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rival!!
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秋も優もバイトの休憩時間が重なり、2人はスマホを覗くと固まった。何故フラグを回収するのがそんなにも上手いのか。
「……例えば唯を超安全な空間に監禁したとしても、監禁場所すら勝手に壊れてトラブルが舞い込んでくんのかな」
「生まれた星が悪かったのかも」
ふうとため息をつく優と秋。2人でスマホを眺めているその画面は唯からのメッセージだ。バイトを抜ける事、麗央のピンチのために李恩について行くこと、そんなやりとりは数件続いたけど今はもうきていない。
「なんでしかも榊さんと偶然合流出来んのよ」
「さあ」
榊の話題が上がった瞬間に優が不機嫌になると秋は苦笑しながら頭を撫でる。むくれる姿を見ると弟みたいでついつい撫でてしまうのだ。
「溝は深いねぇ」
まあ、と頬杖をつく優。
最近少し伸びてきたミルクティーベージュの髪は随分と耳にかけやすくなった。
「多分そのうち許しちゃうから今は心ゆくまで嫌っておくことにしてるの」
「優らしいわ、唯はもう全部忘れてたりして」
笑い合う2人だったがすぐにさてどうするかと切り替える。氷怜達に連絡するのは現段階では気が引けた。それに一癖あるとは言え李恩が一緒なのだ。
「もし俺たち行くとして何で行く?なんか電車より車の方が良さそうな場所だったよね」
「そもそも俺たちだけで追うのが得策かと言われればそうでも無いんだよな」
「でも待ってるだけは精神的に合わないと言うか」
唯よりは一旦考えて行動できる2人だが結局動かないと言う選択肢は選べないのだ。
堂堂巡りの会話が途切れると他に誰もいない控室は途端に静かになる。フロア側は未だ騒がしいがお昼のピークは過ぎて人の出入りもそろそろ穏やかになる頃だ。
夕方入りの他のバイトもここに着いていてもおかしくない時間。今日は人数も多いし抜けるのは問題なさそうだ。
「……よし、行くならとりあえず連絡はしよっか」
「誰に……?」
2人で目線を合わせると秋がニッと笑う。すでに指を動かし相手に電話をかけ始めている。
「まずは唯のご主人様に………………んー、珍しい、出ないや。今日の先輩達の予定なんだっけな」
「特に何も聞いてないな。瑠衣先輩は?俺も暮刃先輩にかけてみる」
再度2人で同時に電話をかけるもスマホから聞こえる一定の機械音は永遠に鳴り止まず、結局2人とも終話ボタンを押す。
「なんか神様が自分でなんとかしろって言ってる気がしてきた」
秋の言葉にくすりと笑う優。
「それ、そう思いたいだけでしょ。まあ、とりあえず行くだけ行ってみる?タクシーでいいかな」
「どうしたの?」
トレーに紅茶を2人分乗せた春が控え室にやってきた。立ち上がって今にもどこかに出かけようとしている秋と優に不思議そうに首を傾げる。
「春さん、すみません。なんか唯がトラブルっぽくて俺たち早めに抜けても大丈夫ですか?」
「本当にごめんなさい」
普段から柔らかい笑顔を絶やさない春だが2人が真剣に言うと彼にしては珍しく真顔を見せた。トレーを静かにテーブルに置く。
「それは、全然大丈夫だよ……唯、どうかしたの」
しまった、今の言い方では当然優しい春さんが心配するに決まっている。
その様子に2人は慌てて説明を補足した。
「ああ違うんです。唯がと言うよりは……えーと、あの雑誌に載ってた麗央さんがピンチで唯がそれを助けに行ったんですけど」
「ちょっと物騒かもしれなくて……まあ、強い人も一緒に行ってるので大丈夫だとは思うんですが、念のため俺たちも向かおうかなって」
その言葉にようやく一息置けたのか春はホッとしたようだ。
「そっか、ごめん少し唯が心配になっちゃって……でもその麗央くんも心配だよね」
「そうなんですよ。俺たちも仲良くなりたい人で……あのなので俺たち抜けたいんですがお店大丈夫ですか?」
「うん、もう数分で他の子も着くだろうし今フロアにいる子達で回せちゃうくらいだ」
秋が手をパンッと合わせて頭を下げる。
「すみません、他の日のシフト増やすので!」
「良いよ君たち入りすぎだし……」
言いながら春の視線が一瞬宙を漂った。そして自分のコートのポケットを探ると車のキーを掴んで見せ微笑む。
「俺もいくよ」
「へ?」
「車、必要でしょ」
相変わらず癒される良い笑顔だ。
「……例えば唯を超安全な空間に監禁したとしても、監禁場所すら勝手に壊れてトラブルが舞い込んでくんのかな」
「生まれた星が悪かったのかも」
ふうとため息をつく優と秋。2人でスマホを眺めているその画面は唯からのメッセージだ。バイトを抜ける事、麗央のピンチのために李恩について行くこと、そんなやりとりは数件続いたけど今はもうきていない。
「なんでしかも榊さんと偶然合流出来んのよ」
「さあ」
榊の話題が上がった瞬間に優が不機嫌になると秋は苦笑しながら頭を撫でる。むくれる姿を見ると弟みたいでついつい撫でてしまうのだ。
「溝は深いねぇ」
まあ、と頬杖をつく優。
最近少し伸びてきたミルクティーベージュの髪は随分と耳にかけやすくなった。
「多分そのうち許しちゃうから今は心ゆくまで嫌っておくことにしてるの」
「優らしいわ、唯はもう全部忘れてたりして」
笑い合う2人だったがすぐにさてどうするかと切り替える。氷怜達に連絡するのは現段階では気が引けた。それに一癖あるとは言え李恩が一緒なのだ。
「もし俺たち行くとして何で行く?なんか電車より車の方が良さそうな場所だったよね」
「そもそも俺たちだけで追うのが得策かと言われればそうでも無いんだよな」
「でも待ってるだけは精神的に合わないと言うか」
唯よりは一旦考えて行動できる2人だが結局動かないと言う選択肢は選べないのだ。
堂堂巡りの会話が途切れると他に誰もいない控室は途端に静かになる。フロア側は未だ騒がしいがお昼のピークは過ぎて人の出入りもそろそろ穏やかになる頃だ。
夕方入りの他のバイトもここに着いていてもおかしくない時間。今日は人数も多いし抜けるのは問題なさそうだ。
「……よし、行くならとりあえず連絡はしよっか」
「誰に……?」
2人で目線を合わせると秋がニッと笑う。すでに指を動かし相手に電話をかけ始めている。
「まずは唯のご主人様に………………んー、珍しい、出ないや。今日の先輩達の予定なんだっけな」
「特に何も聞いてないな。瑠衣先輩は?俺も暮刃先輩にかけてみる」
再度2人で同時に電話をかけるもスマホから聞こえる一定の機械音は永遠に鳴り止まず、結局2人とも終話ボタンを押す。
「なんか神様が自分でなんとかしろって言ってる気がしてきた」
秋の言葉にくすりと笑う優。
「それ、そう思いたいだけでしょ。まあ、とりあえず行くだけ行ってみる?タクシーでいいかな」
「どうしたの?」
トレーに紅茶を2人分乗せた春が控え室にやってきた。立ち上がって今にもどこかに出かけようとしている秋と優に不思議そうに首を傾げる。
「春さん、すみません。なんか唯がトラブルっぽくて俺たち早めに抜けても大丈夫ですか?」
「本当にごめんなさい」
普段から柔らかい笑顔を絶やさない春だが2人が真剣に言うと彼にしては珍しく真顔を見せた。トレーを静かにテーブルに置く。
「それは、全然大丈夫だよ……唯、どうかしたの」
しまった、今の言い方では当然優しい春さんが心配するに決まっている。
その様子に2人は慌てて説明を補足した。
「ああ違うんです。唯がと言うよりは……えーと、あの雑誌に載ってた麗央さんがピンチで唯がそれを助けに行ったんですけど」
「ちょっと物騒かもしれなくて……まあ、強い人も一緒に行ってるので大丈夫だとは思うんですが、念のため俺たちも向かおうかなって」
その言葉にようやく一息置けたのか春はホッとしたようだ。
「そっか、ごめん少し唯が心配になっちゃって……でもその麗央くんも心配だよね」
「そうなんですよ。俺たちも仲良くなりたい人で……あのなので俺たち抜けたいんですがお店大丈夫ですか?」
「うん、もう数分で他の子も着くだろうし今フロアにいる子達で回せちゃうくらいだ」
秋が手をパンッと合わせて頭を下げる。
「すみません、他の日のシフト増やすので!」
「良いよ君たち入りすぎだし……」
言いながら春の視線が一瞬宙を漂った。そして自分のコートのポケットを探ると車のキーを掴んで見せ微笑む。
「俺もいくよ」
「へ?」
「車、必要でしょ」
相変わらず癒される良い笑顔だ。
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