんだそんなに怒ることを言ったのだろうか。

殺気とは違うけど緊張感が一気に張り詰めた。
知秋は俺を見つめたまま焦ったような怒りの声で来夏を呼ぶ。

「……来夏、こいつに変なもん飲ませてねぇよなぁ……ああ?」

「するわけないでしょ、だいたい薬使う時はお互いの目の前でってお前が言ったんだ。約束僕が破ったことある?」

「……じゃあなんでこいつからタバコなんて言葉が出んだよ?!」

「知らないよ!それにこの部屋に来た時からすでに起きてソファにいるのも珍しいし……その時から少しいつもと違ったかも......」

「違うって、何が」

「僕を見て驚いてたというか」

当たり前だ。何年ぶりに会ったというんだ。
思案する来夏に知秋が鼻で笑って返す。


「お前が仕事で居ないから裏切られたと思ってたんじゃねぇのか」

「お前だって一緒だろ!英羅は朝からうるさいお前より僕の方がいいに決まってる」

「殺してやろうかテメェ……」


あーあ、相変わらずすぐ喧嘩するなこいつら。それなのに昔から何故か2人でいるから不思議だったけど、俺は2人が一緒にいてくれて楽しかったんだよな。

それに喧嘩を止める術を俺は知っている。最初は心配ですぐ止めてたけど、この2人って喧嘩してる方が多いからだんだん慣れてきて、しかもポンポン会話するから面白くてさ。じっくり見てちゃんと楽しんでから最後に止めるんだ。

こうやって。

「知秋、落ち着けって」

上にいる知秋に両手を伸ばして首に抱きつく。びくっと身体を震わせるとおずおずと俺の背中に手が回ってきた。俺も知秋の背中をゆっくりと撫でる。

「お前は頼りになるし、うるさいとか思ってないよ」


耳元でそう言えば腕に力が入ってしっかりと抱きしめる知秋。すると知秋の肩越しに来夏と目があった。困惑しながらもちょっと悔しそうで、ちょっと寂しそうな目。知秋と仲良くしてるとこういう顔するのも変わんないなぁ。

「来夏もおいで」

片方の手を来夏に伸ばすとゆっくりと近づいて俺の手を取り頬に置き、手に擦り寄る来夏。相変わらず陶器みたいに綺麗な肌だ。さらりと撫でて笑いかける。


「2人とも、仲良くしような」



いつだってこうすれば不満げにしながらも2人の喧嘩は収まるのだ。2人から手を離すと寂しげな表情。当時から俺に引っ付いて犬みたいでかわいかったなという記憶があったけど、今もでっかい大型犬になったくらいで何も変わってない。

さてと落ち着いたみたいだしとりあえずタバコ……はまた喧嘩しそうだから朝食か。


「よし、ご飯に食べるんだろ。そんでちょっと話、聞いてくれるか?」


また2人で目を合わせると、ゆっくりと頷いてくれた。

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