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family!
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しおりを挟むヘッドイーターの事があったけど、1週間経っても向こうから特に動きはないみたいだった。キツネさんとのチャットもなんだか友達のような掴みどころのないチャットばかり来るらしい。
「……優たんバカキツネにハンカチなんて何であげちゃったのー?」
「バ……えーと、すみません洋服が可哀想で……」
「エーーーーーだめだヨ、なんかコイツの文面変態臭がするカラ」
ソファで横になる瑠衣先輩が汚いものでも触るようにスマホを摘んで見せる。
瑠衣先輩日に日にキツネさんのことが嫌いになっていくようで、チャットが来るたびに不機嫌だ。最近ではそれがちょっと面白くて何がきたのか気になっちゃうんだけど見なくて良いとか言われちゃうんだ。
「見せてくださいよ瑠衣先輩~」
「ダメ~こんなのに興味持たなくてイーです」
隙を狙ってスマホを覗こうとするけどひょいっとおれが届かない高さに掲げられる。ぐぬぬ、いつか抜かしてやるんだからと違うところに闘志を燃やしてしまいそうだ。
優は瑠衣先輩が嫌がるので自分のスマホでも見ようとはしていなかった。
「ホラ、唯ちんはひーとお家に行くんでしょー」
「あ、そうなんですよ!」
そうなのだ、今日実は氷怜先輩がうちに来るのだ。いつか改めて挨拶に行く、と言ってくれたのをしっかり覚えていてくれたらしく予定を空けてくれた氷怜先輩。嬉しい、嬉しすぎる。
椎名も大喜びで昨日から休みをとって今日のために掃除やら料理やらの準備をするらしい。おれも手伝うと言ったのだけどこう言うのはママの役割なの!とシェアハウスから氷怜先輩と後で来いと言われてしまった。
椎名が氷怜先輩をすっかり気に入っているので張り切りたいと言うのもあるが理由は他にもある。
さらに嬉しい事があるのだ。
「しかも聞いてください!!今日、なんと!春さんもくるらしい……いひひひひひひ」
思わずにやけて変な笑いが。
「マジで?!」
瑠衣先輩の足元で寝っ転がっていた秋がおれの言葉に飛び起きた。優も椅子から立ち上がる。
「マジです!これはもうあれだよね?!こっちもご挨拶されちゃう感じだよね?!」
「いや、そうでしょ!結婚、はまだ早いかもだけどだけどまずは恋人?!てゆか最高か?椎名さんマジで可愛いし、春さんはもうそれこそ最高だし?!」
「写真!撮ってきて唯。4人のやついっぱい」
「あたりまえーー!!」
秋も優もテンション上がってバンザイだ。なんていい日。写真は家宝にして部屋に飾ろう。
「すげえ盛り上がってるな……」
「氷怜、優に服選んでもらったら?」
「あ、やりますよ。待っててください!」
優がパタパタと2階に向かっていく。優まで嬉しそうな背中を暮刃先輩と氷怜先輩が苦笑気味に見送る。
「君達はなんでも自分の事のように喜ぶね。見てて気持ちがいいよ」
「もう半身ですよね……でももう本当に楽しみでー!」
また秋とバンザイだ。
もしお付き合いとかならとりあえずパパって呼んでみよう。外堀から埋めてみたいところだ。
「氷怜先輩、綺麗めカジュアル……なんですけどシンプルすぎます?」
「いや丁度いい、ありがとな」
戻ってきた優が手にしていたロングのジャケットに白のカットソーとスキニータイプのパンツ。革靴で締めると直良し。カジュアルでも氷怜先輩が着るだけで鮮やかになる気がするから不思議だ。手を合わせて合掌。
「シンプルも似合います……」
「ははっ、お前何着ても毎回いい反応するよな」
くしゃりと目元を寄せて笑う氷怜先輩に撫でられさらにごきげんだ。そうこうしているうちに時間になり玄関に向かうとみんなもお見送りしてくれた。
「ひー頑張ってネー。あー花束とか持ってけば?アハ!」
「失礼のないようにね、王様出しちゃダメだよ」
「……楽しんでるな」
瑠衣先輩と暮刃先輩は氷怜先輩の状況を少し面白がっているようだ。そのうち2人も挨拶とか行くのかなと考えると確かに楽しみになってしまう。
「では!行ってきます!」
きれい揃ったいってらっしゃいが玄関に心地良く響いた。
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