sweet!!

仔犬

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secret!

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「サクラ姉さん!」

「みんなー!」

きゃっきゃ飛びついてハイタッチ。今日のサクラ姉さんのコーディネートを紹介しよう。紺のミニ丈ドレスにレースアップのハイヒールをはいて、高い位置で結ばれた長い髪は緩く崩して後毛で色気を演出。もう、完璧。

「紺も似合います」

「ふふ、ありがとう。今日の主役が目立つようにね」

後ろで車から胡蝶さんが手を振った。

「俺は車を置いてきますね」

「車ありがとう胡蝶。休みなのに悪いわね」

「まさか、役得です」

微笑んだ胡蝶さんは駐車場へと車を出していく。

「さてと、まだ人はいないから……」

さあどうぞと案内された高級クラブ。白で統一された店内はどこもかしこも上品だ。作りは真ん中に大きな階段が広がるように降りて、赤い絨毯が高級さを引き立てている。大きなシャンデリアが高い天井で輝いていた。

イノさん達のクラブが城そのものを表すならここはお姫様の部屋のよう。受付に書かれた看板を優が目にとめた。

「femme fataleの店名が心に響きます」

「私が決めたのよ。女はいつだって運命を握ってる」

「そんなの唯が感動で泣いちゃいますよ」

「秋、もう泣いてるよ」

「ぐす」

サクラ姉さんには本当に頭が上がらない。女性の素晴らしさ、したたかさ、尊さはおれがずっと胸に抱いているものだ。だって、ライトの色も鏡の位置もソファの高さまで計算されていると聞いて全おれが号泣もの。

「それにしてもこんな朝早くから引っ張ってきてごめんね?だってあの子達ったらそんな予定づまりで唯斗くん達どうするつもりだったの?って聞いたらシェアハウスに居させるとか言うから!」

「や、でも俺たち何もなければシェアハウスでのんびりしてますし1日くらい」

「だけどせっかくのお休みなのよ?予定までお店の子と遊んだ方が楽しい休日になるでしょう」

フロアを通りすぎてスタッフルームへ。アゲハさん、キラネさん、蝶子さんの3人の部屋があると言うので連れて行ってもらった。

「ほわぁ……」

埋め尽くすほどのドレスに至る所に華奢なピンヒール が置かれて部屋自体が芸術品のようだ。ドレスを贈るのが好きと言っていたのが頷けるほどその量は膨大だった。

「アゲハは特に大好きなのよね、1度も同じドレスは着ないわよあの子。とにかくドレスを着れる今を楽しみたいって」

「え?!すげえ……」

「アゲハさんって、女性のファンも多いんじゃないですか?」

「優夜くん、あんまりアゲハと話してないのにすごい……そうなのよ。あの子のお客様ってもちろん男性には負けるけど女性客も安定してついてるわ」

男女共に憧れる部分を持っているなんてこの世界では無敵ではないだろうか。ソファに促され座り込むと軽く腕を組んだサクラ姉さんが首をかしげる。

「時間はまだあるけどどうする?ここでメイクしてもいいし」

「この部屋借りちゃって良いんですか?」

「気にするような子じゃないわ」

ではお言葉に甘えて、持ってきた道具を広げる。自分ようだからイノさん達の時とは違って荷物はリュック 一つで足りた。

「私は少しお店の子と連絡とってくるから好きに過ごしてね。後でティータイムにしましょう?」

「はーい!」

サクラ姉さんを見送って最後に重要なものを取り出す。

「そんでこれ!」

事前に色の希望を聞いてみたら即答で白のドレスでした。

「うーん、アゲハと趣味が合うかもしれない」

「胡蝶さん!」

「久しぶりにこっち来たよ。相変わらずだねアゲハ」

戻ってきた胡蝶さんの感心する声を聞きながら大きな鏡を借りてスキンケアから始める。家で研究はしてるけどちゃんと変身するのなんて中学生ぶりかもしれない、あとは女の子が遊んで髪をいじったり軽くメイクしてくれたりはあるけど。

「2人もしてあげようか?」

「前よりだいぶ身長伸びたよ俺」

「秋も骨格綺麗だからいけるよ。優も相変わらず細いしさ」

「なに、みんな女装したことあるの?」

胡蝶さんの驚いた声に思わず笑ってしまう。この会話普通の人が聞いたらやっぱり不思議だよなぁ。秋がかわりに説明してくれた。

「唯がこんな感じですし。なんか女装する機会が増えて」

「あれそれもおれのせい?……あ、いやこれはおれのせいだね」

流石にこの顔とこの趣味なら仕方がない。こればっかりは自信があるし、大体の人良い感じにできちゃうもん。ボディビルダーとかじゃない限り。中性的な胡蝶さんなんてもうおちゃのこさいさい。

「胡蝶さんもやりません?」

「今日はでもお姫様になるんでしょ?だったら王子がいないと」

「ざんねーん」

くすくす笑ってそんな会話をしながらも手は止まっていない。アゲハさんはなに色のドレスなんだろう。おれに白と言っていたから淡いピンクだろうか、この部屋は全体的に明るい色が多いし。

「唯ってウィッグ何個持ってる?俺らメイクしてくれた時も唯の自前だったし……」

「えー女装した数だけある気がする……」

「うわぁ」

優がウィッグをブラシで整えてくれている間にベースとアイメイク完了。一つ離れて見ていた胡蝶さんが話し出す。

「それにしても肌綺麗だよね。秋も優もだけど、なにしてるの?」

「胡蝶さんが唯に教えてもらったこと全部してますよ俺ら、その辺は完全に洗脳されたんで」

「女の子はあれを毎日してるんだから尊いよねぇ……」

「たぶん普通の女の子よりもしてるよ唯は」

「そうかなぁ」


せっかくピンクに染めたけどウィッグはグレージュだ。白いドレスをピンクでイメージ変えたくない。強い赤の口紅好きなんだけどあんまり似合わないから少しぼかして淡さを混ぜる。眉にも似た色をのせて少し垂れ気味に。目は元の形を生かしたままナチュラルに、だけど輪郭は強調して。


「こんな感じかなぁ」

「はいこれ」


ウィッグを受け取ってサッと被る。最初はてこずったけど慣れたものだ。最後にコテで巻いていくと秋が覗きながら笑った。

「頭も顔もちっさいな」

「俺からしたらみんな小さいよ」

「胡蝶さんもその身長でその顔の小ささは異常ですって」

ドレスが目一杯可愛いから髪の毛は下ろしてバランスを取ろう。巻いた髪に手を入れて崩していく。さて、そこまできたら服はぽいぽい脱いでドレスを纏った。靴はアゲハさんが貸してくれると言うので裸足だけど纏うものが変わればスイッチが押される。
こっからはもう、唯斗じゃない。


「どうかな?」


振り向いたら秋と優が右、左、と見てにっこり。


「女の子になった。似合ってるよ」

「可愛い」

こう言う時2人ともさらっと褒めれる良い男になったなぁ。だが感動する暇もなく腰に手が回った。抱き寄せられ、随分と綺麗な顔と色気のある目がおれを捉えた。


「胡蝶さんどうし」

「唯さ、本当に一回俺に抱かれてみない?」









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