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hello!
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「さすが椎名さん。ぶっ飛んでるなぁ」
「息子のおれもびっくりだわ」
戻ってきたおれが1人だったことに首を傾げた優と秋に説明したら感慨深そうに頷いた。
接客していた春さんが戻ってくると優しげな笑顔でもう大丈夫なの?とお優しい気遣い。
「母さんなら先輩をさらってお茶に行きましたよ」
「……君のお母さんと氷怜君ってまさか」
「いや氷怜先輩はおれの彼氏です」
「わあ、そうなんだね。おめでとう」
思わずさらっと報告してしまったおれに、春さんがマイナスイオン出してにっこり微笑むので釣られてにやける。ツッコミ不在のため、秋が思わず横からツッコミを入れた。
「え、春さんそれだけ?!」
「ん?何が?」
「何がというか」
秋と優はおれのせいで慣れているけど確かに春さんの恋愛対象は女の人のはずだ。おれたちの気持ちを悟ったのかちゃんとそれに答えてくれた。
「俺はみんなが幸せなら何も反対する理由がないよ」
後ろにお花が見えるほど癒しの笑顔でそう言われてしまってはおれ達三人は拝むしかない。春さん、愛してます。
あ、と優が話し出す。
「実は俺も暮刃先輩と付き合ってて……」
「そうなんだね、最近みんな色っぽくなったなぁって思ってたところ」
最終兵器のウィンクが炸裂。今日もお仕事頑張ります。
秋が茶化すように話し出した。
「すっかりカップルばかりですよ」
「色っぽくなったのは秋裕もだけどね」
「俺もかー」
あちゃーとばかりにふざけた秋にふふっと笑って春さんは手を合わせた。
「さてそろそろピークも終わるから、もうひと頑張りしようか」
「はい!」
敬礼のポーズが寸分の狂いもなく決まるおれたち今日もいいトリオだ。
すぐに持ち場に戻ったおれたちは先輩のことを時より考えながらも結局クローズまで忙しく走り回っているうちに時間は経っていた。エプロンを取った頃にはお腹もぺっこり。
「うん、今日もお疲れ様みんな」
「はわ~お疲れ様です~」
どんなに疲れていても春さんが穏やかさを崩すところは一度も見たことがない。おれたちが片付けを手伝っていると春さんが茶葉の入った包みを持ってきた。書かれている文字はルイボスティーだ。
「もう片付けも大丈夫だよ。ありがとうね。これよかったら持って帰って飲んでみて、新しいやつ」
そう言われて受け取れば春さんが椎名さんにも宜しくねと伝言をもらう。春さんこういうところが女性にモテてやまないのだが、きっと春さんは気付いていない。
「ありがとうございます!」
「わーい!お土産だー!」
「椎名さんと言えば、氷怜先輩から連絡あった?」
優の言葉にそこでハッと思い出し携帯を開いた。あれから5時間は経っている。点けた画面は通知が数件。氷怜先輩からは来ていなかった。バイトの時間を教えていたので今日来てくれたわけだから、連絡しても意味がない事は分かっているはず。
予定を狂わせてしまってないだろうか。他の一件に母さんを見つける。
「えーと…………さすが私の息子、いい人捕まえてちゃってこのやろう☆…………口悪いよ椎名…………」
「突っ込むとこそこじゃなくない?」
「まあでも椎名さんも大賛成って事で……」
しかもこの返信は数十分前にきている。
は、もしや連れ回したのだろうか………?
「あ、先輩だ」
ちょうど開いたままのスマホに新たに連絡が来た。
秋と優が一緒になって覗き込む。
「…………プリクラ撮った」
「ぶっ」
秋と優は吹き出したが、家に着いたら速攻で氷怜先輩に謝罪の電話をすると決めた。あと、おれも先輩とプリクラ撮りたいんだけど椎名さん。
「息子のおれもびっくりだわ」
戻ってきたおれが1人だったことに首を傾げた優と秋に説明したら感慨深そうに頷いた。
接客していた春さんが戻ってくると優しげな笑顔でもう大丈夫なの?とお優しい気遣い。
「母さんなら先輩をさらってお茶に行きましたよ」
「……君のお母さんと氷怜君ってまさか」
「いや氷怜先輩はおれの彼氏です」
「わあ、そうなんだね。おめでとう」
思わずさらっと報告してしまったおれに、春さんがマイナスイオン出してにっこり微笑むので釣られてにやける。ツッコミ不在のため、秋が思わず横からツッコミを入れた。
「え、春さんそれだけ?!」
「ん?何が?」
「何がというか」
秋と優はおれのせいで慣れているけど確かに春さんの恋愛対象は女の人のはずだ。おれたちの気持ちを悟ったのかちゃんとそれに答えてくれた。
「俺はみんなが幸せなら何も反対する理由がないよ」
後ろにお花が見えるほど癒しの笑顔でそう言われてしまってはおれ達三人は拝むしかない。春さん、愛してます。
あ、と優が話し出す。
「実は俺も暮刃先輩と付き合ってて……」
「そうなんだね、最近みんな色っぽくなったなぁって思ってたところ」
最終兵器のウィンクが炸裂。今日もお仕事頑張ります。
秋が茶化すように話し出した。
「すっかりカップルばかりですよ」
「色っぽくなったのは秋裕もだけどね」
「俺もかー」
あちゃーとばかりにふざけた秋にふふっと笑って春さんは手を合わせた。
「さてそろそろピークも終わるから、もうひと頑張りしようか」
「はい!」
敬礼のポーズが寸分の狂いもなく決まるおれたち今日もいいトリオだ。
すぐに持ち場に戻ったおれたちは先輩のことを時より考えながらも結局クローズまで忙しく走り回っているうちに時間は経っていた。エプロンを取った頃にはお腹もぺっこり。
「うん、今日もお疲れ様みんな」
「はわ~お疲れ様です~」
どんなに疲れていても春さんが穏やかさを崩すところは一度も見たことがない。おれたちが片付けを手伝っていると春さんが茶葉の入った包みを持ってきた。書かれている文字はルイボスティーだ。
「もう片付けも大丈夫だよ。ありがとうね。これよかったら持って帰って飲んでみて、新しいやつ」
そう言われて受け取れば春さんが椎名さんにも宜しくねと伝言をもらう。春さんこういうところが女性にモテてやまないのだが、きっと春さんは気付いていない。
「ありがとうございます!」
「わーい!お土産だー!」
「椎名さんと言えば、氷怜先輩から連絡あった?」
優の言葉にそこでハッと思い出し携帯を開いた。あれから5時間は経っている。点けた画面は通知が数件。氷怜先輩からは来ていなかった。バイトの時間を教えていたので今日来てくれたわけだから、連絡しても意味がない事は分かっているはず。
予定を狂わせてしまってないだろうか。他の一件に母さんを見つける。
「えーと…………さすが私の息子、いい人捕まえてちゃってこのやろう☆…………口悪いよ椎名…………」
「突っ込むとこそこじゃなくない?」
「まあでも椎名さんも大賛成って事で……」
しかもこの返信は数十分前にきている。
は、もしや連れ回したのだろうか………?
「あ、先輩だ」
ちょうど開いたままのスマホに新たに連絡が来た。
秋と優が一緒になって覗き込む。
「…………プリクラ撮った」
「ぶっ」
秋と優は吹き出したが、家に着いたら速攻で氷怜先輩に謝罪の電話をすると決めた。あと、おれも先輩とプリクラ撮りたいんだけど椎名さん。
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