sweet!!

仔犬

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secret!!

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「は?」

あんまり、は?って言うの好きじゃないんだけど思わずこぼれ出てしまった。何故突然、容姿を褒めるのか、しかもこの人に、このタイミングで。

俺があまりにも不思議そうに見るからか、相手は小さく鼻で笑った。

「お前らの王子様だって男女関係なくソウイウコトしてる奴らだろう。だったら俺があんたのことをそう見てもおかしくない」

「いや、そこ否定するわけじゃ」

「なんだよ、ああ、俺のタイプが気になるのか?アンタみたいに細身でラインが綺麗なのは正直そそる。今日の格好いいと思うぜ。髪は暗い方が好きだけどな」

「うわ、好みのタイプなんて聞いてないです。そうじゃなくて……」

そこじゃない、意味がわからないのはそう言うことではなくて。

「なんだ……?」

ああ、頭痛いしあんまり考えたくないのに、初めて会った時の事、クリスマスの事、それらのその時の言動が蘇る。

黒い瞳はずっと真っ暗で、何も写していない。
逆にあのトシさんは分かりやすかった、全部が全部タクミさんを好きだって、身体も目も行動も言っていた。自分で気づいてないようだけどあんなに分かりやすいのに。
この人の目はいつだって何も灯さない。

「俺に興味がないし、何にも望んでいないのにわざとちょっかい出してる」

だから余計にムッとくるんだこの人に。ああなんかすごい納得。

相変わらず馬鹿にしたように男が小さく笑った。心なしか掴まれた腕に力が入ったような気がする。

「だからなんだ。勝手な推測に意味はない」

「まあ、そうですけど。でもこっちに被害が来るから貴方とは向き合わないといけない」

「向き合う?俺とか」

「自分からけしかけて、あんなはた迷惑なやり逃げは卑怯だしむかつくから。言い負かそうかと」

俺はもう急いでいるし、この際全部言って会話に終着地点を持ちたいのだ。それに頭痛いし、眉間にシワが入っているのが触らなくてもわかる。

「実際興味ないですよね?」

「さあ」

「そうやっていつもはぐらかすし、たぶん先輩達のこともそんな興味が無いです」

「まさか、興味がなきゃ聖なる日に会いに行ったりなんかしねえだろ」

そうなんだけど、それでも興味が無いと言われた方がしっくり来るんだ。だって、無意味な行動が多すぎる。言いたくは無いけどこの人頭は絶対に良い、それなのにあんな行動。まるで……。




「ないものねだり」


うわ、自分で言って余計にムカついてきた。
そんなことのためにストレスが溜まったのだからむくれても良いはずだ。どうせこの人何も気にしないだろうし。



「……は」

だけど、意外にも俺が言った言葉に榊李恩が固まった。
初めてこの男の固まったような笑顔を見た。そんなに驚くことだろうか、自分自身でわかるだろう。しかも腕、痛いんですけど。

「……くくっ」

「腕痛いです。離してください」

「はははっ」

「え、ツボに入ってます?ちょっと怖いからやめてくださ」

掴まれた腕がガラスに貼り付けられた。目の前が真っ暗になり唇に感触、それが榊李恩のものだとわかる前に突き飛ばした。睨んだ俺に蛇は笑う。


「やっぱあんた、可愛い」


すでにドアに手をかけた俺は車から降りるが立ち上がった瞬間世界が揺れた。気づかなかったけどかなり酔ってる。体が震えるのもきっとそのせい。

「おい、下手に動くな」

崩れ落ちた俺に後ろからあいつが来る音がした。なんとか立ち上がろうとしたけど、やっぱり気持ち悪いほど視界が回る。また倒れそうになると誰かに抱きしめられた。

ああ、花の香りだ。


「触るな」







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