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kick!!
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ところで、今日はどうしたら良いのかとリョウに聞いても普通にしてて良い、適当に見てるからと言われてしまった。
「普段を見ないと分かんないし、チームの事は双子に聞く」
「リョウのくせに上から!」
「チビのくせに上から!」
また言い合う3人。もはや仲良しに見えてきた。
それにしても普通にと言われたけど今の瑠衣先輩は普通にしてくれなさそうだし、単にデートしにきた先輩達には申し訳ないので提案を出す。
「瑠衣先輩動かないからどこか他見たりしてますか?2人も見たいところあれば好きにして良いからな」
優と唯が目を合わせて頷く。
暮刃先輩を見上げた優は先輩の腕を軽く引っ張った。
「見たいお店何個かあるし、一旦分かれます?」
「そしたら、後で合流しようか。大丈夫?2人にして」
暮刃先輩が心配してくれるが俺のせいなので大丈夫ですと頷く。普通で良いなら俺1人でも大丈夫だろう。
そうして4人が別行動になって、続いて暴れるリョウも神さん才さんに引きずられ消えていく。
残された俺はとにかくまずは瑠衣先輩の機嫌を取る事にする。ショッピングモールなのだから買い物、と思ったけど歩こうとしないし、こんな美形引きずって歩くの目立つし重いし歩き回るのはすぐにやめた。
「ぬおお、足がマジでプルプルしてる……!」
「鍛えが足りないんじゃなーイ?」
なんとか近くのフードコートにたどり着いて話題のスイーツが立ち並んでいたので速攻でそこに決めて、引きずるようにして椅子に瑠衣先輩を座らせる。
「ほら瑠衣先輩、食べたいのあったら買ってきますよ。俺の奢りですよ」
そう言っても項垂れたまま動こうとせず、まるでどこかに向けて話すように少し大きめの声で不満を言う。
「あーあー、見られてんのやだナー」
「え」
周りを見渡してもリョウ達は見当たらない。瑠衣先輩が視力良い事は知ってたけど、気配まで察せるようだ。覗くとしたらもちろんリョウなのだろうけど、そんなに隠れるのが上手いとは思えないので神さん才さんのおかげかも。
「あー、でもパッと見ても分かんないですよ。機嫌直してくださいよー、せっかく来たのに」
「フーン、長谷リョウのためにー?」
テーブルにうつ伏せになりながらそう言う瑠衣先輩。不機嫌になるのは想定していたけど、ここまでなのは正直意外だった。この人に他人に対しての冷たさと言うか、完全に他人を目にも止めようとしない面がある事も知っている。だけどリョウにだけ頑なに嫌がっているように感じるのは何故だろう。
「巻き込んで申し訳ないって思ってますよ、本当に今日だけで……あ、ちょっと待ってください」
適当に飲み物だけを買って渡すが手も伸ばしてくれない。それにあの瑠衣先輩がスイーツにも目がいかないなんて珍しい。スイーツの前に一旦瑠衣先輩の前の席に座る事にしたのはこれはかなり重症だと確信したから。
通知を鳴らすバイブに気付いてスマホを覗けば唯と優から何かあったら呼んでねと連絡が入っていた。2人もそれなりにこの事態について思う事はあるみたいだけど、こうやって見守ってくれている。
「瑠衣先輩はそんなにリョウだめなんですか?」
「さーねー?」
テーブルに置いた自分の腕の上に顎を置いて遠くを見る瑠衣先輩。横顔も綺麗だなとかそんな呑気にしている場合ではない。
空いている手を借りて握ってみると握り返された。形をなぞるように触りながら素直に考えてみる。そもそもクリスマスの時だってリョウいわく牽制みたいな目を向ける必要があったのだろうか。
基本的に先輩達って余裕を持っているし、余裕を持つだけの力も知識も地位もある。嫉妬はしても焦りとは違うしそれすらも楽しんでいるように見える。これは確実に合っている。
「いつもの自信はどこに行っちゃったんですか」
「そんなの当たり前にあるケド」
「えええじゃあそんな不機嫌にならんでも!」
まあ、そうだよな。自信無くしたとか言われたら流石に目が飛び出るし。いやどんだけこっちはあんたに懐いてると思ってんだよとツッコミ入れちゃうわ。
例えば俺の事を気に入っている相手がいたとしても2人で出掛けたりするなとかも言わない。まあムクれるような態度をわざと出したりはするかもしれないけど、止めないのは自信があるからだ。
と言う事は単純な牽制って少し珍しくないか。
俺からしてみれば可愛い弟くらいのリョウだけど、瑠衣先輩からしてみたらどう見えるんだ。俺が可愛がってる弟、それが気に食わない?
でもそれだけ?いや、それだけじゃないはず。
わがままを見て俺がどうするかと言えば世話を焼く。唯も優もわがままでは無いけど弟みたいな可愛さがあるし。
でも俺が弟みたいな人を見ると世話を焼く性格を瑠衣先輩は知ってるし、それ以上の気持ちがあるのだから瑠衣先輩と付き合っている。これはただ世話を焼いてるだけの感情じゃないってそんなの知ってるじゃないか。
あれでも、そこまでの事を口にして、もう一度話した事があっただろうか。
「普段を見ないと分かんないし、チームの事は双子に聞く」
「リョウのくせに上から!」
「チビのくせに上から!」
また言い合う3人。もはや仲良しに見えてきた。
それにしても普通にと言われたけど今の瑠衣先輩は普通にしてくれなさそうだし、単にデートしにきた先輩達には申し訳ないので提案を出す。
「瑠衣先輩動かないからどこか他見たりしてますか?2人も見たいところあれば好きにして良いからな」
優と唯が目を合わせて頷く。
暮刃先輩を見上げた優は先輩の腕を軽く引っ張った。
「見たいお店何個かあるし、一旦分かれます?」
「そしたら、後で合流しようか。大丈夫?2人にして」
暮刃先輩が心配してくれるが俺のせいなので大丈夫ですと頷く。普通で良いなら俺1人でも大丈夫だろう。
そうして4人が別行動になって、続いて暴れるリョウも神さん才さんに引きずられ消えていく。
残された俺はとにかくまずは瑠衣先輩の機嫌を取る事にする。ショッピングモールなのだから買い物、と思ったけど歩こうとしないし、こんな美形引きずって歩くの目立つし重いし歩き回るのはすぐにやめた。
「ぬおお、足がマジでプルプルしてる……!」
「鍛えが足りないんじゃなーイ?」
なんとか近くのフードコートにたどり着いて話題のスイーツが立ち並んでいたので速攻でそこに決めて、引きずるようにして椅子に瑠衣先輩を座らせる。
「ほら瑠衣先輩、食べたいのあったら買ってきますよ。俺の奢りですよ」
そう言っても項垂れたまま動こうとせず、まるでどこかに向けて話すように少し大きめの声で不満を言う。
「あーあー、見られてんのやだナー」
「え」
周りを見渡してもリョウ達は見当たらない。瑠衣先輩が視力良い事は知ってたけど、気配まで察せるようだ。覗くとしたらもちろんリョウなのだろうけど、そんなに隠れるのが上手いとは思えないので神さん才さんのおかげかも。
「あー、でもパッと見ても分かんないですよ。機嫌直してくださいよー、せっかく来たのに」
「フーン、長谷リョウのためにー?」
テーブルにうつ伏せになりながらそう言う瑠衣先輩。不機嫌になるのは想定していたけど、ここまでなのは正直意外だった。この人に他人に対しての冷たさと言うか、完全に他人を目にも止めようとしない面がある事も知っている。だけどリョウにだけ頑なに嫌がっているように感じるのは何故だろう。
「巻き込んで申し訳ないって思ってますよ、本当に今日だけで……あ、ちょっと待ってください」
適当に飲み物だけを買って渡すが手も伸ばしてくれない。それにあの瑠衣先輩がスイーツにも目がいかないなんて珍しい。スイーツの前に一旦瑠衣先輩の前の席に座る事にしたのはこれはかなり重症だと確信したから。
通知を鳴らすバイブに気付いてスマホを覗けば唯と優から何かあったら呼んでねと連絡が入っていた。2人もそれなりにこの事態について思う事はあるみたいだけど、こうやって見守ってくれている。
「瑠衣先輩はそんなにリョウだめなんですか?」
「さーねー?」
テーブルに置いた自分の腕の上に顎を置いて遠くを見る瑠衣先輩。横顔も綺麗だなとかそんな呑気にしている場合ではない。
空いている手を借りて握ってみると握り返された。形をなぞるように触りながら素直に考えてみる。そもそもクリスマスの時だってリョウいわく牽制みたいな目を向ける必要があったのだろうか。
基本的に先輩達って余裕を持っているし、余裕を持つだけの力も知識も地位もある。嫉妬はしても焦りとは違うしそれすらも楽しんでいるように見える。これは確実に合っている。
「いつもの自信はどこに行っちゃったんですか」
「そんなの当たり前にあるケド」
「えええじゃあそんな不機嫌にならんでも!」
まあ、そうだよな。自信無くしたとか言われたら流石に目が飛び出るし。いやどんだけこっちはあんたに懐いてると思ってんだよとツッコミ入れちゃうわ。
例えば俺の事を気に入っている相手がいたとしても2人で出掛けたりするなとかも言わない。まあムクれるような態度をわざと出したりはするかもしれないけど、止めないのは自信があるからだ。
と言う事は単純な牽制って少し珍しくないか。
俺からしてみれば可愛い弟くらいのリョウだけど、瑠衣先輩からしてみたらどう見えるんだ。俺が可愛がってる弟、それが気に食わない?
でもそれだけ?いや、それだけじゃないはず。
わがままを見て俺がどうするかと言えば世話を焼く。唯も優もわがままでは無いけど弟みたいな可愛さがあるし。
でも俺が弟みたいな人を見ると世話を焼く性格を瑠衣先輩は知ってるし、それ以上の気持ちがあるのだから瑠衣先輩と付き合っている。これはただ世話を焼いてるだけの感情じゃないってそんなの知ってるじゃないか。
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