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christmas!
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しおりを挟むいつもならチームのだれかが絶妙なタイミングで来てくれるけど今日は人が多くて助けてもらうのは無理そうだ。とは言えプレゼントも渡してしまって切り札がない。
「えーと、今宵はサンタ業が忙しく」
「終わってからでいいよ」
終わるからいいというわけでもない。
何が怖いと言えばこの人ずっと真顔なのだ。こんなに楽しい夜なのに笑わないともったいない。それに緑と黒で縁取られたド派手なカラコンが爬虫類のようでこの人にはブラウンの方が似合いそうだとぼんやり思う。
何も映してくれない目は、はっきり言った方が良さそうだ。
「先約があります」
ここまで言えばわかるだろう。
反応はないけど返事も来ない、申し訳ないが立ち去ることにしよう。
「えーと、それで、わ?!」
わの部分で身体を違う方向に向けていたのに、ものすごい強い力で元の方向に戻されてしまった。プレゼントが重くて早く歩けなかったのが敗因。
「あの、すみません。おれほんとに今夜は……」
「運命なんだ」
「え、あ、聖夜ですもんねそういう事もあるかもしれない……」
適当な事を言って流そうとしたけど今度はものすごい力で肩を掴まれる。怖い目が、目が、どこ見てるの。
「運命なんだ!!」
「2回言った!?」
キーンと鳴り響く大声でディスティニーを叫ぶ男の人は一向に放してくれない。おれの何が運命で、今宵に何がかかってるというんだ。ギリギリと痛い肩からその気持ちの強さは伝わってくるがかといって応える訳にもいかない。
それにおれは運命すらも通り越してあの人に会いに行きたい。
「おれにもおれの運命がありまして、だから、ごめんなさい!」
プレゼントとはこの際置いといて一旦退避。
少ししゃがんで力が離れた隙に腕を外す、真逆を向いて走り出したかったけど人が多くてそうもいかない。当然ぶつかり鼻をぶつけたおれはぶふっと変な声が出る。
ジャケットを軽く羽織ったその人は爽やかに笑った。
「ご、ごめんなさい!」
「大丈夫。俺そいつの仲間なんだよね」
なんて優しい!
友達が様子おかしいからと来てくれたわけだ。
「それは!お友達を宜しくお願いします!」
「だから、願いを叶えてやりたいんだ。俺のためにもね、君は今夜こいつと居るんだ」
「え?」
なんだって?
いつのまにか掴まれていた腕でそのまま元に戻される。今度は後ろからさっきの人にもう一度捕まった。なんだ?なんだこれ?
周りは何も気づかずおれの事態には仲良しの友達くらいにしか思っていなさそうだ。何より騒いでこのパーティを台無しにしたくない。
「そうだ、君は俺と過ごす。この日をずっと待ってた今日だって決めてたから……」
「いやいや、それでもおれの予定がありまして」
なんだこの人たちなんでこんな事言ってるんだ。
おれは一刻も早くあの人の隣に行きたいのに、笑いたいのに。
優も秋も楽しみにしてるんだから。
だから、離してくれ。
この手は氷怜先輩を掴むものだ。
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