sweet!!

仔犬

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misunderstanding!!!

4

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「まあ詳しいことは一旦赤羽に任せるとして……あとは李恩にも手伝ってもらうよ」

「え、李恩もですか?」

「うん。彼はどちらかと言えば赤羽と同じ仕事の方が得意みたいだから」

頭がいいのは分かって居たけどこんな事任せるくらい李恩が先輩達にとって頼りになる存在なのか。俺はトラブルを持ってくるばかりで少しなんとも言えない気分だ。


「しばらくはお前らだけで出歩くの禁止だな」

「はーい!」

流石にあんなことを聞いて申し訳ないとかは言ってられないので素直に3人揃って良い返事。すると唯が俺のスマホを頭の上まで掲げて叫んだ。

「きた!!キツネさんから!!」

「びっくりしたあ!何てきたの?」


秋がびっくりした振動で俺までびっくりする。ほら、と唯が画面をこちらに向けると、talkieの通知が一件。キツネのマークだ。


やあ。ちゃんと王子に送ってもらえた?俺はやっぱり怒られたよ、だから君のIDあいつにも教えたからね。


喋り口調そのままの文だから声まで頭の中で再生される。


「……あいつ?」

「そういえばあいつに言われて俺を追ってたとか、怒られるとか言ってましたね……結局誰か分からなかったけど」

「全員が元チームのトップでもヘッドイーターにはトップの存在っているんですよね?その人なのかなぁ」

秋が瑠衣先輩に尋ねるが瑠衣先輩はそれよりもチャットが気に食わなかったらしい。ブスッとした表情で俺に視線が来た。

「なんか文がムカつくからオレが返す~。優たんこのIDのパスワードちょーだい」

「え?あ、じゃあ瑠衣先輩のスマホから入れるようにしますね」

「ウン~」

渡されたスマホでtalkieを開き俺のアカウントを追加。スマホを返すとすぐにタタタっと返信を打つ。
 
「なんて返したんですか」

「んー、怒りのスタンプ30コ」

「い、良いんですかそれで……」


よく見たら荒ぶる鷹のポーズというやつだった。イラストが可愛いのでぎりぎり俺か俺じゃないのかわからない、はず。

瑠衣先輩が立ち上がると流れで秋も立ち上がる。

「まあーこんなの向こうだって遊びだからイーの。ンーお腹すいたから那加に追加のケーキ貰う~」

「え?!ケーキはや!……てゆかでも夕飯の時間とっくに過ぎてるんだよなぁ。瑠衣先輩、せめてご飯食べてからケーキにしましょう」

瑠衣先輩の背中を押して秋が促す。
氷怜先輩が唯の腰を引いて立たせると2人の後に続いてドアに向かう。

「なら飯にして食ったら今日はお前ら家帰れ、俺達は今日は残るから」

「了解です!明日も学校だから早く寝ないと~。優先に行ってるね」

唯が最後に手を振って部屋を出て行った。
自然と残された暮刃先輩と俺。全員がここに帰ってきた俺たちを見た時に察していたようで、2人きりにさせる時間をさらっと作っていった。何というかさすがだ。

2人だけの空間は静かで空気に合わせるようにゆっくりと立ち上がる。テーブルを挟んでいたけど今度は暮刃先輩の前に立った。腰を引かれて向かい合うように暮刃先輩の膝に座る。


「もうごめんなさいは大丈夫だからね」

「はい。だから甘えて甘やかそうかなと」


首に腕を回してぴったりと暮刃先輩に抱きついた。すぐに包むように背中に腕が回る。


「本当に、なんだかこんな気持ちにさせられてばっかりだ」

「どんな気持ちですか」


もう怒ってない、って言うのは声からわかる。少し楽しげな声はいつもより高い気がした。手が俺の首を撫でるとくすぐったくて身を捩る。


「また君は少し気にしてると思うけどトラブルは仕方ないし、男気見せちゃうのも君の魅力の一つだ。だからやっぱり俺はそんなに気にしてないよ。心配するけど」


心情なんか大抵バレていて気にしてるところを撫でるように話す暮刃先輩。でもね、と声のトーンを少し落とした。


「今回はそうだなぁ。どちらかといえば俺より先に美嘉綺があの場に居た事が少しくやしいかな」

「え??」

流石にその心情は予想していなかったので思わず顔を上げる。そしたら綺麗な顔が苦笑していて、グレーの瞳が弧を描いていた。


「く、くやしい?」

「だって迎えに行ったのに、他の子に守られてたと思うと少し男心が痛いよね」


そんな子供みたいな感想言われると思っていなくて思わず笑ってしまった。

「可愛い」


ゆっくりと俺から唇を近づけると、唇が重なる前に一瞬だけ口角が上がった気がした。数回重ねて唇を離すと今度はこめかみにキスがくる。暮刃先輩のキスは上品だ。
グレーの瞳に問いかける。


「なんで笑うんですか」

「可愛いのはどっちかなって、ご機嫌取りがこんなに可愛いとトラブル起して帰ってくるのも悪くないかも」

耳横から髪を流す暮刃先輩の指が俺の耳を撫でる。俺は体を横にして先輩の胸板にもたれ掛かった。花の香りが落ち着く。



「まあ、ご機嫌取りとは言いましたけど……キスしたいからしてるだけとも言います」



俺がそう言ったら、もう愛おしくてしょうがないみたいな笑顔になる。そんなの見たらやっぱり可愛いって言いたくなるけど、暮刃先輩も俺のことを可愛いと言う。
まあ、可愛いはお互い様と言うことで。






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