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しおりを挟む何故か全員が笑ったところで春さんがおれの肩を突く。もう家のワードを気にする事をやめたようでいつもの爽やか癒しの微笑み。
そんな春さんに差し出されたオーダー票に首を傾げた。
「しょんぼりな唯斗に作り方教えてあげる」
「春さん大好き!」
普段フロアばっかりだからなかなかキッチンで料理は覚えられないけど、こんな日は自由に使わせてもらえるのだ。レパートリーを増やしたいと料理上手な春さんに志願してからこうして合間に。
「秋と優でフロアは大丈夫かな?」
「もちろん!」
頷いた2人に頼もしいねぇ、と笑いながらキッチンに向かう春さんについていき、春さんのお料理教室の嬉しさにおれは両手を挙げた。
「やったー!久しぶりだ!それにここなら機材揃ってて凝ったの作れるんですよねぇ」
「手慣れたやつもいいけど、たまに凝りたくなるよねぇ」
さすが春さん共感力まで素晴らしい。
キッチンに向かう途中で秋と優がにやにやしていることに気づき、式が怪訝な顔で二人を見ていた。
「…………何ニヤニヤしてんだよ」
「いやぁ、未来のパパだと思うと……」
「え?」
「まあまあ、また今度ね」
おれよりも2人の方が楽しんでるから親友って面白い。耳だけ傾けながら春さんの手順を覚えていく。手慣れた手付きで野菜を切り始めた春さんは横から見ても絵になるから眼福。
カウンターから秋の声。
「年明け2人の予定は?クラブってまだやるの?」
「イベントは1日の午前で終わるからそのあとは少し休んで2、3日は何も無いよ。式も?」
式が頷いたのか今度は優が話し出す。
「多分俺たち1日か2日に初詣行くけど、2人もいく?」
この予定は3人で一度も話した事はないけど、毎年そうなのでもはや口約束すら存在しない決定事項。
「今年は家で……って思ったけどうちの親帰省してんだわ」
「え、じゃあ1人なの?」
「だから俺もいく」
「よっしゃ!」
秋の嬉しそうな声が響いてすぐ、桃花の遠慮がちな声がした。
「…………あの、俺も行きたいんだけど実は家で」
「ん?家族でお決まりコース?」
「行くというかやると言うか……」
煮え切らない答えに背中越しに聞いていたおれまで振り返った。困ったと言うか、なんとも言えない顔の桃花が俺の視線に気づき小さく笑った。
「初詣ならうちに来ませんか?」
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