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care!!!
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しおりを挟む先輩達の役に立つ、と言うことは犯人の素性を知る必要がある。
そして堂本兄弟を助けると言う事は、おれたちが捕まって犯人の目の前まで行くこと。
その中での最優先事項は怪我をしないことだ。先輩達に一方的な電話に向かって秋が言ってたようにこれ以上心配かけらんないからね。
聞けば堂本兄弟、力にはそれなりに自信があるとか。いざという時は頼りにしているぞ。
ただ、問題はおれたちを捕まえて眠らせた3人だと言う。第1段階として越えるべき相手がまさかの見知った人間だった。
「友達じゃないんだ?」
相変わらず詳しいことは聞けなかったけどおれたちを後ろから捕まえた3人は堂本兄弟にとってもあまりいい人間ではないらしい。暗くて顔は見えなかったけど、彼らと違ってとんでもないヤンキーなのだろうか。
「あんなんが仲間ならお前らの縄解いたりしてねぇよ……」
「もしかしてお金必要になったのそいつらのせいなの?」
「…………」
なにも答えない紅の隣で愁が悔しそうに苦しそうに、大っ嫌いだあんなやつと続けてそう言うのだからやっぱりこの兄弟憎めない。
優がじっと見つめて、愁が返してくれたスマホを握る。
「ふーん?なんかわかってきた……とりあえず先輩達に心配ないって連絡するから…………あ、暮刃先輩?」
電話に向かって話し始めた優。電話の向こうではもしかしたらものすごい事になっているのだろうか。それでもおれらの不注意でもあるし、今回こそ自分達で解決までとは行かなくてもちゃんと無事に帰って、さらにはおれたちと堂本兄弟でWin-Winの結果を迎えたい。
だからごめんなさい。優も珍しく早口で突っ走るように話す。困ったような顔だ。あとで3人でちゃんとお礼しようね優。ああそうだもうすぐクリスマスだからめちゃくちゃ盛り上げよう。
その時、廊下から音が。
「まって、誰か来てない?」
「早いな……つうかこのままじゃ!……元の場所に戻れ!」
「優!来ちゃう来ちゃう!」
優に叫べば、紅がすぐに縄を掴んでギャーギャーバタバタしながらも、また縛られていく。最初よりも力が弱くなっているところが彼らの優しさの現れだ。
「えーと、じゃあまた後で!ごめんなさい!」
律儀に頭まで下げた優は電話を切り、愁に渡すと急いで縄を結び直してもらって全員体制を整える。腕は前にしてもらったけどそれぐらいご愛敬です。
数秒でそいつらが部屋に乗り込んできた。
「いっ、何すんだよ!!」
「ほらここで待ってろ!」
どさりと投げられた男の人。スウェット姿のその人はどう見ても先輩達のチームの人ではない。何事かと動転していて可哀想だ。恐らく巻き添えを食らったのだから。
紅が愁を隠すように前に出る。
「よお堂本、また捕まえたぜ」
「あのノーネームも落ちぶれたもんだなぁおい」
「こんな弱っちいやつ入れるなんて頭おかしいんじゃねぇの?」
ゲラゲラ笑いながら、知らない男の人を引きずって部屋に入ってきた3人。低く通りの良くない声で馬鹿にしたように話すその話し方に耳が反応した。投げられた人に視線を奪われていた秋と優もすぐに視線を動かす。
ぎょっとして、秋が大きい声を上げた。
「あーー!」
縛られていなかったら指差しでもしてしまいそうな勢い。
当然おれたちのことを誰か知っている3人は不敵にニヤリと笑った。優がきょとんとしながら呟く。
「なんだか懐かしいな……」
「たしかに」
頷いたおれに紅が驚いてうわずった声を出した。
「なに、なんで、お前ら知り合いなんだよ……」
紅が弟を背中に隠すような体制で驚愕の顔をした。
秋と優が困ったような笑い顔。
「俺たちもこの人たちと因縁あるよ」
「特に唯がね」
堂本兄弟の悩みの種の3人組。
納得だ。
納得過ぎる。
たしかにとんでもないヤンキーだ。血筋的にも。
金、赤、オレンジの相変わらず騒がしい頭の彼らの名前を思い出そうと優が首をひねる。
「えーと確か……」
「金髪がリュウジで赤髪のマサトに……オレンジにヒカルくんだ!」
「オレンジに光るくん!!!」
秋がツボに入ってしまったらしい。
自分でいったおれもちょっと笑いそうなんだから笑わないでよ。
そう、懐かしさすら感じるこの3人。
桃花の元チームを卑怯にも銃を使って脅してそのトップの座を奪い取った挙句、氷怜先輩達の名前を使って暴れまわったこの3人。そして忘れもしないサクラ姉さんのお肌の宿敵。そこだけは一生許しませんから。
優がおれ達にしか聞こえない小さな声で呟いた。
「あ、3バカ……」
ああ、やめて優様。
ここで笑ったらあの悲劇の繰り返しだ。笑劇だろうか。
もういつもの調子のおれたちに当然相手は反応する。
おれには出せない低い声が這い出た。
「あの時からずっと殺したくてたまらなかったぜ…………」
ああ、リュウジくん。
きみは青筋を立てるのが上手い。
こうしてまた、彼らを怒らす事となる。
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