sweet!!

仔犬

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dance!

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客のいるフロアに出た氷怜達は2階に上がり、奥の豪華な個室に移動した。ギラギラと光るグラスが並ぶテーブルとそれを囲む革張りのソファ。その1番奥に座っている男に氷怜は声をかけた。


「教師がこんな所来ていいのか」

「お前が呼んだんだろ、氷怜」


くつくつと笑う氷怜に日吉は眉間に皺を寄せながら足を組んだ。
学校でいつも見る白シャツに黒のボトムスタイルではなく、今日はラフなオーバーサイズのロンTにワンタックのボトムを穿いている。首に小ぶりなネックレス、革靴はシンプルだが洗練されたデザインだ。
いつも後ろに流す黒髪を今日は下ろしているせいかずいぶんと若く見える。そんな郷がニヤリと笑った。

「しかもまた面白いの連れてきたなぁ」

「……おいコイツ、老けねえってレベルじゃねえぞ」

指を刺して驚愕する李恩には日吉の姿が高校時代に見かけた時のまま、むしろ自分が大人になった分相手は若返っているのではないかと思うほどの衝撃がある。

「榊李恩まで引き入れたのか……おーおー、なんかデカくなってんな……中身は変わってねえみたいだけど」

屈託なく笑われると李恩は居心地が悪くなる。この手のタイプはいい意味で苦手だ。そんな2人に氷怜が鼻で笑う。


「郷が縮んだんだろ」

「もういっぺん1から叩き直してやろうか?」


氷怜にこれほどまでに言い返せる人間はかなり限られる。李恩は訝しげに2人を観察しながら、2人から1番遠い位置に座った。それこそ伝説を前にして気を紛らわすため胸ポケットからタバコを取り出した。

「あんなクソガキだったのに、嫌だね時の流れは」

「相変わらずじじくせえセリフだな」

「うるせえ、こっちは良い歳なんだよ。そういえば高瀬が前、榊と昔一緒にいた優男の話聞きたがってたぜ」

顎でも指名された李恩は最悪だと顔に書く。よりにもよって唯斗はなんでコイツに聞くんだと。

「そのうち、会えるかもな」


笑い出したのは氷怜だった。それこそ椎名と共にいつ学校に来てもおかしくない。喉で笑うと日吉の隣に座った。


「サクラはどうした?」

「シャンパンの一つくらい入れるわよねって消えてった。アレこそ老けねえバケモンだろ」

「相変わらず、クククッ」


伝説は伝説と繋がりがあるしどうやら同じく老けないらしい。そう思っても李恩は煙を吐くだけで言わなかったし春の事もよぎったが強めに肺に煙を入れて紛らわした。世界が狭いのか、この業界が狭いのか。

「……で、聞きたい事ってなんだよ。榊に加えて誰か引き入れるのか?つーかお前そんなに人員集め積極的でもねぇじゃねぇか」

「今回は伝説に伝説の動物聞きにきてんだ」

「はあ?」


もともと用意されていた酒を氷怜が郷のグラスに注ぐ。氷怜がお酌をするとは、とまた思うところがあったが李恩はそこも黙る。

「ヘッドイーターについて知りたい」

「……伝説っつうか、幻だな」

グラスを握った郷が匂いを楽しんだ後一口飲む。


「なんでまた。なんかあったのか」

「見事に地雷だけ踏んできやがったからな。今1番キレてんのは瑠衣だ」

「あー……そりゃ穏やかじゃねえなぁ」





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