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christmas!!
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しおりを挟む重くないかと聞いてもこれで良いの一点張り。
抱きしめられたり転がされたり頭をぐじゃぐじゃにされたり。背が高いから手も大きい。頰を撫でられるとその手のひらに覆われるような感覚だ。
「顔ちっちゃいねえ」
「え、俺普通すよ。たぶん」
そう感じるのは手が大きいせいだろう。
撫でられていた頰が痛くない力で摘まれる。
「いやー?唯ちんと優たんが小さいからマヒしてるデショ」
「うわ、それは絶対ある!!あの2人と写真映ると俺顔でかく見えますもん」
「アハ!じゃあこうやって顎持ってふたり前に出せばー」
笑いながら顎を挟まれ少し引っ張られるとあひる口になってしまった。相変わらず手がよく動く人だな。
「まあ、そんな気にしてないです」
「そもそもちっこいから悩むだけムダ」
他愛ない会話が続いても誰か様子を見にくることもない。下がどうなっているのか見当もつかなかった。本当に変なスイッチ入って先輩達を困らせてないといいけどな。
「まあ、指輪選ぶ時点でスイッチ入ってるか……」
「でっかい独り言!」
おいおーいと手を振る瑠衣先輩の目の前に指輪を持っていく。
「先輩達は何で指輪を選んだんですか?あ、この家の事はもう処理出来ないからじわじわ噛み締めとくんで指輪の話だけで」
「何でって」
きょとんとするガラスみたいな目が光り、俺の指を取った。指輪がするりと抜かれ、指輪の間から覗かれた。
「アッキーは何で?」
「いや聞いてるの俺なのに……」
マイペースはお互い様。
頬杖をつきながらその指輪を持った指を握り返して見つめれば、言葉はいらない。
最後にニッと笑ったら瑠衣先輩も釣られたように笑い出した。
「人の上でカッコつけんのやめて」
「それこそお互い様ですって」
こんな格好でどんなにカッコつけたところで同じようなものだ。
「まあ、家にはまじで勝てません」
降参としか言いようがない。どうやって返したらいいのか見当もつかないから、また色々やっていかないと。それになるべく叶えられるわがままとかは聞いてあげたい。
俺の心情が理解できるのかデコピンが飛んできた。
「あげたいものあげてんだから喜んでればいーの」
「えーでも」
それでも言いかけた口を指で塞がれた。綺麗な顔がにんまりと。
俺にはもうわかる企んでる時だ。とは言え叶えよう、それくらい。
「じゃあ、ご褒美チョーダイ?」
「何がいいですか」
「……ええ……」
俺がすぐ答えたせいか、まさかの嫌な顔をされてしまった。頰まで膨らませて不満顔。失礼な。こんなに叶えてあげようとしてるのに。
「恥ずかしがる事して欲しかったのに、その顔じゃあ何でもしてくれそうでツマンナイ……」
「あー良かったー寛容モードで!」
なんつーご褒美要求してるんすか。心の中でツッコミながら、この人らしいなとは思う。ロンTの肩口が広いせいで瑠衣先輩の首筋が見える。喧嘩好きなのに傷を見たことが無いのはこの人が強いせいだろう。首筋を見たらこの人に噛み付かれたことを思い出す。
「あ、じゃあたまには俺が」
特に何にも気にせずその首筋に噛み付いた。そんな力は入れなかったけど白い肌が少し赤くなったからよしとしよう。
なんとなしにペロリと舐めたところで自分がしでかした事に気付く。
「バカなの……?」
「…………ど、どうどう」
完全に覚醒された目がギラギラと光っている。いや、そうだよね、この体勢だし俺から噛み付くなんて事なかったし、いや、馬鹿だわ俺。それに唯、やっぱ類友だわ俺ら。
「ぐえ!」
突如死ぬほどの圧力で抱きしめれられて、カエルみたいな鳴き声が響く。ギブアップと叫んでも離してくれなくて、ちょっと涙が出てきたところでようやく力が弱まった。
「あー死ぬかと思った!」
「…………アッキーまで鈍ちんじゃあ救いようが無いしー。オレかわいそー」
「キヲツケマース……」
嘆く瑠衣先輩にテヘッと舌を出したら珍しく盛大なため息をつかれてしまった。ああ、このくだりはいつも唯の役なのに。
「あーあ、2人でいると煽られるから下降りる……」
「うわ」
グイッと抱きしめられたまま立ち上がり肩を組まれてドアの外に向かう。廊下もあったかいからこの家の設備、後で詳しく聞きたいところだ。
「てゆか飯食えるんすか」
「お腹減ってるケド?」
ホールケーキ食いまくって腹減るってブラックホールすぎるでしょ。その胃袋。
リビングに繋がる階段に一歩足をかけたところで唯の声が小さく聞こえ、流れてきたいい匂いが腹の虫を誘う。
「おー、さすがいい匂い」
「今夜は何かなー」
なんだ、ふつうにいい感じ。2人が変なこと言ったりもしてなさそう。と2段目に足をかけたその時聞こえてきた声により足が止まってしまう。
唯の発言により氷怜先輩が戸惑った声。
吹き抜けの廊下はもちろん下が覗ける。氷怜先輩の表情を確認した瑠衣先輩が今にも吹き出しそうな勢いで肩を震わせている。
唯、やっぱお前……すげえや。
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