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Peace!
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しおりを挟む「んーよく寝たけどネムイ……」
ぼやっとしてる瑠衣先輩。
いつのまにか着替えたのか今日はルーズなスウェットにスキニーだ。少し肩口が広めなせいで横になってずれて綺麗な肩がよく見える。おれにはないセクシーさで首を傾けた瑠衣先輩。
いつもよりゆったりな動きに違和感を感じた。今日の朝も起きた時は誰よりもシュパッと動いていた瑠衣先輩が立ち上がろうともしない。ぼうっとおれたちを見つめている。
もしかして寝ぼけてる?
すると目をこすりながら瑠衣先輩がかすれ気味の声を出した。
「抱き枕……欲しい」
「え……」
手を広げた瑠衣先輩。
その両手が明らかに秋に向いている。ギョッとした秋が立ち上がると優が座った目で秋を差し出した。
「瑠衣先輩どうぞ抱き枕です」
「え、いや」
「アニマルセラピーだよ」
笑ったおれにええ……と言いながらも優に背中をトンと押されてしまい見事その腕の中に収まった。
「ん……イイカンジ」
そのまま秋の首に顔を埋めると秋が少し驚く。やられたらそりゃどきっとするさ。
それでも手も足も使って本当に抱き枕にすると秋ごと瑠衣先輩が横になり、すぐに聞こえる穏やかな呼吸。
「これは効果あり?」
「うん、秋いい仕事した」
親指を立てたおれたちに秋がびっくりしながらもだんだんどうでも良くなってきたのか、じゃあ俺も寝るしかないじゃんと言って寝始める。
秋は寝つきがいいので数分で寝た。
おれたちはまだセラピーの出番が無いのでノートを片付けて先に貰ったエサ……ではなく美味しいあつあつグラタンを食べる事にした。
「うーん、昨日も今日も贅沢」
「着々と甘やかされてるよね」
「まったくだ」
のんびり食べ始めると秋が入った事により体制が変わったのか無意識に氷怜先輩が2人を避け、そのせいで暮刃先輩に肩が当たる。
「ん………」
暮刃先輩の声だ。優と視線を合わせるとこっそり2人で覗きにいった。クリアブラウンの髪が横に流れてその綺麗な顔がよく見えた。どっからみても美しいに尽きる。
「…………そんなに見られると、流石に寝づらいね」
目をつぶって寝ているはずなのにその口から感想が飛び出すので驚いてしまった。それなのに優は笑っている。
「やっぱり起きてた」
「え、優気づいてたの?」
「うん瑠衣先輩が起きた時暮刃先輩ちょっと動いたからそうかなって」
よく見てたな。暮刃先輩の目がゆっくり開くと腕につけていた時計を見る。
「結構寝てたな……」
「先輩達そんな寝れなかったんですか?」
「んーーちょっと面白いこともあったし……君たちの寝顔可愛かったから」
おれと優の頭を撫でる起き抜けの暮刃先輩も超エロいな。その手が気持ち良くておれも眠くなりそう。
「いい匂いがする」
「今日はグラタン貰いました」
「俺も食べようかな……ふわ」
暮刃先輩が珍しくあくびをするのでおれも優も笑ってしまった。ゆっくり立ちあがってソファに移動した暮刃先輩の横に優が座る。飲み物を注いで渡すとありがとうと微笑んだ。
まだベット横にいたおれは2人の何だかいい雰囲気に嬉しくなって笑っていたら、突然腕が掴まれてベットの上に転がった。
驚いて目を見開くと真上に綺麗な綺麗なヘーゼルグリーンの瞳。
「カラコンじゃない……」
「寝る前と起きた時は取ってけど……お前夜は眠けで朝は驚いて気づいてなかった」
おれの言葉に掠れた低い声が返されると、急激にリアルになった光景。
え、ちょ、やばいなこれ。
おれはデートで自分の弱点を知ったのだ。朝もやばかったけど寝起きの氷怜先輩はおれがやばいという事に気付いた。みんなみんな色気がいつもより倍以上になるから。
「氷怜~俺たちがいるから唯食べないでね」
「氷怜先輩どうどう」
ソファから呑気な声が聞こえるがおれはそれどころではない。視線をどこに向けたらいいかもわからないし手も行き場をなくしている。おれの頭の横には氷怜先輩の手があって腰の横には膝があって、なんかもう色々わけがわからなくなってしまった。
「あ、あの」
「……食べねぇよ」
その綺麗な顔がゆっくり降りてくる。花のような甘い匂いに包まれると首筋に温かい感触。シーツでくぐもった声が耳に響いた。
「まだ、な……」
おれの頭の後ろに腕が回りその身体が包むように横に寄り添うとふんわりと掛け布団がされる。大きな手がおれのお腹をポンポンと撫でている。思わず氷怜先輩を見つめると、フッと笑ってこめかみにキスをされた。
おれは今日死ぬのかもしれない。
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