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care!!!
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大いに盛り上がりを見せた腕も足も縛られているはずのおれたちに犯人2人は顔を引きつらせた。
「なんだこいつら……」
「思えば最初っから緊張感無かったけどな……」
この2人おれが先輩達のチームを知っているせいなのか、いまいち凄みが足りないような気がする。本当に普通のちょっとやんちゃな高校生って感じで、髪の毛をつんつんとセットさせているけど、塩顔くんが茶髪で二重くんが黒髪と許される範囲だし、制服の着こなしも普通だ。
なんなら今日はブレザーの下にパーカーを着ている秋の方がやんちゃしてそうに見える。こうやって連れてこられているが誰も傷付けられてないし。
本当に何が目的なんだろう。
そんなことは御構い無しに、2人に向けて秋がスッキリした顔でニヤリと笑う。
「あースッキリした!これで足と腕が自由ならなぁ」
「無理だな」
「デスよねー」
ノリと勢いのお申し出、見事に玉砕。
でも結構窮屈なのは本当だし、3人だから楽しいのだ。おれたちを捉えた人はあと3人は居たはずだけど、今のところ他の人の声もしない。
二重くんはそのまま動かずに塩顔くんだけが近づくと、おれに目線を合わせてきた。そんな突然凄むように見られるときょとんとしてしまう。
「もうちょっと反抗されるかと思ってたわ。だから足も手も縛ってんだけどな、特にお前」
「え、なんで?」
首を傾げた、おれに彼の目が鋭くなった。
「あの時俺ら睨んだやつが大人しく捕まるはずねぇだろ。女顔のくせに果敢にも口までだした」
つまり、カラオケでみーちゃんに当たって俺が口を出したので気が強いと警戒していたと。
「あれはみーちゃんに肩が当たったから」
「は!女守ってカッコつけかよ」
吐き捨てるように言ったその言葉がカッコつけるに繋がる事がおれには驚きだった。
「大切な子が痛い思いしてたらそりゃ口出すよ」
「こんな状況で喧嘩売ってんじゃねぇよ……」
自分の信念の話に思わずにこやかに返してしまったのがいけなかったのか、不機嫌そうに眉をひそめた。
「ええ、売ってないよ!ただのおれのポリシー!機嫌なおして塩顔くん!」
「…………まさか俺か?!」
「そうだよ、んで君が二重くん」
「え?!」
唐突に話を振られたせいか二重くんがうろたえた。安直だなぁと秋と優が笑い出す。
「やめろ、お前に呼ばれるとなんかムカつく」
「じゃあなんて呼べば良いの」
「教えるかよ!」
「じゃあやっぱり塩顔くんだ」
売りことばに買いことばにもならないようなやり取りに嫌気がさしたのか塩顔くんがしゃがみこんでイライラと戦っている。
そしておれはおれで、この人は怒らない人だと確信。ここまで言っておれの会話に付き合っちゃう人って式もそうだけどぶっきらぼうの中に優しさがある人が多い。
思った通りうつむいたまま名前を話し始めた。
「堂本紅だよ」
「おい!何教えてんだよ!兄ちゃん!」
「あいつは愁…………弟」
全然似てない。
自ら血の繋がりを教えてしまった弟にお兄ちゃんの紅はため息。この兄弟、ちょっと面白い。
「よろしくね、おれは高瀬唯斗」
「この状況でよろしくなんて言う奴やばいな」
「さすが唯だねぇ、呆れるどころか尊敬」
足を動かしたり、背中で伸びをしたりしながら秋と優が口を挟む。2人も多分この兄弟の雰囲気を察した筈だ。
「はいはいほら2人も自己紹介しなよ~第1印象は大事だよ!」
「いや縛られてんのに第1印象も何も……まあ、名前は野島秋裕だよ……よろしく?」
「坂下優夜……うわ、名前言ったらよろしくってつけたくなるね」
「でしょ?」
にっと笑って紅を見れば何とも言えない顔。
「お前ら……そんなキャラで人殴るとかさすがno nameだな。恐ろしいわ」
「あれ、それって先輩達のチームの名前だよね、久しぶりに聞いた!」
「は?」
「てか何で人殴るの?」
「何でって」
意思疎通の取れない会話に優がああ、と思い出したようだ。
「捕まえる時チームのやつって言ってたもんね。俺たち人殴ったこと無いよ。そもそもチームのメンバーでも無いし」
優が小さい声で蹴ったことはあるけど……と言ったのは聞こえなかったようで二重くん改め愁がこの世の終わりのような顔をする。兄も同様に絶望の顔。
あ、こういう顔は似てるんだな。
「え、じゃあ、一般人……」
「平凡なりに面白楽しく生きておりますとも」
おれがふざけて言ったのに、この兄弟は笑ってもくれない。それどころか真っ青だ。
「え、大丈夫かお前ら……」
秋がお兄ちゃんを発揮するほどの絶望っぷり。
ついに犯人を慰める所までおれ達は行くのかもしれない。
「なんだこいつら……」
「思えば最初っから緊張感無かったけどな……」
この2人おれが先輩達のチームを知っているせいなのか、いまいち凄みが足りないような気がする。本当に普通のちょっとやんちゃな高校生って感じで、髪の毛をつんつんとセットさせているけど、塩顔くんが茶髪で二重くんが黒髪と許される範囲だし、制服の着こなしも普通だ。
なんなら今日はブレザーの下にパーカーを着ている秋の方がやんちゃしてそうに見える。こうやって連れてこられているが誰も傷付けられてないし。
本当に何が目的なんだろう。
そんなことは御構い無しに、2人に向けて秋がスッキリした顔でニヤリと笑う。
「あースッキリした!これで足と腕が自由ならなぁ」
「無理だな」
「デスよねー」
ノリと勢いのお申し出、見事に玉砕。
でも結構窮屈なのは本当だし、3人だから楽しいのだ。おれたちを捉えた人はあと3人は居たはずだけど、今のところ他の人の声もしない。
二重くんはそのまま動かずに塩顔くんだけが近づくと、おれに目線を合わせてきた。そんな突然凄むように見られるときょとんとしてしまう。
「もうちょっと反抗されるかと思ってたわ。だから足も手も縛ってんだけどな、特にお前」
「え、なんで?」
首を傾げた、おれに彼の目が鋭くなった。
「あの時俺ら睨んだやつが大人しく捕まるはずねぇだろ。女顔のくせに果敢にも口までだした」
つまり、カラオケでみーちゃんに当たって俺が口を出したので気が強いと警戒していたと。
「あれはみーちゃんに肩が当たったから」
「は!女守ってカッコつけかよ」
吐き捨てるように言ったその言葉がカッコつけるに繋がる事がおれには驚きだった。
「大切な子が痛い思いしてたらそりゃ口出すよ」
「こんな状況で喧嘩売ってんじゃねぇよ……」
自分の信念の話に思わずにこやかに返してしまったのがいけなかったのか、不機嫌そうに眉をひそめた。
「ええ、売ってないよ!ただのおれのポリシー!機嫌なおして塩顔くん!」
「…………まさか俺か?!」
「そうだよ、んで君が二重くん」
「え?!」
唐突に話を振られたせいか二重くんがうろたえた。安直だなぁと秋と優が笑い出す。
「やめろ、お前に呼ばれるとなんかムカつく」
「じゃあなんて呼べば良いの」
「教えるかよ!」
「じゃあやっぱり塩顔くんだ」
売りことばに買いことばにもならないようなやり取りに嫌気がさしたのか塩顔くんがしゃがみこんでイライラと戦っている。
そしておれはおれで、この人は怒らない人だと確信。ここまで言っておれの会話に付き合っちゃう人って式もそうだけどぶっきらぼうの中に優しさがある人が多い。
思った通りうつむいたまま名前を話し始めた。
「堂本紅だよ」
「おい!何教えてんだよ!兄ちゃん!」
「あいつは愁…………弟」
全然似てない。
自ら血の繋がりを教えてしまった弟にお兄ちゃんの紅はため息。この兄弟、ちょっと面白い。
「よろしくね、おれは高瀬唯斗」
「この状況でよろしくなんて言う奴やばいな」
「さすが唯だねぇ、呆れるどころか尊敬」
足を動かしたり、背中で伸びをしたりしながら秋と優が口を挟む。2人も多分この兄弟の雰囲気を察した筈だ。
「はいはいほら2人も自己紹介しなよ~第1印象は大事だよ!」
「いや縛られてんのに第1印象も何も……まあ、名前は野島秋裕だよ……よろしく?」
「坂下優夜……うわ、名前言ったらよろしくってつけたくなるね」
「でしょ?」
にっと笑って紅を見れば何とも言えない顔。
「お前ら……そんなキャラで人殴るとかさすがno nameだな。恐ろしいわ」
「あれ、それって先輩達のチームの名前だよね、久しぶりに聞いた!」
「は?」
「てか何で人殴るの?」
「何でって」
意思疎通の取れない会話に優がああ、と思い出したようだ。
「捕まえる時チームのやつって言ってたもんね。俺たち人殴ったこと無いよ。そもそもチームのメンバーでも無いし」
優が小さい声で蹴ったことはあるけど……と言ったのは聞こえなかったようで二重くん改め愁がこの世の終わりのような顔をする。兄も同様に絶望の顔。
あ、こういう顔は似てるんだな。
「え、じゃあ、一般人……」
「平凡なりに面白楽しく生きておりますとも」
おれがふざけて言ったのに、この兄弟は笑ってもくれない。それどころか真っ青だ。
「え、大丈夫かお前ら……」
秋がお兄ちゃんを発揮するほどの絶望っぷり。
ついに犯人を慰める所までおれ達は行くのかもしれない。
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