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rival!!
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「失礼なやつだな。まあ、実際あいつに言われなきゃわざわざ自分で食材選ぶなんてしねぇけど」
「あ、もしかして麗央さんですか?」
覗き込んだおれに彼は表情も変えない。野菜の状態を見ながらこちらを見もせず言う。
「堅苦しいの嫌いなんだわ。敬語もやめろ」
「え?!あ、えーと、わかった!」
「おー」
なんだか最初よりも随分と話しやすくなったのは先輩達のおかげだろうか。クラブでもよく会うから挨拶はいつもしてたけど基本的には麗央さんに飛びついてばかりだった。
「……じゃあ名前も、呼んでも良い?李恩って」
距離感を図るためにさらに一歩踏み込んでみる。顔をじっと見てたけどやっぱりなにも変わらない。
「好きにしろ」
「おお!嬉しいです~」
「敬語」
「はっ!」
桃花にいつも敬語取って欲しいって言ってたけど、いざ自分でやると難しいかもしれない。でも桃花には絶対タメ口になってもらう。これ絶対。
李恩はあまりここには来たことが無いのか場所を把握しきれていないみたいなので、結局流れで一緒にスーパーを巡っている。ただ、料理は得意なのか手慣れた様子の彼は成分表までチェックしている。これまた意外な。
「家事もやってるんです……やってるんだ」
「どこぞのお姫様は人使い荒いんだよ、出来るやつは使うってよ。あとお前らの大好きなダーリン様方」
「あはは……」
そこにはなにも口出しができないので、笑いで流すしかない。
「まあ別に料理は嫌いじゃねえんだけど……」
いきなり険しい顔になりおれは首を捻る。何か不便でもあるのだろうか。
「あの美容オタク、とにかく食べ物にうるせえ」
「さすが麗央さん!!」
「あ?」
まさかこんなところで麗央さんの話ができるとは、しかもおれが何より大好きな分野。
「なんだよ」
「おれも美容オタクですよー!麗央さん好きー!」
共通点に嬉しくなっていると李恩が何故かニヤリと笑う。
「ちょっと手伝え」
「うえ?!」
ぐいぐいと引っ張られお肉コーナーに。
何事かと思えばそれぞれのお肉で美容に合った料理を教えろと言う。よくよく聞いてみると今まで麗央さんの言う通りに作っていたがレパートリーが尽きて、自分でオリジナルを作ったら麗央さん的にNGなものばかりだったらしい。
「なるほど……ちなみに今って麗央さん減量期だったりします?」
「現状維持」
「なら、基本的にどのお肉でも使うのは美容にも良いのでおすすめで……あ、携帯借りてもいいですか?」
すぐにポンと渡されたスマホに自分の連絡先を追加。そしておれのレシピのメモを送る。今まで調べ上げたダイエット中の食事と、その後の食事、日常的な食事なんてのが載っている。そのメモは元々趣味で調べたもの、あとカフェに女の人がよく来るから女性向けに春さんとのヘルシーメニューを試行錯誤してたりとか。
「ざっと書いてあるので、わからないところあったら聞いてください」
「へえこりゃ結構すげえな。あと、敬語」
「ああ!」
やっぱり年上にタメ口って中々難しい。ぴよちゃんはもう仲良しになってしまったから大丈夫なんだけどなぁ。
とりあえず必要な分は全て揃えてレジでお会計を済ませる。
なんだかんだ山盛りの買い物になってしまった。李恩まで同じく山盛りでなんだか面白い。彼は車で来たようだから問題はなさそうだ。
オープンカーでスーパー来る人先輩達以外で初めてみた。
彼は荷物を後ろに乗せるとスマホを弄る。一瞬目を細め、ちらりとおれの手元を見た。
「……送ってやろうか」
「すぐそこだから大丈夫!」
「色んな意味でそう言ってくれると助かるわ」
「へ?」
いや、もちろん1人で帰れるけど自分から聞いといてそれはどう言うことだ。とか思ってるうちに流れるように彼はエンジンをかけて発進しようとする。
「あいつ1人で出かけんなって日本語聞けねぇのかよ……」
舌打ち付きの言葉が聞こえて来て、そこで初めて李恩が焦っていることに気がつく。握っているスマホの画面が見えた。麗央さんからの助けての文字に思わず運転席のドアを掴む。オープンカー掴みやすくて良かった。
「……まさか一緒に行くとか言うなよ」
答える前におれの荷物は全部後ろの席に乗せて自分は助手席に乗り込んだ。進行方向がどっちかなんて知らないけどとにかくビシッと前を指さして叫ぶ。
「しゅっぱーつ!!」
心底嫌そうな顔だったけど李恩は何も言わずに発車してくれた。
それでもああ、またやってしまった、という気持ちはあるのでとりあえず秋と優に伝言だけ送ろう。
バイト少し抜けます、ごめんなさい。
今のところ知らない人には着いて行ってないので大丈夫です。
「あ、もしかして麗央さんですか?」
覗き込んだおれに彼は表情も変えない。野菜の状態を見ながらこちらを見もせず言う。
「堅苦しいの嫌いなんだわ。敬語もやめろ」
「え?!あ、えーと、わかった!」
「おー」
なんだか最初よりも随分と話しやすくなったのは先輩達のおかげだろうか。クラブでもよく会うから挨拶はいつもしてたけど基本的には麗央さんに飛びついてばかりだった。
「……じゃあ名前も、呼んでも良い?李恩って」
距離感を図るためにさらに一歩踏み込んでみる。顔をじっと見てたけどやっぱりなにも変わらない。
「好きにしろ」
「おお!嬉しいです~」
「敬語」
「はっ!」
桃花にいつも敬語取って欲しいって言ってたけど、いざ自分でやると難しいかもしれない。でも桃花には絶対タメ口になってもらう。これ絶対。
李恩はあまりここには来たことが無いのか場所を把握しきれていないみたいなので、結局流れで一緒にスーパーを巡っている。ただ、料理は得意なのか手慣れた様子の彼は成分表までチェックしている。これまた意外な。
「家事もやってるんです……やってるんだ」
「どこぞのお姫様は人使い荒いんだよ、出来るやつは使うってよ。あとお前らの大好きなダーリン様方」
「あはは……」
そこにはなにも口出しができないので、笑いで流すしかない。
「まあ別に料理は嫌いじゃねえんだけど……」
いきなり険しい顔になりおれは首を捻る。何か不便でもあるのだろうか。
「あの美容オタク、とにかく食べ物にうるせえ」
「さすが麗央さん!!」
「あ?」
まさかこんなところで麗央さんの話ができるとは、しかもおれが何より大好きな分野。
「なんだよ」
「おれも美容オタクですよー!麗央さん好きー!」
共通点に嬉しくなっていると李恩が何故かニヤリと笑う。
「ちょっと手伝え」
「うえ?!」
ぐいぐいと引っ張られお肉コーナーに。
何事かと思えばそれぞれのお肉で美容に合った料理を教えろと言う。よくよく聞いてみると今まで麗央さんの言う通りに作っていたがレパートリーが尽きて、自分でオリジナルを作ったら麗央さん的にNGなものばかりだったらしい。
「なるほど……ちなみに今って麗央さん減量期だったりします?」
「現状維持」
「なら、基本的にどのお肉でも使うのは美容にも良いのでおすすめで……あ、携帯借りてもいいですか?」
すぐにポンと渡されたスマホに自分の連絡先を追加。そしておれのレシピのメモを送る。今まで調べ上げたダイエット中の食事と、その後の食事、日常的な食事なんてのが載っている。そのメモは元々趣味で調べたもの、あとカフェに女の人がよく来るから女性向けに春さんとのヘルシーメニューを試行錯誤してたりとか。
「ざっと書いてあるので、わからないところあったら聞いてください」
「へえこりゃ結構すげえな。あと、敬語」
「ああ!」
やっぱり年上にタメ口って中々難しい。ぴよちゃんはもう仲良しになってしまったから大丈夫なんだけどなぁ。
とりあえず必要な分は全て揃えてレジでお会計を済ませる。
なんだかんだ山盛りの買い物になってしまった。李恩まで同じく山盛りでなんだか面白い。彼は車で来たようだから問題はなさそうだ。
オープンカーでスーパー来る人先輩達以外で初めてみた。
彼は荷物を後ろに乗せるとスマホを弄る。一瞬目を細め、ちらりとおれの手元を見た。
「……送ってやろうか」
「すぐそこだから大丈夫!」
「色んな意味でそう言ってくれると助かるわ」
「へ?」
いや、もちろん1人で帰れるけど自分から聞いといてそれはどう言うことだ。とか思ってるうちに流れるように彼はエンジンをかけて発進しようとする。
「あいつ1人で出かけんなって日本語聞けねぇのかよ……」
舌打ち付きの言葉が聞こえて来て、そこで初めて李恩が焦っていることに気がつく。握っているスマホの画面が見えた。麗央さんからの助けての文字に思わず運転席のドアを掴む。オープンカー掴みやすくて良かった。
「……まさか一緒に行くとか言うなよ」
答える前におれの荷物は全部後ろの席に乗せて自分は助手席に乗り込んだ。進行方向がどっちかなんて知らないけどとにかくビシッと前を指さして叫ぶ。
「しゅっぱーつ!!」
心底嫌そうな顔だったけど李恩は何も言わずに発車してくれた。
それでもああ、またやってしまった、という気持ちはあるのでとりあえず秋と優に伝言だけ送ろう。
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