378 / 378
dance!!
3
しおりを挟む「秋、タイミングちょっとずれてる」
鶚は本当に才能の塊だった。
ダンスの俺の癖を一発で見抜くし、その彼がミスすることなど一度もない。と言うかマジで2回目の合わせで振り全部覚えてるって何、流石に俺でも7曲全部完璧に覚えるなんて無理だ。
その上めちゃくちゃ難しいが決め手となる振りまで持ってきてくれちゃったわけだ。
「なに、なんだよ!!バケモンかよみさご!!!天才!ばか!!!!」
ようやく休憩に入った途端ばたりとフロアに倒れ込んだリョウが鶚に向けて叫ぶ。悪口なのか賞賛なのかわからない言葉に鶚はお疲れ様とうなずくだけだった。
俺もぶっ通し練習で流石に息が上がってきて、額から汗が流れているが鶚は涼しい顔。
「でも鶚のおかげで、振りのインパクトマジで上がった。ありがとな~!」
ペットボトルを片手に持ちながら鶚に手を振るとコクンと頷くだけだ。相変わらず不思議な雰囲気だけど、嫌な感じは全くない。
この本格練習で汗ひとつかかない彼が、ヘッドイーターの一員だとしても。
「鶚さー最後のステップ合わせてくんない?いまいちリズム掴めなくて」
「うん、いいよ」
表情も変えずにまたこくんと頷いた鶚。平和だ。ずっとこうなら良いのに。
結局、いつも通りの俺でいくことにした。
瑠衣先輩も特にどうして欲しいとも言わないし、とにかく瑠衣先輩と一緒に行動するならそれでいい。と割と自由な返答だった。
だから鶚が何も言わない限り俺もいつも通りの俺でいこう。
水色の髪は今日も綺麗でダンスだって完璧で、ちょっと掴みどころがないけど面白い。今はそれだけで十分だ。
ただ困った事もある。
リョウがちょっとこい!!と手を振って俺呼ぶから近づいてみたら我慢の限界とばかりに叫び出した。そろそろ言われるかなと思っていたけど。
「なあ、なあ!なんであの人着いてきてんの?!しかも目立つし踊らないし!!」
踊らないのは俺も不服だ。鶚のことは置いといてせっかく連れてきたのに今日は見学でイーとか言ってすみっこ居るんだもん。俺だって踊ってくれるのかとウキウキだったさ。そっと近づいて瑠衣先輩に小さな声で話しかける。
「本当に見学なんすかー?」
「踊らなーイ」
やはり踊ってくれないか。
フードをすっぽりかぶってて黒いマスクしてるけどまあそりゃ目立つわけで、ダンスチームのみんなには俺の知り合いって事で瑠衣先輩を置かせてもらってるけどこれで踊り出したらさらに大変だろう。髪も隠してサングラスさせようと思ったけど流石に不審者になりそうでやめた。
「しかも……この双子!!ついにスタジオまで侵入しやがって!!!」
「えー、でも俺ら踊れるしー?」
「そー、邪魔してねーしー?」
同じ声で同じ顔で同じ向きに首を傾げた才さん神さんも瑠衣先輩の横に座って見学中だから尚更目立つのだ。目立ちすぎるし顔が整いすぎてキャーキャー言われてるけど3人で威圧オーラをだすから誰も近寄らないところが逆にすごい。
「せっかくなら見たいのになーお二人のダンス」
「んー後で個別になったらね」
「踊ってあげようかね」
2人のウインクが綺麗に決まって俺はガッツポーズ。
「マジっすか!良かったなリョウ」
「帰れー!!」
こんなに嫌がっててもダンス踊られたらリョウだって真剣に見るんだよな、そこリョウの可愛いとこっすよねと心の中で言ったのに神さんと目があって同意とばかりにまたウィンクがきた。
うーん、読まれている。
ふと瑠衣先輩と目が合うと首を出口の方に向けた。
「アッキー1回外出る」
「了解っす。てか逆に練習毎回来て平気なんすか。忙しいのに」
立ち上がった瑠衣先輩は覗き込んだ俺を見て、表情も変えずに言う。口元が隠れていたって、どんな綺麗な顔をしているかは覚えていた。
「オマエの優先順位、何位だと思ってんの」
不意に真面目に言われるから何も言えなくて、真っ赤になった俺をゲラゲラ笑うので、背中押してスタジオから速攻追い出してやった。
76
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(182件)
あなたにおすすめの小説
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
王様のナミダ
白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。
端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。
驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。
※会長受けです。
駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。
【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。
或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。
自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい!
そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。
瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。
圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって……
̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶
【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ
番外編、牛歩更新です🙇♀️
※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。
少しですが百合要素があります。
☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました!
第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
何度目かの周回しました。
もう更新はされないのでしょうか…
何度も見返してます!
続き心待ちにしております!!
この作品が面白くて何回も読み返しています!
気長に続きをお待ちしています。