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christmas!!!
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しおりを挟むもちろん、映画はそれはそれは良かった。主人公の人間らしい描写がリアルですぐに引き込まれる。楽しみも焦りも悲しむのも一体化する。
「面白かった?」
「憎らしいくらいに」
この憎らしい、と言うセリフは主人公が良く言っていた。それが伝わったのか暮刃先輩が小さく吹き出し頭を撫でる。
「意外と感化されるんだ」
「言いたいだけです」
「そうかな」
最終的に落ち着きすぎて出るのが名残惜しい。暮刃先輩が言った通り気に入ってしまったわけだ。たまに暮刃先輩の横顔を見るとすぐに気づいて微笑んでくれるのもなんだか良かったとは言わないでおこう。
「さてと、どうしようか……この辺り何かあったかな」
「適当に歩きたいです。それで小腹が空いたらどこか入りませんか」
「仰せのままに」
このセリフも映画に出てきたものだから、思わず笑ってしまう。
「どっちが感化されてるんだか……」
「さあ、俺はもともとこんな感じだよ」
くすくす笑いながら映画館を後にする。
このあたりはレンガ調の道が続き、どれもこれも品のいいお店ばかりだ。行かない訳ではないが、慣れているわけでもない。
十字の道に出たところで大きなツリーがキラキラと光っていて、クリスマスが終わった明日には無くなってしまうのはもったいないと感じるほど綺麗だ。
それなのに、こんなに綺麗なものが目の前にあっても周りの人間が見ているのは暮刃先輩だ。なるべく長居をしないよう歩き出して、暮刃先輩を覗く。
「人が多い日に来るのは失敗でした?」
「いつだって同じようなものだよ」
まあ確かに、どこでも目立つ。
クラブに入り浸る理由の1つにチームの統制も取れているから目立ったとしても大事にならないのがあるのかもしれない。にこにこと話すが、それが日常の彼らはかなり窮屈な生活だ。
「あ、俺サングラスありますよ。気休めですけど」
ありがとうと言ってかちゃりとかけたサングラス。俺が1番好きなブランドでどんな骨格にも似合うやつ。
うーん、氷怜先輩はよくかけているけど、暮刃先輩のは初めて見た。柔らかい雰囲気から男らしさが出る。黒の服とこの組み合わせ、いいな。
突然ほっぺをつねられた。
「痛いんですけど」
「せめて似合うの一言くらいくれてもいいと思う」
服の考察をしたのがバレていたのか。
瞳は見えないけど、普段見せない気に障り方をしたらしい。それが可愛くて笑ってしまった。
何かを言いかけた暮刃先輩の腕を引っ張り、少し道を外れると人はもういない。向き直って手を後ろで組む。
「カッコよくて、可愛いですよ」
「可愛いのは……」
「えっ」
何故か突然暮刃先輩の後ろに追いやられた。
と言うより前に出るなと腕で抑えられている。なんとか目だけを出して前を見たら、クリスマスには不似合いな面持ちで立ちはだかる数人。
「何か用でも?」
「特にない」
無いなら立ちはだからないで欲しい。
たぶん暮刃先輩は品はいいけど恐ろしい笑みをしているのは確実だ。
それに俺も今日と言う日を邪魔して欲しくない。
「お前にはな」
ニヤリと笑った男が顎を上げた時、後ろから肩を叩かれた。
振り向けば蛇が笑っている。
「ご機嫌麗しゅう?お姫様」
その声で、自分の眉間にシワが寄った。
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