349 / 379
misunderstanding!!
2
しおりを挟む
思えば1人で行動と言う事自体がなんだか久しぶりだ。しかもそのタイミングでこんな事を引き当てるって事はもしかしたら唯のトラブル体質伝染してきたかな。認めたくはないけどこれ以降もう一度あったら確実。2度ある事は3度ある。願わくば有りませんように。
「出来れば会話をしたいのですが……何も言わないと分からないです、俺の言いたい事は彼女を追わないで欲しいだけですよ。それこそ、彼女と関わりを持ちたいのならちゃんと会話をすべきだと思いますよ」
お説教じみてきたが相手は明らかに俺より年上だ。
自分のこの口調が刺激にならないように努めるが、いかんせんストーカーをやめろと言いたいのでやっぱり少し上からと言うか強気の口調になってしまう。
感情論に理論ぶつけても意味ないのは重々承知だ。その点暮刃先輩は話しやすい。言葉の隅々にまで頭が回るし、まあ、俺の硬い頭のせいで喧嘩はしたけど。それはそれでいい経験だ。
「会話、ねえ……俺は君と話したかったから好都合だよ」
「……アウト」
やっと喋ったと思ったら相手の口からキサちゃんの名前も上がらず指名が俺なんて。
何故だろう。この人と会った事はおそらくない。クラブに来ていたとかなら分かるけど、このタイプの人は出入りが難しそう。結構入場規約も厳しくしてるって言っていたから。
「まんまとあの女を守ってくれて俺も助かったよ。だけどあの女中々君から離れようとしないから、こうして距離を詰めてたけど」
「……はあ」
つまりこの人は最初から俺目当てでキサちゃんを巻き込んだのか。で、俺の行動パターンもどうやったか知らないけど入手して今現在に至ると。
「本格的にトラブルの原因は俺か」
独り言を聞こえない程度に呟く。
やばいなぁ、唯のせいってそろそろ言えなくなるかも。いやでも元を辿れば唯のせいだから、まだ大丈夫。と言うことにしてまずは目の前のトラブル解決だ。
「俺に何か用ですか?」
「正確に言えば、君よりno nameに用があるんだけど。それには君がいるとかなり話が優位に進む」
「うーん……優位かどうかは別として、俺をもし連れ去るみたいなことでしたら先輩たちが出てくるのは確かですね」
「へえ、物分かりがいいね。あいつらのご寵愛対象なんてどんな世間知らずかと思ったけど」
「……そちらは俺の事を知っているようですが、あなたは?どこの、誰ですか」
この手の会話は本当にに好きじゃない。
最初から下に見ている目とか、先輩たちの事をバカにするような声音とか。
俺の見た目が強いとはかけ離れているからってバカにしていいわけじゃない。
俺短気ではないけど、多分顔に出てるから相手が失礼だとしてもなるべく穏便に済ませないと。男は俺の質問に大げさに首を振った。
「教える必要がない」
「ストーカーされてるんだから教えてくれたっていいのに」
まだ名前をすんなり教えてくれた李恩の方がましな気がしてきた。
こうなるとマキオくん呼んだ方がいいかな、さすがに。大変申し訳ないけど一人で突っ込んでも悔しいことに勝てるかわかんないし。
「あーえーと、マキオくーんいるかなあ」
適当に路地裏に向けて声を出すが通りがかった数人が不思議そうに振り向くだけで誰の返事もしない。あれ、マキオくん、こんな時にトイレ?
聞こえなかったのかもと思ってもう一度声を出すがやはりどこからもマキオくんが出てこない。どこにいるのか分からないけど彼がこの場を放棄するわけはない。
ああ、それはちょっとやばいかも。
そんな俺にストーカー男は鼻で笑った。
「君のボディガードなら今頃路地裏にくたばってるんじゃないかな」
「……彼は結構強いと思いますよ」
「新人らしいし、多めに数人向かわせてるから一瞬だろう」
俺一人のために敵の何人かが動いている。
しかもマキオくんが新人だってのも漏れているみたいだし、それなんだか大事なんじゃないのか。
いやいつもチームの人にお迎えなんてさせてる人間がいうことじゃないけど。
明らかに先輩たちと敵対してそうな人にちゃんと狙われているこの状況。困る、一言では言い表せないけど困る。
ただマキオくんに関しては実はあまり心配していない、どちらかといえば俺を一人にしてしまったという後悔の念で彼の胃が痛くなってないといいけど。暮刃先輩と電話もしたし、亜蘭さんが俺のお迎えを任せるくらいの実力だ。チームの人は誰を見ても強いから力だけの話ならマキオくん問題ないと思うんだよね。100人とかなら不安だけど数人というのならすぐにこちらに戻ってきそうだ。
「……どっちにしろ俺は帰るので、ついて来いというのなら拒否します」
「一人で逃げる気?無理でしょ」
相手がついに動き出した。一瞬で距離を詰められ腕を掴まれる。強すぎる握力に思わず眉間に力が入るけど、これは好都合。
油断している相手に掴まれたなら一気に踏み込んで押し込みその後に腕を引く。頭に入っている動きを実行、それだけで乾いた音がして腕が離れ一歩後ろに下がれた。
動けて良かった。何事もちゃんとやるもんだね。
まさかの動きに相手は一瞬目を見開いて固まるがすぐに今日一番性格の悪そうな笑みを見せた。
「大人しそうな顔してると思ったのに、そう抵抗されると……」
ああ、言葉を止めたタイミングでジャケット脱がないで欲しい。やっぱりそれ気慣れてなかったんでしょ。邪魔だから脱いだって事は気合を入れたって事だ。
しまいにはにやりと笑ってこう言った。
「燃えるんだよね」
久しぶりにやばいタイプの人を引いてしまったかもしれない。
「出来れば会話をしたいのですが……何も言わないと分からないです、俺の言いたい事は彼女を追わないで欲しいだけですよ。それこそ、彼女と関わりを持ちたいのならちゃんと会話をすべきだと思いますよ」
お説教じみてきたが相手は明らかに俺より年上だ。
自分のこの口調が刺激にならないように努めるが、いかんせんストーカーをやめろと言いたいのでやっぱり少し上からと言うか強気の口調になってしまう。
感情論に理論ぶつけても意味ないのは重々承知だ。その点暮刃先輩は話しやすい。言葉の隅々にまで頭が回るし、まあ、俺の硬い頭のせいで喧嘩はしたけど。それはそれでいい経験だ。
「会話、ねえ……俺は君と話したかったから好都合だよ」
「……アウト」
やっと喋ったと思ったら相手の口からキサちゃんの名前も上がらず指名が俺なんて。
何故だろう。この人と会った事はおそらくない。クラブに来ていたとかなら分かるけど、このタイプの人は出入りが難しそう。結構入場規約も厳しくしてるって言っていたから。
「まんまとあの女を守ってくれて俺も助かったよ。だけどあの女中々君から離れようとしないから、こうして距離を詰めてたけど」
「……はあ」
つまりこの人は最初から俺目当てでキサちゃんを巻き込んだのか。で、俺の行動パターンもどうやったか知らないけど入手して今現在に至ると。
「本格的にトラブルの原因は俺か」
独り言を聞こえない程度に呟く。
やばいなぁ、唯のせいってそろそろ言えなくなるかも。いやでも元を辿れば唯のせいだから、まだ大丈夫。と言うことにしてまずは目の前のトラブル解決だ。
「俺に何か用ですか?」
「正確に言えば、君よりno nameに用があるんだけど。それには君がいるとかなり話が優位に進む」
「うーん……優位かどうかは別として、俺をもし連れ去るみたいなことでしたら先輩たちが出てくるのは確かですね」
「へえ、物分かりがいいね。あいつらのご寵愛対象なんてどんな世間知らずかと思ったけど」
「……そちらは俺の事を知っているようですが、あなたは?どこの、誰ですか」
この手の会話は本当にに好きじゃない。
最初から下に見ている目とか、先輩たちの事をバカにするような声音とか。
俺の見た目が強いとはかけ離れているからってバカにしていいわけじゃない。
俺短気ではないけど、多分顔に出てるから相手が失礼だとしてもなるべく穏便に済ませないと。男は俺の質問に大げさに首を振った。
「教える必要がない」
「ストーカーされてるんだから教えてくれたっていいのに」
まだ名前をすんなり教えてくれた李恩の方がましな気がしてきた。
こうなるとマキオくん呼んだ方がいいかな、さすがに。大変申し訳ないけど一人で突っ込んでも悔しいことに勝てるかわかんないし。
「あーえーと、マキオくーんいるかなあ」
適当に路地裏に向けて声を出すが通りがかった数人が不思議そうに振り向くだけで誰の返事もしない。あれ、マキオくん、こんな時にトイレ?
聞こえなかったのかもと思ってもう一度声を出すがやはりどこからもマキオくんが出てこない。どこにいるのか分からないけど彼がこの場を放棄するわけはない。
ああ、それはちょっとやばいかも。
そんな俺にストーカー男は鼻で笑った。
「君のボディガードなら今頃路地裏にくたばってるんじゃないかな」
「……彼は結構強いと思いますよ」
「新人らしいし、多めに数人向かわせてるから一瞬だろう」
俺一人のために敵の何人かが動いている。
しかもマキオくんが新人だってのも漏れているみたいだし、それなんだか大事なんじゃないのか。
いやいつもチームの人にお迎えなんてさせてる人間がいうことじゃないけど。
明らかに先輩たちと敵対してそうな人にちゃんと狙われているこの状況。困る、一言では言い表せないけど困る。
ただマキオくんに関しては実はあまり心配していない、どちらかといえば俺を一人にしてしまったという後悔の念で彼の胃が痛くなってないといいけど。暮刃先輩と電話もしたし、亜蘭さんが俺のお迎えを任せるくらいの実力だ。チームの人は誰を見ても強いから力だけの話ならマキオくん問題ないと思うんだよね。100人とかなら不安だけど数人というのならすぐにこちらに戻ってきそうだ。
「……どっちにしろ俺は帰るので、ついて来いというのなら拒否します」
「一人で逃げる気?無理でしょ」
相手がついに動き出した。一瞬で距離を詰められ腕を掴まれる。強すぎる握力に思わず眉間に力が入るけど、これは好都合。
油断している相手に掴まれたなら一気に踏み込んで押し込みその後に腕を引く。頭に入っている動きを実行、それだけで乾いた音がして腕が離れ一歩後ろに下がれた。
動けて良かった。何事もちゃんとやるもんだね。
まさかの動きに相手は一瞬目を見開いて固まるがすぐに今日一番性格の悪そうな笑みを見せた。
「大人しそうな顔してると思ったのに、そう抵抗されると……」
ああ、言葉を止めたタイミングでジャケット脱がないで欲しい。やっぱりそれ気慣れてなかったんでしょ。邪魔だから脱いだって事は気合を入れたって事だ。
しまいにはにやりと笑ってこう言った。
「燃えるんだよね」
久しぶりにやばいタイプの人を引いてしまったかもしれない。
23
お気に入りに追加
1,388
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!?
※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。
いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。
しかしまだ問題が残っていた。
その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。
果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか?
また、恋の行方は如何に。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!
慎
BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥
『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。
人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。
そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥
権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥
彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。
――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、
『耳鳴りすれば来た道引き返せ』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる