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misunderstanding!
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堂本兄弟は咳払いをして自分のペースを取り戻してから真面目な表情に切り替える。
「また俺たちの時みたいに他人に首突っ込んでんのと、あの人とは相変わらずラブラブってのはよく分かったけど」
「大丈夫なのか?」
優しい2人はなんだかんだ心配してくれるのだ。例の相手が居るかも知れないと分かり、周りを気にするように小さく。
「うーん、今のところついてくるだけでなにもしてこないし後はキサちゃんを家まで送るだけ。念のため俺はマキオ君と一緒に帰ろうかなと」
「え、マキオくんって誰だよ?」
「実はずっとチームの人がついてきてくれてるから」
隣の席を指さす。パーティション越しで見えない相手に堂本兄弟は眉を顰めた。
「出たよ、VIP待遇……」
「どちらかと言えば過保護じゃない?」
「……そんな事あの人達に言えるのお前ら3人二くらいだな」
流石に恋人なので言いたいことは言いますとも。
しかしその過保護も今日みたいな日はやっぱり安心感があると言うか、頼りになる。
トラブル系が1人の時でも増えてきたのは流石に唯の体質を浴びすぎたせいか。
「鍛えてるのは正解ってところかな」
「え?」
「ううん、なんでも。マキオくん強いみたいだから最悪何かあっても大丈夫」
この会話に律儀な彼は俺の話を聞きながらひとりで頷いていそうだ。同じく律儀なキサちゃんも眉を下げた。
「ごめんねえ、まさかこんなことになるなんて......」
「ううん、大丈夫だよ。でも何かきっかけでもあったの?声かけられるような」
「え?うーん、特には......」
首をかしげる彼女は困ったように言葉を濁らせた。
彼女は美人だけど唯みたいにひどく目立つかというとそうでもなく、少し大人しい印象がある。女子高で異性と関わりが少ないというのに前から知っていたかのように執着してついてくるのはまた不思議な話。
「お買い物に出て最初のお店では気が付かなかったんだけど次に入ったお店に居て、その次に入ったお店にもいて......気のせいかなって思ったけど女性モノの服しか売ってないところも入ってくるし、だんだん距離も近くなってきた気がして、さすがに声をかけたの」
「勇気あるなあ」
堂本兄の紅が感心するように頷いたけど俺はあまり同意できなかった。勇気はあってもいざというときに女の子ひとりでは心もとない。唯でもギリギリアウト。
「そしたらなにも答えてくれなくて、怖くなって逃げたんだけどやっぱり着いてくるし私が話しかけたからか隠れもしなくて思わず試着室に......」
「そこで俺が発見したんだ。俺とお店回ってからは隠れてついてきてるから効果は有ったんじゃないかな」
「相手の顔は?」
「最初に一回だけしか見てないからなんとも。普通の人にしか見えなかったよ」
身なりはパッと見きれいな感じだったし、ただそこにいるだけなら普通の人だ。
キサちゃんが嬉しそうにその時ねと話し出した。
「試着室に駆け込んだ私に向こうにばれないように待ち合わせ風に近寄ってきてくれてさりげなくスマホの画面に大丈夫ですかって打って見せてくれて、なんていい人って感動して顔を良く見たらあの優くんでもうビックリ」
クラブならまだしも街中で初対面の人に知られている状況にまだ慣れないけど雑誌の効果はあったみたい。キサちゃんが誉めてくれるので微笑み返すと目の前の兄弟が冷たい目を寄越す。
「そんな綺麗な顔の上にスマートでむかつくな......」
「優マジで有名になってんな、あんなアホな奴らだったのに......」
「私もびっくりまさか優くんがこんなに親やすいなんて!」
キサちゃんが褒めれば褒めるほど2人の目線が冷たい。身に覚えのない怒りの理由を流石に聞いてみた。
「えーと、なんでそんな不満げな顔を」
「部活動まっしぐらの人間の出会いのなさなめるなよ!」
「兄ちゃんなんかこの前そんなに部活が好きなら部活と付き合えばって振られてんだからな!」
「愁余計なこと言うな!」
「えー!そうなんだ……あ、巻き込んじゃったお礼にうちの学校の子と合コンする?うちも女子校だしご飯とかの機会あったら嬉しいと思うなぁ」
優しいキサちゃんの提案に女神様とばかりに手を合わせたふたり。どうやら堂本兄弟は絶賛彼女募集中らしい。
「また俺たちの時みたいに他人に首突っ込んでんのと、あの人とは相変わらずラブラブってのはよく分かったけど」
「大丈夫なのか?」
優しい2人はなんだかんだ心配してくれるのだ。例の相手が居るかも知れないと分かり、周りを気にするように小さく。
「うーん、今のところついてくるだけでなにもしてこないし後はキサちゃんを家まで送るだけ。念のため俺はマキオ君と一緒に帰ろうかなと」
「え、マキオくんって誰だよ?」
「実はずっとチームの人がついてきてくれてるから」
隣の席を指さす。パーティション越しで見えない相手に堂本兄弟は眉を顰めた。
「出たよ、VIP待遇……」
「どちらかと言えば過保護じゃない?」
「……そんな事あの人達に言えるのお前ら3人二くらいだな」
流石に恋人なので言いたいことは言いますとも。
しかしその過保護も今日みたいな日はやっぱり安心感があると言うか、頼りになる。
トラブル系が1人の時でも増えてきたのは流石に唯の体質を浴びすぎたせいか。
「鍛えてるのは正解ってところかな」
「え?」
「ううん、なんでも。マキオくん強いみたいだから最悪何かあっても大丈夫」
この会話に律儀な彼は俺の話を聞きながらひとりで頷いていそうだ。同じく律儀なキサちゃんも眉を下げた。
「ごめんねえ、まさかこんなことになるなんて......」
「ううん、大丈夫だよ。でも何かきっかけでもあったの?声かけられるような」
「え?うーん、特には......」
首をかしげる彼女は困ったように言葉を濁らせた。
彼女は美人だけど唯みたいにひどく目立つかというとそうでもなく、少し大人しい印象がある。女子高で異性と関わりが少ないというのに前から知っていたかのように執着してついてくるのはまた不思議な話。
「お買い物に出て最初のお店では気が付かなかったんだけど次に入ったお店に居て、その次に入ったお店にもいて......気のせいかなって思ったけど女性モノの服しか売ってないところも入ってくるし、だんだん距離も近くなってきた気がして、さすがに声をかけたの」
「勇気あるなあ」
堂本兄の紅が感心するように頷いたけど俺はあまり同意できなかった。勇気はあってもいざというときに女の子ひとりでは心もとない。唯でもギリギリアウト。
「そしたらなにも答えてくれなくて、怖くなって逃げたんだけどやっぱり着いてくるし私が話しかけたからか隠れもしなくて思わず試着室に......」
「そこで俺が発見したんだ。俺とお店回ってからは隠れてついてきてるから効果は有ったんじゃないかな」
「相手の顔は?」
「最初に一回だけしか見てないからなんとも。普通の人にしか見えなかったよ」
身なりはパッと見きれいな感じだったし、ただそこにいるだけなら普通の人だ。
キサちゃんが嬉しそうにその時ねと話し出した。
「試着室に駆け込んだ私に向こうにばれないように待ち合わせ風に近寄ってきてくれてさりげなくスマホの画面に大丈夫ですかって打って見せてくれて、なんていい人って感動して顔を良く見たらあの優くんでもうビックリ」
クラブならまだしも街中で初対面の人に知られている状況にまだ慣れないけど雑誌の効果はあったみたい。キサちゃんが誉めてくれるので微笑み返すと目の前の兄弟が冷たい目を寄越す。
「そんな綺麗な顔の上にスマートでむかつくな......」
「優マジで有名になってんな、あんなアホな奴らだったのに......」
「私もびっくりまさか優くんがこんなに親やすいなんて!」
キサちゃんが褒めれば褒めるほど2人の目線が冷たい。身に覚えのない怒りの理由を流石に聞いてみた。
「えーと、なんでそんな不満げな顔を」
「部活動まっしぐらの人間の出会いのなさなめるなよ!」
「兄ちゃんなんかこの前そんなに部活が好きなら部活と付き合えばって振られてんだからな!」
「愁余計なこと言うな!」
「えー!そうなんだ……あ、巻き込んじゃったお礼にうちの学校の子と合コンする?うちも女子校だしご飯とかの機会あったら嬉しいと思うなぁ」
優しいキサちゃんの提案に女神様とばかりに手を合わせたふたり。どうやら堂本兄弟は絶賛彼女募集中らしい。
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