sweet!!

仔犬

文字の大きさ
上 下
215 / 379
new!

4

しおりを挟む



何故か全員が笑ったところで春さんがおれの肩を突く。もう家のワードを気にする事をやめたようでいつもの爽やか癒しの微笑み。
そんな春さんに差し出されたオーダー票に首を傾げた。

「しょんぼりな唯斗に作り方教えてあげる」

「春さん大好き!」

普段フロアばっかりだからなかなかキッチンで料理は覚えられないけど、こんな日は自由に使わせてもらえるのだ。レパートリーを増やしたいと料理上手な春さんに志願してからこうして合間に。

「秋と優でフロアは大丈夫かな?」

「もちろん!」

頷いた2人に頼もしいねぇ、と笑いながらキッチンに向かう春さんについていき、春さんのお料理教室の嬉しさにおれは両手を挙げた。

「やったー!久しぶりだ!それにここなら機材揃ってて凝ったの作れるんですよねぇ」

「手慣れたやつもいいけど、たまに凝りたくなるよねぇ」

さすが春さん共感力まで素晴らしい。
キッチンに向かう途中で秋と優がにやにやしていることに気づき、式が怪訝な顔で二人を見ていた。


「…………何ニヤニヤしてんだよ」

「いやぁ、未来のパパだと思うと……」

「え?」

「まあまあ、また今度ね」


おれよりも2人の方が楽しんでるから親友って面白い。耳だけ傾けながら春さんの手順を覚えていく。手慣れた手付きで野菜を切り始めた春さんは横から見ても絵になるから眼福。

カウンターから秋の声。

「年明け2人の予定は?クラブってまだやるの?」

「イベントは1日の午前で終わるからそのあとは少し休んで2、3日は何も無いよ。式も?」

式が頷いたのか今度は優が話し出す。

「多分俺たち1日か2日に初詣行くけど、2人もいく?」

この予定は3人で一度も話した事はないけど、毎年そうなのでもはや口約束すら存在しない決定事項。

「今年は家で……って思ったけどうちの親帰省してんだわ」

「え、じゃあ1人なの?」

「だから俺もいく」

「よっしゃ!」

秋の嬉しそうな声が響いてすぐ、桃花の遠慮がちな声がした。

「…………あの、俺も行きたいんだけど実は家で」

「ん?家族でお決まりコース?」

「行くというかやると言うか……」


煮え切らない答えに背中越しに聞いていたおれまで振り返った。困ったと言うか、なんとも言えない顔の桃花が俺の視線に気づき小さく笑った。


「初詣ならうちに来ませんか?」






しおりを挟む
感想 179

あなたにおすすめの小説

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

処理中です...