sweet!!

仔犬

文字の大きさ
上 下
367 / 379
dance!

4

しおりを挟む

「わかってる事は?」

「主要メンバーはあなた達とうちの幹部人くらいの人数です。ただ引き抜いては入れ替わり立ち替わりで、まだいまいち細かくは……」

「うちが統制出来てるからメンバー把握してるだけで他のチームはそんなもんだろ。総人数なんてのは対した問題じゃない」

「まあ、そうなんですが」


赤羽にしては珍しく歯切れの悪い返事をした。今回の集会はメンバー全員への通達でもありいつもよりも集まっている人数が多い。ホールを埋めるチームメンバーを見て氷怜はその顔を確認していく。やはり氷怜の記憶するメンバー以外などここには存在しない。

階段上にいる氷怜達に静かに耳を傾け個々ができることを考える、そんな気持ちが話さなくても伝わってくるのだ。自分たちに着いてきてくれた人間を疎かにする事は氷怜にとってありえない、それがチームの人間をさらに惹きつけるのだ。

チームの中でも赤羽は氷怜に取って他にないタイプだった。有能でありながらある意味掴み所のない赤羽は元より喧嘩などに興味もないと言うのにチームの中でも貢献度は桁違いに高い。

「お前にしては歯切れが悪いな」

「そうなんですよ、少し自分の力のなさを実感したと言いますか」

言葉に似合わず爽やかな笑顔で応えた赤羽に氷怜は眉をひそめる。たまに出るあっけらかんとした態度の出現がいまだに読めず、瑠衣がケラケラと笑い出した。

「ナニナニ、赤羽っちが似合わないセリフ言ってる~」

「ヘッドイーターは神話みたいなチームですから、1から情報を集めるのに時間が掛かってしまっているので自分が分裂でも出来たら良いのになと思ったくらいです」

赤羽の言葉に那加が反応した。今日も長めの髪を束ねる彼はすごく嫌そうな表情をする。

「やめろやめろ、お前が分裂でもされたら夜中に1人で歩けなくなる」

その隣で亜蘭も同意だと頷く。

「そんな暗闇で後ろから襲うマネはしないですが」

「真っ向から来ても困るんだが?」

赤羽の神出鬼没かつ腹黒を前面に出しているそのキャラは幹部人でも少し警戒が必要なのだ。そんな会話に数人が小さく笑っているのを氷怜は聞き逃さなかった。

大分溶け込んできたやつが多い、前は萎縮する奴も多かったのにその変化を生んだのは愛しいあの子達だと氷怜自身も感じている。

そして変化は瑠衣と暮刃にもあったと。
暮刃をちらりと見るとやはり薄く笑っていた。元々貼り付けたような綺麗過ぎる笑顔で通していた暮刃も自然と笑う事が増えたと氷怜もまたつられて小さく笑う。

「でもその為に李恩を入れたんだ」

「そうですね、本当に助かってます」

「おーおー、大人を使いやがって」

黙って聞いていた李恩が階段端で嫌そうにため息を吐く。今日は麗央がいないため余計に彼の態度はだらけ切っている。麗央が居れば氷怜さんの前ではちゃんとしろと口うるさく言われてしまうからだ。

最初こそその態度に反感が多かったが李恩の実力が分かると次第にそれも減ってきていた。瑠衣が李恩に振り返る。

「オレ達より長ーく生きてるサカリンはヘッドイーターと会った事ないワケー?」

「……マジでそのあだ名馴染めねえんだよな」

「じゃあリオンソー」

「それだけはやめろ……」




しおりを挟む
感想 179

あなたにおすすめの小説

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜

ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!? ※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。 いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。 しかしまだ問題が残っていた。 その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。 果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか? また、恋の行方は如何に。

イケメンに惚れられた俺の話

モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。 こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。 そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。 どんなやつかと思い、会ってみると……

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

処理中です...