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しおりを挟む途中からお風呂に入ってきた優は少し元気になっていて、他愛もない話をしてたら結局長風呂。ヘロヘロになって交代で髪を乾かしながらベッドでいつのまにか3人で寝ていた。
この家、外の騒音が全く聞こえないからものすごく良く寝てしまうのだ。いつもならわりと早く起きるんだけど今日はかなり遅め。
「……キングサイズベッド5人でも余裕」
おかしいな。優を真ん中にして3人で寝ていたのに。
いつのまにか氷怜先輩と瑠衣先輩が両端でおれたちを挟むように寝ている。このベッドキングより大きくないか?
ルーズな部屋着に着替えている氷怜先輩から同じ香りがして、それがすごく安心して思わず擦り寄った。逆を見ると優がすうすうと眠っている。顔色も良さそうだし安心安心。
暮刃先輩いないなら朝食作ろうかな。
優は優しい物がいいよなぁ。
いざ起きようと思い身体を起こした。そっと間を縫ってベッドから降り廊下に向かうと、誰も居ないはずの一階に人影。食器の音に水の音、吹き抜けから顔を出したら視線に気づいたのか顔を上げた。
「おはよう、唯」
おれは嬉しくてたったか階段を降りていく、危ないよといつもの柔らかい笑顔がやっぱり嬉しくてキッチンまで駆け込んだ。
「暮刃先輩おはようございます~」
「よく寝れた?」
「はい」
綺麗な手が頭を撫でてくれる。
今日はもう会えないかと思っていたから良かった。やっぱり全員揃わないとね。
「なんだ、来たのか暮刃」
「氷怜」
ぐっと身体を伸ばしながら階段を降りてくる氷怜先輩。まだ眠たそうな目だ。
「起こしちゃいました?」
「さらっとベッドから抜け出す薄情なわんこが居たからな」
「え?!」
まさかおれの事か、起こさないようにと出てきたのが裏目に出るとは。
「ジョーダン、はよ」
後ろから抱きしめふわりと持ち上げられ、こめかみにキスが降りる。甘い、そして可愛い。わしわし先輩の頭を撫でてあげると小さく笑う。
「大型犬~」
見ていた暮刃先輩が吹き出した。
「唯に犬って言われたら氷怜も形なしだ。ねえまだサラダしか作ってないけど……何食べる?」
「パン」
即答した氷怜先輩はおれを下ろさずそのままリビングのソファまで移動する。パンも良いなぁ。でも優しいものの方がいいかなぁ。
「OK。唯は?」
「んー優が何食べれるかなぁと」
「なんでも食べるよ。もう平気」
いつのまにか階段を降りてきていた優が立っていた。顔色はいい、だけど表情は硬い。すぐにおれは暮刃先輩の顔をチェックした。
「おはよう」
「おはようございます」
暮刃先輩の笑顔だ、いやとっても綺麗な笑顔ですよ、絶対誰もがうっとりする笑顔、なんだけど流石にこれだけ一緒にいたらそれが壁のある笑顔だとわかる。
「じゃあ適当に作るよ」
「お願いします」
キッチンには入らずこくんと頷く優。
ううん……距離が、なんか距離がある。
いつもゼロ距離なのに1メートルくらいあるなぁ。
優ってもともとそんなにくだけた話し方しないから、余計に空気が硬い。ソファに下され氷怜先輩の足の間から覗いていたけど、耐え切れなくて氷怜先輩を振り向いた。目線を合わせてくれると耳元でこそりと話してくれた。
「まずは2人でやらせとけ」
やはりそうするべきなのだろうか。
次いで降りてきた秋と瑠衣先輩によって食卓は賑やかになったがおれがハラハラしてしまう。
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