sweet!!

仔犬

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family!

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「ところで分かってはいたけど椎名はおれと氷怜先輩が付き合う時1秒も悩むとかなかったから、ちょっとびっくりしちゃったよ」

「そりゃもう唯斗は可愛く産んだし、相手が男の子でもOKって生まれた時から決めてたもの」

「う、生まれた時から……」

さすが椎名、判断が早い。
それにねと突然母さんらしい表情になる。

「人を見る目はあなたにはあると思うし、何より信じてるから。だから氷怜くんだって言われた時はもう流石私の息子!と褒め称えたくらいよ」

椎名の言葉に氷怜先輩がふっと微笑む。
そこで嬉しそうに笑うなんてずるい。
しかもおれの家に居ると余計にかっこよく見えるの何でだ。これが実家マジックか。


「光栄です」

「またプリクラとりましょうね」

「はい」

「あー!おれも撮る!春さんも!」

「プリクラかあ何年も撮ってないなあ」


4人で撮ったら秋と優に自慢しちゃお。


なんだか本当に家族みたいな平和で最高の時間はあっという間に過ぎてしまう。時計が日を跨ぐ前に春さんが立ち上がってしまう。


「じゃあ俺は氷怜くん送って帰ろうかな」

「えー、春さん今日泊まってかないの?氷怜先輩もー!」

「流石に、ねえ」


おれが駄々をこねても春さんにごめんねと言われてしまった。いやおれだっていきなりお泊まりはしないとは分かってるんだけど期待しちゃうではないか。

外まで2人を見送ると春さんが車の窓を開けた。

「そのうち、泊まりに行っても良いかな」

「いつでもどうぞ」

椎名が頷くからおれは横で小躍りだ。助手席で氷怜先輩が吹き出した。


「浮かれて眠れねぇんじゃねえの」

「そうかもしれないです……はあ、幸せ」

「良かったな」

「氷怜先輩も来てくれて嬉しいです。今度は泊まりにきてください」

ん、と頷いて軽やかな笑顔を見せてくれる。4人でいつか過ごす日が来るとか考えたらもうやばい。

「ごちそうさまでした。とっても美味しかった。唯斗はまた明日もバイトよろしくね」

「はい!」

ぶうんと音がして春さんの車は行ってしまう。見えなくなるまで見送り終わると一気に静かになってしまった。まだ車が消えた先を見つめている椎名の腕を握る。

「なんか寂しいなぁ」

「あら、私は唯斗がいれば寂しくないわよ」

「とか言って春さんに泊まって欲しかったくせに~」

「お互い様でしょー」



くすくす笑いながらエントランスの中に入っていく椎名。なんだか嬉しい事がたくさんでふと見上げる空は小さな星がいくつか見えた。


春さんと椎名が付き合って、いつか本当におれの父親に春さんがなるのかと思うとたまらなく楽しみだ。パパって絶対呼んでやるとも。


「そしたらやっと……」

ふと呟いた言葉。やっとなんだっけ?
浮かれすぎて独り言までで始めている。本当に今日眠れないかも、嬉しくて枕抱えて身悶える気しかしない。


「唯斗ー!冷えちゃうから早く戻りましょ」

「はーい」

 
椎名に呼ばれ駆け寄ると椎名が鼻歌歌うからおれも歌い出す。浮かれ具合は親子一緒だ。
明日はみんなに嬉しい報告ができるし、毎日がこんなに幸せで良いんだろうか。
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