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rival!!!
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しおりを挟む「突然きた大物に怯えてたと……」
「何もしてないけどー?勝手に怯えてただけですー」
秋が苦笑すると瑠衣先輩がテーブルにぐでんと両腕を広げた。どうやらお腹が空いているらしい。隣では暮刃先輩が突然きてすみませんと春さんに謝りながら挨拶をする。
「ううん、みんな久しぶりで嬉しいよ。あそうだ、良かったらご飯食べて行かない?新作を色々作ろうと思ってて。ほら、2人も寒いからホールに入って、どこ座っても良いからね」
控え室の入り口でこの状況に驚く麗央さんと不機嫌な李恩。ちなみに麗央さん、今日のお仕事は色々あったので予定を入れ替えたらしい。だからみんなでご飯が出来るはずだ。
「やったーみんなでご飯!春さん、おれも手伝います!」
「ありがとう」
氷怜先輩がゆっくり降ろしてくれたので、ちょっと行ってきますと離れる。麗央さんと李恩をカウンター席に案内しながら着ていたコートを脱いだ。バイト着のままだからちょうど良い。
エプロンを巻き直すおれに麗央さんが聞く。
「ここバイト先?」
「そうです、超超自慢のカフェなんです」
麗央さんがあたりを見渡しふーんと呟く。髪を耳にかけながら、最後に可愛く笑ってくれた。
「良いところだね」
「えええ麗央さん……好き!!!」
「暑苦しいの嫌い」
まだまだツレない麗央さんだけどだいぶ雰囲気はいままでと違って見えた。肩の力が抜けたと言うか、嬉しくて料理にも気合が入って腕まくり。すると横から大きな影が。
「手伝っても良いっすかね。ちょっと俺、料理勉強中で」
「ええ那加さんがそれを言うんですか……?あ、春さん。こちら那加さん、習い事の先生でもあります」
料理と聞いて興味が湧いたのか那加さんがキッチンに参戦。紹介すれば春さんは嬉しそうに微笑んだ。
「若いのに料理もできるなんてすごいね。キッチンにあるもの好きに使って良いから」
すぐに打ち解けた春さんはまずはドリンクから作り出した。おれもそれを運んで手伝いながらホールをチラ見。
秋も優もウェイターとしてテキパキ動きながら先輩達をおもてなし。
ゆっくり自分のペースで紅茶を飲む美嘉綺さん、神さん才さんは李恩と話し柚さんは相変わらず写真に没頭だ。紫苑さんと亜蘭さんが先輩達と話していたり、この光景すごい。
いつものカフェが美形率高過ぎて異世界に見えてきた。ガラス越しに何も知らない人が見たらもはやホストクラブみたいなお店なのではと勘違いしそう。同じく負けず劣らず癒し系美形男子春さんが嬉しそうに笑った。
「ほんと、みんなかっこいい子ばっかりだ。秋達が行きに連絡しようとしてた子達だよね?」
「そうです!紹介しますよ」
するとカウンターに並んだ幹部メンバーはそれぞれ丁寧に自己紹介をして頭をかるく下げていく。
「ご丁寧にどうもありがとう。雷那春です、よろしくね……うーん、あはは、なんか、照れるね」
「そんな春さんが可愛いわ~!」
へにゃりと笑う春さんが可愛すぎてたまらない。ああ、癒される。そして目の前の李恩に呆れられる。
許して欲しいマイナスイオンが強すぎるのだ。
するとカランと鈴の音がホールに響く。この音、出入り口のドアベルだ。むむ、あの2人急いで帰ったからクローズの看板出し忘れてるし。おれはすぐに駆け寄って謝ろうとしたけど、相手をみて固まった。
「あら、唯斗……?」
「あれ、椎名……?」
2人して首を傾げて親子のシンクロ。今日は椎名仕事だったはず、この時間ってことは帰りに寄ったのかな。
椎名はおれを見てそしてホールにいるみんなに視線を向ける。1人1人見渡していくその瞳が豪華な光景にどんどんキラキラしていくのが分かる。
そしてぽつりと呟いた。
「ホストクラブ……?」
さすが母さん。思考回路がおれとそっくり。
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