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dance!
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「うげ!!双子!!」
スタジオからの帰り際にリョウが突然叫び出したと思ったらカウンターに目立つ双子の姿が。今日も今日とて同じ格好で同じイケメンの顔が眩しいの神さんと才さんは大きめのニットに太めのジーンズとカジュアルスタイルだ。
「どーしたんすか!2人とも!」
「よ!今日の送り迎え赤羽と変わったの。リョウいるし拾ってこうかと」
「後ねー敵城視察」
ダンスチームのメンバーもパラパラと帰って行くので2人はその顔をちらりと横目で確認していく。
「俺のダンスの場を敵城言うな才!」
「俺らはお前に悪い虫付かないよーにしてんの」
「はあ?」
ウィンクしながら言う神さんに何言ってんだと首を傾げるリョウ。
リョウよ、ここ普通なら赤面だぞ。代わりに通りがかった女の子が赤面してた。神さんは苦笑すると俺の頭にぽんと手を置く。
「あとは秋の周りを俺たちも見とこーかなってね」
どうやらリョウに悪い虫がつかないようにって意味だけでは無いらしい。
「俺?」
「ヘッドイーターの事があるから一応な」
「やっぱり大事なんですねえ」
優がヘッドイーターに会ってからと言うもの、送り迎えなんて前提の当たり前になったし瑠衣先輩の不機嫌度がしばらく本当にMAXで困ったもんだった。
唯も優も察して連絡とか行動とか逐一報告してる。最近はやっと落ち着いたけど1人で出歩くなんて勝手にしたらブッスウと不機嫌丸出しになるだろう瑠衣先輩への配慮だ。よほどあの盗聴機が瑠衣先輩の怒りに触れたらしい。
「すみません、なんだか」
「元を辿ればチームのせいだから謝んなよ~。それに俺らはお前の送り迎えノリノリで来たんだから」
「そーそー、リョウもだけど俺らは秋も気に入ってんの」
相変わらずチームの人達って良い人ばかりで頭が上がらない。俺が嬉しくなって居る横でリョウがおい!と叫ぶ。
「そのヘッドイーターって何……!」
「あ、あーそうかリョウは知らなかったか……」
「ちょっと敵チームを警戒?」
「ま、リョウは知らなくていーの」
「怒って良いか……?」
流石にリョウだって目の前で知らない単語出されたら嫌だろう。心配かけたくは無いけどリョウに隠し事するのもなんか違う気がする。
「あのリョウにも話して良いですか?」
神さんと才さんは見つめ合うと仕方ないかと苦笑する。同じポーズでカウンターに肘をつき分かりやすい説明をした。
「チームの揉め事、瑠衣さんたちの恋人ってだけで狙われんのよ秋達は」
「は?!まじかよ!!」
「えーいやまあ先輩達のせいって訳でもないっすけどね……」
引きが強すぎるせいの方がデカそうだ。リョウは勢いに任せガッと俺の肩を掴むが自分が力み過ぎと気づいたのか大きく深呼吸する。
「本当に大丈夫なのか……?」
「うん、とりあえず何も無いし」
笑ったらリョウも少し落ち着いたようでため息を吐いた。それと同時にツインズまでため息をつく。
「だからこーして俺たちが居るんですけどー?リョウさー、もーちょい俺たちの事をさー」
「才、求めるだけ無駄無駄」
「あ?!なんだそのバカにしたような言い方は!」
「じゃあカッコいいとか思う?」
「いやまじで目立つから早く帰りてえって思う」
「……これだから大人の魅力が分からないお子ちゃまは」
綺麗に揃った声、それからお手上げポーズをした2人に当然馬鹿にされたリョウは突っかかる。
ふむこの3人の恋路はまだまだ長そうだ。何というか、頑張れリョウ。
その時ふと水色が視線の端に映り込む。反射的に横を向くと鶚が帰ろうとしていた。
「鶚ー!お疲れ様ー!」
彼はゆっくりとこちらを向くと小さく頭を下げた。
リョウも鶚に気付き手を振るとまた同じように頭を下げてそのまま帰っていってしまう。
「ちょっとあいつ変わってるよな。顔綺麗だけど、不思議系っつーか」
「ね、なかなか無いタイプ」
リョウも同じ感想で、やはり掴みどころが無い人だ。神さん才さんもその光景を見ていたが鶚が見えなくなるとポツリと呟いた。
「……よく気が付いたな秋」
「え?あの髪色目立ちません?」
まあなと神さんが返事をしたけど視線はまだ鶚が消えた方に向いていた。少し不思議だったけど横でリョウが俺の服を引っ張ったから意識が逸れてしまう。
「あれ、俺たちシューズ持ってなくね」
「スタジオじゃん!履き替えて忘れてた!2人ともちょっと待っててください!!」
駆け出した俺とリョウに2人は同じように手を振った。
「……神、あいつに気付いたか?」
「いや……気配が無かった」
これは俺の知らない事だ。
スタジオからの帰り際にリョウが突然叫び出したと思ったらカウンターに目立つ双子の姿が。今日も今日とて同じ格好で同じイケメンの顔が眩しいの神さんと才さんは大きめのニットに太めのジーンズとカジュアルスタイルだ。
「どーしたんすか!2人とも!」
「よ!今日の送り迎え赤羽と変わったの。リョウいるし拾ってこうかと」
「後ねー敵城視察」
ダンスチームのメンバーもパラパラと帰って行くので2人はその顔をちらりと横目で確認していく。
「俺のダンスの場を敵城言うな才!」
「俺らはお前に悪い虫付かないよーにしてんの」
「はあ?」
ウィンクしながら言う神さんに何言ってんだと首を傾げるリョウ。
リョウよ、ここ普通なら赤面だぞ。代わりに通りがかった女の子が赤面してた。神さんは苦笑すると俺の頭にぽんと手を置く。
「あとは秋の周りを俺たちも見とこーかなってね」
どうやらリョウに悪い虫がつかないようにって意味だけでは無いらしい。
「俺?」
「ヘッドイーターの事があるから一応な」
「やっぱり大事なんですねえ」
優がヘッドイーターに会ってからと言うもの、送り迎えなんて前提の当たり前になったし瑠衣先輩の不機嫌度がしばらく本当にMAXで困ったもんだった。
唯も優も察して連絡とか行動とか逐一報告してる。最近はやっと落ち着いたけど1人で出歩くなんて勝手にしたらブッスウと不機嫌丸出しになるだろう瑠衣先輩への配慮だ。よほどあの盗聴機が瑠衣先輩の怒りに触れたらしい。
「すみません、なんだか」
「元を辿ればチームのせいだから謝んなよ~。それに俺らはお前の送り迎えノリノリで来たんだから」
「そーそー、リョウもだけど俺らは秋も気に入ってんの」
相変わらずチームの人達って良い人ばかりで頭が上がらない。俺が嬉しくなって居る横でリョウがおい!と叫ぶ。
「そのヘッドイーターって何……!」
「あ、あーそうかリョウは知らなかったか……」
「ちょっと敵チームを警戒?」
「ま、リョウは知らなくていーの」
「怒って良いか……?」
流石にリョウだって目の前で知らない単語出されたら嫌だろう。心配かけたくは無いけどリョウに隠し事するのもなんか違う気がする。
「あのリョウにも話して良いですか?」
神さんと才さんは見つめ合うと仕方ないかと苦笑する。同じポーズでカウンターに肘をつき分かりやすい説明をした。
「チームの揉め事、瑠衣さんたちの恋人ってだけで狙われんのよ秋達は」
「は?!まじかよ!!」
「えーいやまあ先輩達のせいって訳でもないっすけどね……」
引きが強すぎるせいの方がデカそうだ。リョウは勢いに任せガッと俺の肩を掴むが自分が力み過ぎと気づいたのか大きく深呼吸する。
「本当に大丈夫なのか……?」
「うん、とりあえず何も無いし」
笑ったらリョウも少し落ち着いたようでため息を吐いた。それと同時にツインズまでため息をつく。
「だからこーして俺たちが居るんですけどー?リョウさー、もーちょい俺たちの事をさー」
「才、求めるだけ無駄無駄」
「あ?!なんだそのバカにしたような言い方は!」
「じゃあカッコいいとか思う?」
「いやまじで目立つから早く帰りてえって思う」
「……これだから大人の魅力が分からないお子ちゃまは」
綺麗に揃った声、それからお手上げポーズをした2人に当然馬鹿にされたリョウは突っかかる。
ふむこの3人の恋路はまだまだ長そうだ。何というか、頑張れリョウ。
その時ふと水色が視線の端に映り込む。反射的に横を向くと鶚が帰ろうとしていた。
「鶚ー!お疲れ様ー!」
彼はゆっくりとこちらを向くと小さく頭を下げた。
リョウも鶚に気付き手を振るとまた同じように頭を下げてそのまま帰っていってしまう。
「ちょっとあいつ変わってるよな。顔綺麗だけど、不思議系っつーか」
「ね、なかなか無いタイプ」
リョウも同じ感想で、やはり掴みどころが無い人だ。神さん才さんもその光景を見ていたが鶚が見えなくなるとポツリと呟いた。
「……よく気が付いたな秋」
「え?あの髪色目立ちません?」
まあなと神さんが返事をしたけど視線はまだ鶚が消えた方に向いていた。少し不思議だったけど横でリョウが俺の服を引っ張ったから意識が逸れてしまう。
「あれ、俺たちシューズ持ってなくね」
「スタジオじゃん!履き替えて忘れてた!2人ともちょっと待っててください!!」
駆け出した俺とリョウに2人は同じように手を振った。
「……神、あいつに気付いたか?」
「いや……気配が無かった」
これは俺の知らない事だ。
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