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参拝はしっかり二礼二拍手一礼しましたとも。
真面目な顔で神様に手を合わせていた2人に今年の願い事をきいてみた。
「秋は?」
「んー?全力で楽しむ」
「優は?」
「好きに生きる」
もうすでに全力で楽しんでるし好きに生きてるけど2人は。
だからおれも願い事は大して変わらない、そもそも毎年同じようなものだった。それで唯は?と秋に聞き返されて満面の笑みで答える。
「今年もマイペースでゴ~」
「神様もうやる事ないね!」
「神様にとったらむしろ手のかからない良い子かも」
そんなおれたちに呆れる式はチームでの活躍と部活のことだって言うから涙ぐましくてお兄さん泣いちゃう。
桃花は少し手伝いがあると言って少しの間抜けている。忙しいのに行ったり来たりしてくれて申し訳無さもあるけど、やっぱりこういうイベントの日に会えるのは嬉しいよね。
先に参拝を済ませたおれたちは少し離れて、人一倍目立つ先輩達を後ろから眺めていた。
「ほらほら」
先輩達が手を合わせる瞬間を写メに残すためだ。
こんなに絵になる参拝客はなかなか居ないから、驚いたのは神様も同じなはず。そして瑠衣先輩が満面の笑みでばさっと札束投げたような気がするけど気のせいだ、きっと気のせい。
人一倍大きい拍手の音の瑠衣先輩が振り返り階段を降りていき数歩遅れてこちらに戻る途中で暮刃先輩と氷怜先輩があっという間に数人の女の子に声を掛けられ囲まれる。
勇気を振り絞ったのだろう寒さと緊張で上気した赤い頰と恐る恐る近付くその姿がいじらしい。
ひゅーと秋が囃し立てた。
「さっすが」
「どこでもあんな感じだよね」
そりゃ声かけたくなるよね、あんなイケメンに年の初めに遭遇しちゃったら1年ハッピーだとも。秋も優もうんうんと共感していたら式が怪訝な顔をする。
「あれはお前らにとって嫌じゃねえの……?」
「ん?なんで?」
「いや……本当嫉妬しないもんだなぁって」
「うーん、あーでも独占欲は出たのかも」
さらっと言った優の言葉に思い当たるふしがある秋もおれも曖昧に笑っておいた。だって式がへえ……と珍しく意地の悪そうな顔をするから。
「今年も楽しくなりそうだな」
「ここでそのセリフ?!」
式最近ちょっとおふざけ入れるようになってきたよね?お兄さん嬉しいけどこのタイミングは複雑よ。ニヤリと笑っていた式だけど時おり何かを睨むようにあたりを見渡す。どうかしたのかと聞けば、流石なのはお前らも一緒なんだよなとのこと。
それはつまりどういう事だと聞き返す前に優が一歩前に出た。
「お帰りなさい」
「式が珍しい顔してる」
ひらひらとさっきの人たちに手を振って上手に交わしたのか暮刃先輩が最初に戻ってきた。流れるように優の腰を取ると、甘い笑顔でグレーの瞳を揺らした。
「俺達にとって嬉しい話をしてそうだった」
「あの距離で聞こえたんすか」
秋が驚くとその頭に手が乗った。ボールをつかむようにがっしりと。
「アッキー何食べるー?」
「瑠衣先輩その掴み方やめてくださーい」
いつのまにか戻ってきたのかすでに目線が屋台の瑠衣先輩。後ろにはまださっきの女の人が瑠衣先輩の背中を目で追っている。まさしくうっとり。
いいよねえ、女の子のあのぽうっとした表情がどれほど可愛いか、という話なら本が一冊書けると思うんだよねおれ。そう思っていたら目が合ってしまってにっこり笑うと驚いたように顔を赤らめた。
目が合うタイミングがちょっと悪かったですね、恥ずかしい思いをさせて申し訳ない。
「見過ぎ」
「わ!」
いきなり視界が真っ暗になった代わりに耳に響く低い声が背中から聞こえ、次に背中から覆われる。両手で手を取って顎を上げて見上げると和服の美形男子は寄りかかるとしっかり支えてくれる。まだまだ氷怜先輩の身長は近づけない。
瑠衣先輩がケラケラ笑い出した。
「ひーの今年初シット~」
「え?!」
すぐさま両手を上げて特に気にして様子でもないその綺麗な顔を包むとヘーゼルグリーンの目がその瞬間に優しく変わる。やっぱり怒ってないんだよなぁ。
「サービス精神もほどほどにしとけ」
「いやいや明らかに瑠衣先輩への熱視線でしたもん」
「そのあとはまた別だろ」
答えずに包んだままのほっぺを摘んだら流石に怒ったのかニヤリと笑った。
あ、やばいと思った時にはキスが降り注ぐのだ。当然真っ赤になったおれを秋も優も式もニヤニヤした顔で見てるし、暮刃先輩だけがにこやかだ。どうしたらそんなにステキな微笑みを保てるのか今度絶対教えてもらおう。
「キャーー!ひーの今年初エッチ!!!」
「なんかその言い方アウトー!!」
真面目な顔で神様に手を合わせていた2人に今年の願い事をきいてみた。
「秋は?」
「んー?全力で楽しむ」
「優は?」
「好きに生きる」
もうすでに全力で楽しんでるし好きに生きてるけど2人は。
だからおれも願い事は大して変わらない、そもそも毎年同じようなものだった。それで唯は?と秋に聞き返されて満面の笑みで答える。
「今年もマイペースでゴ~」
「神様もうやる事ないね!」
「神様にとったらむしろ手のかからない良い子かも」
そんなおれたちに呆れる式はチームでの活躍と部活のことだって言うから涙ぐましくてお兄さん泣いちゃう。
桃花は少し手伝いがあると言って少しの間抜けている。忙しいのに行ったり来たりしてくれて申し訳無さもあるけど、やっぱりこういうイベントの日に会えるのは嬉しいよね。
先に参拝を済ませたおれたちは少し離れて、人一倍目立つ先輩達を後ろから眺めていた。
「ほらほら」
先輩達が手を合わせる瞬間を写メに残すためだ。
こんなに絵になる参拝客はなかなか居ないから、驚いたのは神様も同じなはず。そして瑠衣先輩が満面の笑みでばさっと札束投げたような気がするけど気のせいだ、きっと気のせい。
人一倍大きい拍手の音の瑠衣先輩が振り返り階段を降りていき数歩遅れてこちらに戻る途中で暮刃先輩と氷怜先輩があっという間に数人の女の子に声を掛けられ囲まれる。
勇気を振り絞ったのだろう寒さと緊張で上気した赤い頰と恐る恐る近付くその姿がいじらしい。
ひゅーと秋が囃し立てた。
「さっすが」
「どこでもあんな感じだよね」
そりゃ声かけたくなるよね、あんなイケメンに年の初めに遭遇しちゃったら1年ハッピーだとも。秋も優もうんうんと共感していたら式が怪訝な顔をする。
「あれはお前らにとって嫌じゃねえの……?」
「ん?なんで?」
「いや……本当嫉妬しないもんだなぁって」
「うーん、あーでも独占欲は出たのかも」
さらっと言った優の言葉に思い当たるふしがある秋もおれも曖昧に笑っておいた。だって式がへえ……と珍しく意地の悪そうな顔をするから。
「今年も楽しくなりそうだな」
「ここでそのセリフ?!」
式最近ちょっとおふざけ入れるようになってきたよね?お兄さん嬉しいけどこのタイミングは複雑よ。ニヤリと笑っていた式だけど時おり何かを睨むようにあたりを見渡す。どうかしたのかと聞けば、流石なのはお前らも一緒なんだよなとのこと。
それはつまりどういう事だと聞き返す前に優が一歩前に出た。
「お帰りなさい」
「式が珍しい顔してる」
ひらひらとさっきの人たちに手を振って上手に交わしたのか暮刃先輩が最初に戻ってきた。流れるように優の腰を取ると、甘い笑顔でグレーの瞳を揺らした。
「俺達にとって嬉しい話をしてそうだった」
「あの距離で聞こえたんすか」
秋が驚くとその頭に手が乗った。ボールをつかむようにがっしりと。
「アッキー何食べるー?」
「瑠衣先輩その掴み方やめてくださーい」
いつのまにか戻ってきたのかすでに目線が屋台の瑠衣先輩。後ろにはまださっきの女の人が瑠衣先輩の背中を目で追っている。まさしくうっとり。
いいよねえ、女の子のあのぽうっとした表情がどれほど可愛いか、という話なら本が一冊書けると思うんだよねおれ。そう思っていたら目が合ってしまってにっこり笑うと驚いたように顔を赤らめた。
目が合うタイミングがちょっと悪かったですね、恥ずかしい思いをさせて申し訳ない。
「見過ぎ」
「わ!」
いきなり視界が真っ暗になった代わりに耳に響く低い声が背中から聞こえ、次に背中から覆われる。両手で手を取って顎を上げて見上げると和服の美形男子は寄りかかるとしっかり支えてくれる。まだまだ氷怜先輩の身長は近づけない。
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すぐさま両手を上げて特に気にして様子でもないその綺麗な顔を包むとヘーゼルグリーンの目がその瞬間に優しく変わる。やっぱり怒ってないんだよなぁ。
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答えずに包んだままのほっぺを摘んだら流石に怒ったのかニヤリと笑った。
あ、やばいと思った時にはキスが降り注ぐのだ。当然真っ赤になったおれを秋も優も式もニヤニヤした顔で見てるし、暮刃先輩だけがにこやかだ。どうしたらそんなにステキな微笑みを保てるのか今度絶対教えてもらおう。
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