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secret!!!
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しおりを挟む「本当、メイクの腕が良いのか元の素材が良いのか……可愛いわよねぇ」
二階の吹き抜けからその姿はすぐに見つける事が出来た。氷怜達がようやく到着した店でサクラが手招き、その光景を見せたのだ。
顔こそ可愛いものだが、氷怜達は普段の優や秋、唯が女だと思う事はあまりない。中身も女性に対するその行動も一貫して潔いからだ。
だが、いざドレスを纏い唯が施したメイクが入ると男らしさのかけらもなくなる。本人達の実力もあるが仕草すらおかしな点がなくなるのが不思議だ。隣に座る男に黒い感情が生まれると同じくらい、それぞれが愛おしくてたまらない。
白い階段のアーチによりかかる瑠衣が不満そうに言った。
「アッキー平均的とか言ってるケド、超細いヨネー」
「あの子体のパーツすごい綺麗で驚いちゃった。ほらでも女の子に付けたから安心しなさい」
「サクラちゃんナイス~」
それでも横を通りかかる男の客が秋に視線を引っ張られたままだ。ハッとしたところで視線を戻すと真っ直ぐに歩き出す。暗めの髪の毛を下ろし少し猫目気味な目が微笑んだからだ。瑠衣がぽつりと漏らす。
「わんこかなー」
氷怜はこの時瑠衣のいつもの謎の発言だと思っていたが、個室で2人を見た氷怜はすぐに納得したのだった。そんな事は露知らず、サクラがため息をついた。
「可愛くて雰囲気のいい子が入ったねって何人も言われたし、誰かさん達が許してくれるなら働かせたいわよもう」
「冗談はやめてくれ」
本気ですが、とサクラは氷怜を睨むがその目線の先はフロアに向けられたままだ。相手の話を素直に聞く、反応の返し方も相手を満足させる丁度良い態度。たまにクスリと笑う仕草に、唯の隣の男が照れたように目線を伏せるのを見た氷怜はなんとも言えない感情が生まれ思わず笑ってしまう。
そんな感情を味わったことが無かったのだから。
その時、穏やかな声がかかる。
「やあ、早かったね。可愛いでしょみんな」
「胡蝶……随分なもの送ってくれたな」
「あれくらいで我慢したんだから許して欲しいくらいだけど」
裏から回ってきた胡蝶がドレス姿で微笑んだ。もともと仕草に男らしさが薄いため、身長があっても違和感がない。
「今日はあなたとアゲハのお陰で絶好調よ、胡蝶」
サクラが嬉しそうに言うと胡蝶は特に驚く事もなく、緩やかにサクラの横に立つ。
「それは良かった。仕事で手は抜きませんから」
「真面目なのは仕事だけだな」
「私生活を欲に委ねるのは君達も同じでしょ…あ、可愛い子がいる」
「胡蝶ったら……」
ドレスを着ていてもその趣味趣向は変わらない。呆れたサクラの横で、一瞬で相手を見つけた胡蝶は少し驚く。
「あの子、氷怜も知ってるんじゃないの?いや、瑠衣の方が知ってる?」
いつのまにか入れ替わっていた唯の相手、たしかに胡蝶好みの可愛い顔。
「いや……」
「あーオレ撮影一緒にしたことあるよー」
つまり瑠衣のモデルつながり、その世界に興味のない氷怜には無縁の話だった。氷怜はそれよりも瑠衣が顔を覚えてると言った事に驚く、嫌悪を抱いたものはわりと覚えているがそれ以外では珍しい。
「お前が覚えてるなんて珍しいな」
「だってひーの事しか聞いてこないからピヨピヨウルサーイって言ったの」
「なに、可愛い子ってみんな氷怜狙いなの?」
「知るかよ」
見たことも無い人間に好かれたところで何もならない。
興味がないと吐き捨てる。
「ところで暮ちん優たんのとこ行ったけど、大丈夫ー?」
「その辺の理性は残ってんだろ」
「わりと優夜くんしっかりしてたから大丈夫だと思うけど……」
そんな会話を思い出した氷怜は暮刃の異様な雰囲気とぐったりとした優を見て眉を上げた。サクラから酒を飲んだと言う事は聞いていたし、多少のお仕置きをするにしても暮刃の機嫌が悪すぎる。
「……何があった?」
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