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christmas!!!
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しおりを挟む「つーか、瑠衣先輩実は踊れますよね」
「んー?ダンス出来ないけど」
とは言うが、俺が熱を出した時にお見舞いがわりにダンス動画を送ってくれたのだ。それも高難易度を完璧に。
「あれで出来なかったら俺の数年間ゴミになっちゃう……」
「表現しろなんて言われたらトリハダたっちゃう~」
そんなこと言って表現もあれほどの完成度なのに、と不満げな俺に瑠衣先輩のデコピンがくる。なぜ。
「他人のために踊るなんてヤダ」
「俺のためだから踊ってくれた……え、つまり踊れるじゃん……」
確信をついた俺にまたゲラゲラと腹を抱えて笑い出す。のらりくらりなイメージは最初から変わらない。と言っても数ヶ月もたってないのだから、あまりにも濃い時間に笑えてしまう。
「まあ、なんでも出来ますカラー?」
「はいはい……」
聞くところによればピアノも弾けるとか。
もうこの人も暮刃先輩も氷怜先輩もチームの人も今更何を出来ると言われたところで驚かないだろう。
「まあでも、気持ちが込められるものなんて5個で充分だけど」
あ、本気で言ってる。
エメラルドグリーンが光ってるからそうなんだろう。
その5個ってやっぱり……と思ったらニヤニヤしてきて思わず顔を覗き込む。
ダンスすると聞いた唯が瑠衣先輩の前髪を上げてピンで止めたから髪で隠れる事もない。瞳が綺麗だとどうしても見つめてしまうので、ワザとふざける。指を綺麗に並べて口の前に。
「瑠衣先輩のデレ?」
「ふーん?アッキー腹筋300回ヤる?」
「遠慮します!」
にっこり笑われたので敬礼のポーズでお断りした。瑠衣先輩じゃないので踊る前に筋トレしたら疲れちゃうわ。
「じゃあまずは何踊ってくれるのカナ」
「えー、この流れ踊りずれー……」
「はやくー」
「んー……お!」
不満たらたらでも流れてきた曲が丁度よく切り替わればすぐに踊り出せる。裏拍子から始めるステップは軽快で見てても飽きないはず。
ピタッと止まるステップが多くて難しいけど、ちゃんと出来たら超楽しいこの曲。それでも結局踊り始めたらなんでも楽しい。頭で考えるより体に染み付いた動きは迷いがなくて気持ちがいい。
たまに鏡を見てバランスを調整。
横目で見る瑠衣先輩は少し離れてしゃがみ込んでいた。まずはゆっくり見ている。別に恥ずかしいとか無いけど見ているだけは楽しいのだろうか。
割と一瞬で終わった一曲。これくらいなら息は上がらない。
珍しく大人しく見ていた瑠衣先輩が立てた片膝の上で手と顎を置きニンマリと笑う。
「イイね」
こう言う時のこの人の言葉に嘘がないから嬉しいもんだ。
俺もにっと笑って返す。
「どーも!」
グッと体を伸ばして、さて次はどうしようかと思っていたら瑠衣先輩も立ち上がった。今更だけどしゃがんでいるとコンパクトに見えるんだけど立つと身長差に驚く。
「さっきのさー」
唯じゃないけど俺ももう少し伸びないかなと思っていると、さっきの曲を瑠衣先輩が踊り出した。
「サビ以外教えてー?」
「…………サビは覚えたんですね」
「適当だけどそれなりに。繋ぎの部分がワカンナイ」
ってもう殆ど覚えてるじゃん。いくら繰り返しが多い曲だからって、そんなすぐおぼえられたら身もふたもない。
「出来が良すぎてゴメンネ?」
「何も言い返せない……!!」
悔しがる俺に瑠衣先輩がまた笑い出した。
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