ナチュラルサイコパス2人に囲われていたが、どうやら俺のメンヘラもいい勝負らしい。

仔犬

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異常事態

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二人してごめんねなんて俺に謝るんだ。
謝るなら俺を残していくなよ。




「あんただけでも生きてて欲しかったよ、父さん」


呟いた所で煙と一緒に消えていくだけだ。誰にも届かない。あの世にいるなら、2人があの世にいてもう一度幸せなら、それだけでも分かればこの憂鬱は消えるのだろうか。

28歳になった。華の20代はもうすぐ終わる。
こんなにくたくたな日々で何も楽しみも色もない世界なら早く死んであの世で2人に会いたいと思う時があったって誰も責めはしないだろう。


「あーーー、夜はダメだな」



両手を目で覆って大きめの声を出す。隣の部屋のやつにうるさいと思われたかもしれないが。
良いんだ。どうだって。

早く寝よう、気が付くとあの時のことばかり思い出すから。夜中に考え事なんてロクな事がない。父さんも母さんも夜に消えていったのだから尚更だ。唯一の楽しみといえばタバコを吸うくらいだろうか。それもまた皮肉だ。


なんとか最後の力で歯磨きをしに洗面台を覗く。鏡に映る俺は痩せ細って長い髪は半年ほど散髪をしていないから顔をほとんど隠してしまうほど伸びていた。いい物なんて食べてないから肌はボロボロで老けてさえ見えるが今更自分の顔に興味もないから問題ないのだ。
軽くシャワーを済ませ布団に潜り込んだ。泥のように重い体が布団の中に埋もれていく。


せめて夢くらい幸せなものが見たい。
例えばそう、父さんと母さんが元気で笑っていたあの日々。それかあの二人と馬鹿なことではしゃいでいたあの時の夢を。






夢の中で誰かが俺に話しかけた。残念なことに両親でもあいつらでもない。
顔はわからない、でも男の声だ。



全部揃った。これでやっと……。



最後は聞き取れなくて、そのまま男は消えていった。

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