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rival!!!
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春さんと李恩を待っていたけどしばらく経っても戻らず、よく考えたら久しぶりの再会。募る話もあるはずだ。
「何話してんのかなぁ」
「話すことなんて決まってるでしょ」
「麗央さんそんなばっさり……」
「こんなチャンスに何もしないで帰ってこられたら蹴ってもう一回行かせるけど」
麗央さん強し。
でもこんなところが李恩は気に入っているのだろうと思うと良いコンビだ。
「麗央さん麗央さん、李恩って麗央さんといる時もよく喋る?」
「え?そうかも。うるさいし」
麗央さんが思い出すように言うと秋が首を傾げた。
「てかいつの間に仲良くなったんだよ」
「本当にたまたまスーパーで会ってね!流れで買い物を一緒に……秋も優もタメ口が良いって言うと思うよ李恩」
「俺はまだ仲良くする気ないから」
優がふいっと視線をずらした。あら、まだだめよねそりゃ。でもおれが仲良くなればだんだんと優も慣れていくと思うんだよ。友好の架け橋におれはなる!
そんなこんなで結局まったりしてしまって残った5人でテーブルを囲んで紅茶のおかわり。
「ところでなんか、忘れてるような」
あれ?と秋が首を捻るとどこからともなくスマホのバイブ音。一瞬で青ざめた秋と優が脱いでいたコートからスマホを取り上げる。
「そうだったああ、電話したんだったああ」
「もうこれみんなに掛けてるし、赤羽さんに至っては迎えに来る予定の時間すぎてるし……」
おれもスマホをチラ見。当然通知がやばい事になっていた。氷怜先輩、暮刃先輩、那加さん、亜蘭さん、赤羽さんに瑠衣先輩、瑠衣先輩、瑠衣先輩瑠衣先輩瑠衣先輩瑠衣先輩瑠衣先輩。
「いや、瑠衣先輩途中から遊んでるでしょ……」
「おおお……取り敢えずおれがかけるよ」
おれのせいで2人まで来てくれて、先輩たちにも連絡してくれたのだからおれが状況報告しなくては。まずは氷怜先輩を探し出してレッツコール。数秒で繋がるとおれが話し出す前に低い声が響いた。
「……随分と買い物が遠い上に人数が多いなあ、唯斗」
既にぜんぶバレている!!!
おれは秋と優にジェスチャーだけで報告。2人はうんうんと頷いた。
「まあ、そうでしょうよ」
「なんで知られてんのか分かんないんだけど、もう驚きの域は越えちゃったよね」
2人はそう言いながら諦めモード。ヒビキさんがおもてなしとばかりにお菓子まで持ってきてくれたらしくクッキーをモリモリ食べる秋。
「あの氷怜先輩ごめんなさ」
「なにも無かったんだろ」
「え?」
「怪我もしてない、1人でも行ってない、秋裕たちにも連絡した。違うのか」
「ち、ちがいません!」
「じゃあ、良いんじゃねえの」
ちょっとため息混じりだけど、優しい声だ。見なくてもどんな顔してるかなんて分かる。
「氷怜先輩好きいぃ」
キュンの上があるならギュン。
ハートが湧き出て止まらない。笑い声が聞こえてそれからと続く。
「赤羽が今そっち向かってっから」
「あ、了解です!」
「今度こそ真っ直ぐ、寄り道はしねぇ。流石に今日これ以上守れなかったら……」
だんだん低くなる声に背筋が伸びる。
「あわわ、分かりました!いえ、分かってます!直行直帰で氷怜先輩にダイブします!!」
「なんだそれ、ははは」
どうやら答えはお気に召したらしい。軽やかに笑って電話が終了した。赤羽さんがもう向かっていると言うなら数十分とせずに来るはずだ。
秋がすぐに反応した。
「お、怒られなかったか」
「うん!もう好き!!赤羽さんがこっちに来てるって……2人それまでに戻ってくるかな」
と言えばちょうど玄関から声が。ドアが開いて2人が戻ってきたらしい。キッチンまでくると春さんが微笑む。
「ごめんね、遅くなっちゃった。ヒビキさん苦手なものとかありますか?」
「え?!あ、いえ、なんでも大丈夫です……なんだかすみません」
恐縮とばかりにヒビキさんは頭を下げると春さんは気にしないでくださいと微笑んだ。秋はいつも通りの何も気にしてないふりで元気に春さんに手を挙げた。
「おかえりなさーい!春さん、赤羽さんも今こっちに向かってるらしいです」
「あ、お迎え?もし料理途中で来ちゃったら、パパッと作るから待ってもらえるかな」
「大丈夫だろ、そんなくらい待たせとけ」
袋から具材を取り出しながら2人がナチュラルに話している。こ、これは無事平和に話ができたと言うことだろうか。
あれ、それはいいのか?いやいや、いくら母親のライバル出現とは言え口出しはしないようにしよう。変な顔になりながらも口をチャック。
するとおれの顔を見た李恩が何故か気不味そうにする。
「え?なんでおれ見てそんな顔するの」
「あはは」
「春さんはなんで笑うの?!」
いっそう謎が深まった。
「何話してんのかなぁ」
「話すことなんて決まってるでしょ」
「麗央さんそんなばっさり……」
「こんなチャンスに何もしないで帰ってこられたら蹴ってもう一回行かせるけど」
麗央さん強し。
でもこんなところが李恩は気に入っているのだろうと思うと良いコンビだ。
「麗央さん麗央さん、李恩って麗央さんといる時もよく喋る?」
「え?そうかも。うるさいし」
麗央さんが思い出すように言うと秋が首を傾げた。
「てかいつの間に仲良くなったんだよ」
「本当にたまたまスーパーで会ってね!流れで買い物を一緒に……秋も優もタメ口が良いって言うと思うよ李恩」
「俺はまだ仲良くする気ないから」
優がふいっと視線をずらした。あら、まだだめよねそりゃ。でもおれが仲良くなればだんだんと優も慣れていくと思うんだよ。友好の架け橋におれはなる!
そんなこんなで結局まったりしてしまって残った5人でテーブルを囲んで紅茶のおかわり。
「ところでなんか、忘れてるような」
あれ?と秋が首を捻るとどこからともなくスマホのバイブ音。一瞬で青ざめた秋と優が脱いでいたコートからスマホを取り上げる。
「そうだったああ、電話したんだったああ」
「もうこれみんなに掛けてるし、赤羽さんに至っては迎えに来る予定の時間すぎてるし……」
おれもスマホをチラ見。当然通知がやばい事になっていた。氷怜先輩、暮刃先輩、那加さん、亜蘭さん、赤羽さんに瑠衣先輩、瑠衣先輩、瑠衣先輩瑠衣先輩瑠衣先輩瑠衣先輩瑠衣先輩。
「いや、瑠衣先輩途中から遊んでるでしょ……」
「おおお……取り敢えずおれがかけるよ」
おれのせいで2人まで来てくれて、先輩たちにも連絡してくれたのだからおれが状況報告しなくては。まずは氷怜先輩を探し出してレッツコール。数秒で繋がるとおれが話し出す前に低い声が響いた。
「……随分と買い物が遠い上に人数が多いなあ、唯斗」
既にぜんぶバレている!!!
おれは秋と優にジェスチャーだけで報告。2人はうんうんと頷いた。
「まあ、そうでしょうよ」
「なんで知られてんのか分かんないんだけど、もう驚きの域は越えちゃったよね」
2人はそう言いながら諦めモード。ヒビキさんがおもてなしとばかりにお菓子まで持ってきてくれたらしくクッキーをモリモリ食べる秋。
「あの氷怜先輩ごめんなさ」
「なにも無かったんだろ」
「え?」
「怪我もしてない、1人でも行ってない、秋裕たちにも連絡した。違うのか」
「ち、ちがいません!」
「じゃあ、良いんじゃねえの」
ちょっとため息混じりだけど、優しい声だ。見なくてもどんな顔してるかなんて分かる。
「氷怜先輩好きいぃ」
キュンの上があるならギュン。
ハートが湧き出て止まらない。笑い声が聞こえてそれからと続く。
「赤羽が今そっち向かってっから」
「あ、了解です!」
「今度こそ真っ直ぐ、寄り道はしねぇ。流石に今日これ以上守れなかったら……」
だんだん低くなる声に背筋が伸びる。
「あわわ、分かりました!いえ、分かってます!直行直帰で氷怜先輩にダイブします!!」
「なんだそれ、ははは」
どうやら答えはお気に召したらしい。軽やかに笑って電話が終了した。赤羽さんがもう向かっていると言うなら数十分とせずに来るはずだ。
秋がすぐに反応した。
「お、怒られなかったか」
「うん!もう好き!!赤羽さんがこっちに来てるって……2人それまでに戻ってくるかな」
と言えばちょうど玄関から声が。ドアが開いて2人が戻ってきたらしい。キッチンまでくると春さんが微笑む。
「ごめんね、遅くなっちゃった。ヒビキさん苦手なものとかありますか?」
「え?!あ、いえ、なんでも大丈夫です……なんだかすみません」
恐縮とばかりにヒビキさんは頭を下げると春さんは気にしないでくださいと微笑んだ。秋はいつも通りの何も気にしてないふりで元気に春さんに手を挙げた。
「おかえりなさーい!春さん、赤羽さんも今こっちに向かってるらしいです」
「あ、お迎え?もし料理途中で来ちゃったら、パパッと作るから待ってもらえるかな」
「大丈夫だろ、そんなくらい待たせとけ」
袋から具材を取り出しながら2人がナチュラルに話している。こ、これは無事平和に話ができたと言うことだろうか。
あれ、それはいいのか?いやいや、いくら母親のライバル出現とは言え口出しはしないようにしよう。変な顔になりながらも口をチャック。
するとおれの顔を見た李恩が何故か気不味そうにする。
「え?なんでおれ見てそんな顔するの」
「あはは」
「春さんはなんで笑うの?!」
いっそう謎が深まった。
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