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christmas!
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しおりを挟む「あーー問題児やっと来たー」
ドアを開ければ瑠衣先輩がケラケラ笑いながらお酒をひとくち。
先輩に連れていかれたのは2階ではなくいつものお部屋で、この部屋だけはこのパーティの中でも静かさを保っている。それでも1番安心出来る部屋。
「唯遅すぎ」
「なんかプレゼント増えてね?」
「お返しもいっぱい貰った!秋と優のもあるよ」
いつのまにか秋も優も先輩たちの元にいるから驚きだ。
「これまた絡まれてたな」
「やっぱりなにか憑いてるんですね……」
呆れ顔の桃花と式も迎えてくれた。
さっきの騒動を見ていたらしい。
「ストップストップ、これあげるから憑いてるって言わないで!」
やんや言いながらゴソゴソとプレゼントを渡す。きょとんとした2人の代わりに箱を開ければ、少し太めのシルバーブレス。手首にフィットするサイズだか、よく動く2人は邪魔にならないだろうか。
「サイズおっきい?邪魔になる?」
「いえ……ぴったりです。ありがとうござます」
「サンキュ。マジでマメだよなぁ」
腕を上げて光に当てたりしながら2人が笑った。秋と優も寄ってきておれに覆いかぶさる。
「俺ら3人からな!」
「いつもお世話になってます」
2人がにこにこしながら言うので重いのを耐えて踏ん張る。式と桃花は目を合わせた。
「そんな事だろうと思ってほら、これ」
式がいつのまにか持ってきていたのか、少しぶっきらぼうに紙袋を渡してくる。中には3つのプレゼント。
「まあ、適当に使え!」
「式……」
「2人ともありがとうーー!」
あまりにも適当な物言いに桃花が困ったように笑った。どうやら桃花と2人で選んでくれたらしい。3人で2人に飛びついて幸せの大笑い。
なんかサンタなのにもらってばかりだ。それにシーツの底の方にはまだまだ配りきれてないプレゼント。
うーんと悩んでいれば赤羽さんがすっと近寄って、シーツを掴んだ。
「誰が誰のか覚えていますので手伝いますよ」
「赤羽さん……!」
なんて用意周到なんだろう。貰ったプレゼントと渡すものを丁寧に分けてチームの人用だったり、これから来る予定の人のも預けさせてもらった。おれが配りきれないことなどお見通しのようだ。
「ちょうど赤い服着てて良かった」
彼は彼なりにこの夜を楽しんでいる様子だ。
お茶目に笑って赤羽さんが出て行く。
「赤羽さん、手伝います」
「俺も行きます」
「赤い服貸したげようか?」
「いらんわ」
式が眉を寄せた後にふっと笑い桃花もそれに続く。後を追った2人にありがとうと手を振るとそのドアから美女が飛び込んできた。
「あ、良かった!揃ったのね、私もう出ちゃうから」
入れ替わりで入ってきたのはサクラ姉さん。ドレスを纏って聖夜の奇跡を受け取ったような姿は本当に美しい。ドレスの上には既にコートを羽織っている。
「もしかして、これからデートですか?」
「さすが唯斗くんよく見てる」
ピンクのグロスにそんな感じがしたのだ。少し照れたような表情は恋する乙女だ。その細い腕を持って掌に小さな箱を乗せる。サクラ姉さんが好きなブランドのピアスは絶対に似合う筈だ。
「メリークリスマス」
「ありがとう」
無性に楽しくなってきて2人でクスクス笑いあうと、代わりにおれの手のひらにもプレゼントが乗せられた。
「それはわたしが1番好きなホテルの招待券、全員分ね」
みんなに向けてウィンクを決めたサクラ姉さんはドアに向かって行く、閉めようとしたドアの隙間から覗くとその大人な雰囲気が一気に変わり子供のように笑った。
「ちなみに3人のお家にスーツも送っといたからお店に来てね!」
「サクラ……」
氷怜先輩の絞り出した声にきゃーと笑ってバイバーイと手を振られドアがしまる。サクラ姉さんこういう所可愛いよね。
「30分くらいで先輩達のところ行くつもりだったんですけど、意外と……あ、でも今日驚いてくれました?」
にやにやと先輩達を見たのに、ふっと笑って返される。
「やっぱりって思った」
「やっぱり?!」
明らかにショックだと言う顔をしてしまい氷怜先輩が思わず吹き出した。その存在だけで楽しくなるから最高だ。
「で?いい子にしてたらサンタは何をくれるんだ?」
ソファに座った氷怜が喉を鳴らしながら顎を少しあげた。余裕の笑みで足を組み、おれを見る。
「ソーヨ、今日オレら超いい子だったんだから~」
「瑠衣はケーキ食べてただけだけど」
「オレおとなしくしてるだけ偉いし、だいたい赤羽っちよりも後ってどういう事~?」
赤羽さんのブレスレットに気づいているよう。
おれ達はにっこり笑った。遅くなってごめんなさい。
でも、これからなのだ。
秋がまあまあといいながら氷怜先輩の横に瑠衣先輩を連れて行く。暮刃先輩も優がその横に連れて行くと3人でソファに並んでもらった。
跪くおれたちはもうサンタではない。
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