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care!!
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場所が変わってもはや自室のような居心地の良さ、VIPルーム。ランプも明るすぎず暗すぎず眠気を誘う。
「はわー、寝ちゃう」
「ここに来るといつもこうだな……」
「俺はもう目が閉じてる……」
既にベッドに潜り込んだおれたちは仲良くおねむだ。2人はバイト終わりだし、おれはカラオケで出し切っている。
「幼稚園のガキかよ……」
「式くんや君も寝よう」
「俺をアホの国に引き入れようすんな」
アホの国なんてひどい平和の国の住人と呼んで欲しい。
ほんとに寝てしまいそうなのでむくりと起き上がると式がデコピンを仕掛けてきた。
「あいた」
「起きたか」
デコピンのおかげかはわからないがもう再び横になる気は薄まった。足を下ろして靴を履き背伸びをする。
「ふぁあ……あ、あの紺ブレザーの2人組のこと教えてくれた?」
「ああ、まだ話せてなくて……」
「何がだ?」
いつもタイミングの良い氷怜先輩が部屋に到着。続いた暮刃先輩と瑠衣先輩が秋と優をからかいにベッドに潜り込む。
寝そうだった2人はその振動に驚いてすぐに目を開けた。
「わ、びっくりした」
「寝るならせめて構ってからにしてくれる?」
暮刃先輩が意地悪く笑うと優がくすくすと笑った。
「じゃあ起きます」
「それは残念」
その横で秋が悲鳴をあげた。
「ぎゃ!瑠衣先輩の手冷た、あ、お腹はダメ!冷た!」
「ホラホラ~早く起きないと、とんでもナイところに手を入れてや」
「起きます、起きさせていただきます!」
お腹抱えてけらけら笑った瑠衣先輩が掛け布団から顔を出した。すっかり目が覚めたのか2人ともぱっちりだ。
式がやれやれとソファから離れ氷怜先輩の元に歩く。
氷怜先輩は1人用のソファに座ったのでおれもソファから出て駆け寄ると予想通り頭を撫でられた。おれの隣で式が目を細めた。
「氷怜さん、実は……」
話し出した式に暮刃先輩も瑠衣先輩もゆっくりとテーブルに移った、秋も優も何事かと静かに先輩達の隣に座って話を聞いている。
「まあ、何も知らないガキの話かもしれませんが」
式の言葉にいやいや同じ高校生だったけど、とは突っ込めなかった。でも、そう言う口ぶりになってしまうほどここのチームの存在は逸脱している。
「なるほどな……またお前は、腕のこと忘れてねぇだろうな」
すぐに標的がおれになり氷怜先輩の指は俺のほっぺを引っ張った。
「う、でも流石にわざと肩当たってきたら注意しちゃいます、ましてや女の子の肩に……あ、でもあれから腕ぶつけてないので!」
「いやそれが普通なんだけどな……まあ、良い。ただな、最近そう言うのが増えてるから気をつけろ」
「え?」
何がだろう、女の子肩にわざと当たるのが増えてるの?それは許せない。おれそれは許せないぞ。
「俺らのチームの奴らが狙われてんのが」
「そっちかなるほど……ってそれも許せない」
「唯、5分静かに」
「はい!」
優がぴしっと言うので思わず背筋が伸びる。ふっと笑った氷怜先輩がおれの腰をひいて肘掛に座らせた。
静かに聞いていた話はこうだ。
チームのトップである氷怜先輩達を狙わずに、試合の予告もなく無礼な喧嘩を吹きかけられる事が頻繁に起こっているのだと言う。
ただ、やはりそこは氷怜先輩達のチーム。皆さん誰もかれも圧勝して帰ってくるらしい。それでもその数の多さは異様だと暮刃先輩が眉をひそめた。
「そんなことしてくるやつ前の三馬鹿くらいだったんだけど」
暮刃先輩の三馬鹿呼ばわりがツボだったのか優が吹き出した。
「なんですかね、流れ着いたよそ者さん?」
「さあな、でも年齢もバラバラ、チームは無所属、出どころも不明」
「へえ、謎ですねぇ」
不思議だな。これほど有名人のこの人たち手を出すなんて。
「一応ここに出入りしてるやつは気をつけるように言ってある。お前らには式と桃花、赤羽も着けるからはぐれるな」
氷怜先輩の言葉にしっかり頷くと、秋が手をポンと叩いた。
「あ、だから今日赤羽さんバイト来てくれたんですね」
秋の言葉に瑠衣先輩が頷いた。
「赤羽っちは謎が多くてちょっと喜んでるカナ~」
「さすが……」
苦笑いの秋、いつもよりも赤羽さんを意識しているように見える何かあったんだろうか。
首をかしげるおれに氷怜先輩がそれとは別に衝撃のニュースを教えてくれた。
「そう言えば、お前ら桃花がうちの高校くるの知ってるか」
「え?!」
「あ、そう言えばそうなんだよ」
式がぼそりと言ったのをおれは聞き逃さなかった。
そういえばって。しかもおれが知るの最後って飼い主としてはあれなんですけど。
今日1番驚いたおれは桃花を探しにダッシュ。
必死に守ってきた腕をぶつけてしまいまたもや桃花に怒られることになる。
「はわー、寝ちゃう」
「ここに来るといつもこうだな……」
「俺はもう目が閉じてる……」
既にベッドに潜り込んだおれたちは仲良くおねむだ。2人はバイト終わりだし、おれはカラオケで出し切っている。
「幼稚園のガキかよ……」
「式くんや君も寝よう」
「俺をアホの国に引き入れようすんな」
アホの国なんてひどい平和の国の住人と呼んで欲しい。
ほんとに寝てしまいそうなのでむくりと起き上がると式がデコピンを仕掛けてきた。
「あいた」
「起きたか」
デコピンのおかげかはわからないがもう再び横になる気は薄まった。足を下ろして靴を履き背伸びをする。
「ふぁあ……あ、あの紺ブレザーの2人組のこと教えてくれた?」
「ああ、まだ話せてなくて……」
「何がだ?」
いつもタイミングの良い氷怜先輩が部屋に到着。続いた暮刃先輩と瑠衣先輩が秋と優をからかいにベッドに潜り込む。
寝そうだった2人はその振動に驚いてすぐに目を開けた。
「わ、びっくりした」
「寝るならせめて構ってからにしてくれる?」
暮刃先輩が意地悪く笑うと優がくすくすと笑った。
「じゃあ起きます」
「それは残念」
その横で秋が悲鳴をあげた。
「ぎゃ!瑠衣先輩の手冷た、あ、お腹はダメ!冷た!」
「ホラホラ~早く起きないと、とんでもナイところに手を入れてや」
「起きます、起きさせていただきます!」
お腹抱えてけらけら笑った瑠衣先輩が掛け布団から顔を出した。すっかり目が覚めたのか2人ともぱっちりだ。
式がやれやれとソファから離れ氷怜先輩の元に歩く。
氷怜先輩は1人用のソファに座ったのでおれもソファから出て駆け寄ると予想通り頭を撫でられた。おれの隣で式が目を細めた。
「氷怜さん、実は……」
話し出した式に暮刃先輩も瑠衣先輩もゆっくりとテーブルに移った、秋も優も何事かと静かに先輩達の隣に座って話を聞いている。
「まあ、何も知らないガキの話かもしれませんが」
式の言葉にいやいや同じ高校生だったけど、とは突っ込めなかった。でも、そう言う口ぶりになってしまうほどここのチームの存在は逸脱している。
「なるほどな……またお前は、腕のこと忘れてねぇだろうな」
すぐに標的がおれになり氷怜先輩の指は俺のほっぺを引っ張った。
「う、でも流石にわざと肩当たってきたら注意しちゃいます、ましてや女の子の肩に……あ、でもあれから腕ぶつけてないので!」
「いやそれが普通なんだけどな……まあ、良い。ただな、最近そう言うのが増えてるから気をつけろ」
「え?」
何がだろう、女の子肩にわざと当たるのが増えてるの?それは許せない。おれそれは許せないぞ。
「俺らのチームの奴らが狙われてんのが」
「そっちかなるほど……ってそれも許せない」
「唯、5分静かに」
「はい!」
優がぴしっと言うので思わず背筋が伸びる。ふっと笑った氷怜先輩がおれの腰をひいて肘掛に座らせた。
静かに聞いていた話はこうだ。
チームのトップである氷怜先輩達を狙わずに、試合の予告もなく無礼な喧嘩を吹きかけられる事が頻繁に起こっているのだと言う。
ただ、やはりそこは氷怜先輩達のチーム。皆さん誰もかれも圧勝して帰ってくるらしい。それでもその数の多さは異様だと暮刃先輩が眉をひそめた。
「そんなことしてくるやつ前の三馬鹿くらいだったんだけど」
暮刃先輩の三馬鹿呼ばわりがツボだったのか優が吹き出した。
「なんですかね、流れ着いたよそ者さん?」
「さあな、でも年齢もバラバラ、チームは無所属、出どころも不明」
「へえ、謎ですねぇ」
不思議だな。これほど有名人のこの人たち手を出すなんて。
「一応ここに出入りしてるやつは気をつけるように言ってある。お前らには式と桃花、赤羽も着けるからはぐれるな」
氷怜先輩の言葉にしっかり頷くと、秋が手をポンと叩いた。
「あ、だから今日赤羽さんバイト来てくれたんですね」
秋の言葉に瑠衣先輩が頷いた。
「赤羽っちは謎が多くてちょっと喜んでるカナ~」
「さすが……」
苦笑いの秋、いつもよりも赤羽さんを意識しているように見える何かあったんだろうか。
首をかしげるおれに氷怜先輩がそれとは別に衝撃のニュースを教えてくれた。
「そう言えば、お前ら桃花がうちの高校くるの知ってるか」
「え?!」
「あ、そう言えばそうなんだよ」
式がぼそりと言ったのをおれは聞き逃さなかった。
そういえばって。しかもおれが知るの最後って飼い主としてはあれなんですけど。
今日1番驚いたおれは桃花を探しにダッシュ。
必死に守ってきた腕をぶつけてしまいまたもや桃花に怒られることになる。
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