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misunderstanding!!!
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しおりを挟むクラブに戻ると唯と秋がまず駆け寄ってきた。
二人にも愁と紅の堂本兄弟から連絡がいっていたらしい。無事にキサちゃんは家まで届けてくれた二人。本当優しい。機会さえあればすぐに彼女ができそうだ。
「唯、今度二人に女の子紹介したいんだけど協力してくれる?」
「ん?もちろん!」
「何、堂本兄弟恋人探し中なのか?」
「そうなんだって。だからお礼に協力できればなと」
案外キサちゃんと意気投合してたりするかもしれないけど。なるほどと頷いた唯はすぐに心配そうな顔に変わる。
「それで大丈夫だった?怪我は?」
「ありがとう。ないよ、ごめんね」
「ならいーけど。まあ、これはお説教コースかもな」
秋も唯も暮刃先輩の顔を見てすぐにわかったようだ。苦笑気味に笑いながら、俺らも一緒に怒られるよなんて優しいことを言ってくれる。
「大丈夫だって、自分でもちょっとあれだなと思いながらだったから……」
ただ暮刃先輩がヘッドイーターの言葉を口にしてからチームの人達が慌ただしい。
これは思ったよりも大事なのだろうか。式も桃花も戻ってきた俺の頬を無言でつねるだけですぐに離れてしまった。
マキオくんにも謝るが首が取れそうなほど横に振ってむしろ謝られてしまった。
ついでに歩き方が変だったのを聞いてみると痺れただけですとのことでケガではないよう。なぜ痺れたのかは分からないけど。
しばらくして暮刃先輩が戻ってくると亜蘭さんと話しながら奥の部屋を指さした。
「先に優から話聞いてくるよ。いったん上の部屋にいこうか」
先輩たちと唯、秋も呼ばれていつものVIPルームだ。俺と暮刃先輩が向かい合うように座るとみんなもそれぞれの場所に座る。
先に話し始めたのは氷怜先輩だった。それも苦情気味に。
「また引きが強いな」
「ほんとだよ」
「ネ、強かった?強かった?」
瑠衣先輩の楽し気に聞く姿はかわいいけど内容は物騒だ。
「美嘉綺がいい勝負したみたいだよ。まあお互い本気かは怪しいけど」
「フーン、ミカちゃんもいいよねー」
あれ瑠衣先輩もミカちゃん呼びだったのかと思ったらどうやら解禁になったらしい。俺も後で呼ぼう。
そのあたりでようやく暮刃先輩がにこりと笑って俺に聞く。
「それで優は何したのかな」
「えー、まず……」
俺が話し出すと唯と秋がどんどんそれはもう仕方がないみたいな顔になっていく。やっぱり2人だって同じ事をしたんだろう。しかしながら俺がそれでもよくない所は……。
「一人で立ち向かおうとした挙句、自分を逃す代わりに何でもお願いを聞くと言ってその結果連絡先を交換したと」
「思い付いたのがそれでして……」
綺麗にまとめた暮刃先輩に乾いた笑いしか返せない。あのタイプにはこれだと、あの時思ってしまったし。
「何でお前らはそう言う場面で勝負に出んだ」
「あう?あ、おれもですね……あはは」
頭に氷怜先輩の手を置かれた唯も苦笑い。
暮刃先輩は手で目を覆って数秒経つとため息を吐いた。グレーの目がどことなく呆れ気味だ。
「何もされなかったから良いものの、次こんなことがあるならお店に入って待ってるとかもう少し他の力を借りるべきだ。君が全てを犠牲にする必要はない、分かった?」
俺が頷いたら秋も唯もつられて頷いている。心当たりがありすぎるのだろう。
「……まあ、俺も人を向かわせなかったのも判断ミスかな……優は連れ去られなかったようにした結果だから交渉の仕方と詰めの甘さは後で教えるけど、今回はこれくらいにするよ。今度何かあれば俺の判断でも動くからね」
「はい、ごめんなさい」
素直に頭を下げると前から暮刃先輩の手が伸びてきてポンポンと撫でられる。もう一度グレーの目を確認するといつもの優しげなものだ。柔らかい光が見えるから。
「だけどさー、連絡先教えちゃったのはアホちんだね優たん~」
暮刃先輩に怒られるのは覚悟していたんだけど瑠衣先輩からも厳しめの口調が届いた。ソファに足を投げている瑠衣先輩の後ろで背もたれに寄りかかる秋も少し意外な様子で瑠衣先輩を見ている。
「正々堂々真っ向勝負はさー上等だけどネ。そーんな律儀に連絡先交換してたらアカウント何個あっても足りないでしょ。しかも返事しろとか言われてんでショ?」
「ご、ごめんなさい。一応先輩達にも見てもらえるように使ってなかったアカウントのチャットIDにしたので……」
「ウン~、気をつけて~」
最悪消してしまっても問題ないのだ。
少しムスッとした様子の瑠衣先輩に氷怜先輩も珍しそうに言う。
「なんだ瑠衣。お前がそんなに口出すなんて珍しいな」
「んーなんかネー……優たんこっちきて」
「え、はい」
瑠衣先輩の綺麗な顔が近づいてくるとクンクンと犬のように嗅ぎ始めた。でも首を傾げると違う、と一言。
「なんか匂うんだよネ……優たんからとー、あー荷物ほかはー?」
「え?えーと、ほか……あ、買った服のこれが……」
騒動ですっかり忘れていたそれを瑠衣先輩に渡した。また鼻を効かせて袋の中を探っていくと何かをつまみ上げた。
「んー……コレだ」
「え、え??瑠衣先輩の野性スキルどうなってんすか……」
秋が驚愕しながらもそれを突く。
長い指が拾い上げた四角い小さな機械は黒くて横に小さなボタンがあった。秋が首を傾げる。
「それは……?」
「盗聴器デス」
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