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date!!!
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夜のパレードも見終わると、辺りは暗くなる代わりに綺麗なライトを灯した。変わり始める情景にいい頃合いだと氷怜先輩が笑う。
ワンダラ出口のすぐ真横にあるホテルに流れるように連れて来られるとおれはその光景に飛びついた。
「うーーめっちゃ綺麗ーーーー」
ワンダラホテルの最上階は夜景の見えるレストランで、そのレベルはかなり高いとの噂だ。確かにワンダラを一望でき、その光景も一気に大人の雰囲気へと変貌している。
しかも出入り口をカーテンで仕切られ、窓からその夜景を独り占めできる個室に案内されてしまった。
「案内されるのおれたちで良いんだろうか……」
「深く考えたら終わりだろ」
「ここ確か1年先まで予約埋まってるってテレビで」
夜景に張り付いたおれと秋に優が横から恐ろしいこと言うので、思わず先輩たちを振り返った。すでに座り心地の良さそうなソファーに座っていた先輩達が笑顔だけを返したが、それがどんな意味なのかは聞けずに終わる。
「お待ちかねのディナーだね」
「はい!」
くすくす笑う暮刃先輩の声にぱたぱたとソファーに座ればやはり包まれるような柔らかさ。隣の氷怜先輩が足を組むと振動が伝わった。
次々と運ばれる食事はどれもこれも豪華。しかもちょこんとした食べ物ばっかりじゃなくて男の子には嬉しい、ちゃんと量があるものばかり。そして不満も1つも出ないほど美味しい。フォークの通りやすいお肉を口に運べばとろけるような歯ごたえに身悶えた。絶対A5。
氷怜先輩が笑っておれのお肉で膨らんだ頰を撫でた。
「意外と良かったなここ」
「うん、どれも良い味」
上品に食べる暮刃先輩が答える。クラブの料理もかなりの美味しさだったけどこちらも負けていない。瑠衣先輩が品の良い店員さんにドリンクを頼めばやはりしゅわしゅわの黄金色が出てきた。
出たなハッピードリンク……。おれの睨みに気づいたのか暮刃先輩がからかうようにハッピードリンクが入ったグラスを向けた。
「唯斗くんも飲む?」
「おい、暮刃」
「冗談」
氷怜先輩が暮刃先輩に怒れば、くすくす笑った。
それよりもなんか暮刃先輩に久しぶり君付けで呼ばれたような気がする。しかも昨日の桃花との会話を思い出した。敬語とか敬称ってやっぱり砕けた方が好きなんだよな。
優は取ってるしおれも呼んでくんないかなとダメ元で聞いてみた。
「暮刃先輩!おれもくんとって欲しいです!」
「あ、俺も!」
暮刃先輩の目がおれに向くと秋もこの話に参戦した。やはり気軽に読んでもらいたいよね。瑠衣先輩がけらけら笑いながら黄金色のドリンクを一気に流し込んだ。
「お硬いって~」
「ああ、なんかつけちゃうんだよね」
「くれちんは大体の人間に微笑んでシールド張るんだよ。厄介でショ」
ああ、たしかに基本的に爽やかな笑顔で誰にもでも対応してるけど深追いはしなそうだな。でもおれたちには割と質問してくれるし、色々助けてもらっているからか壁は感じなかった。
「おれたちにも壁あります?」
「暮刃が数回も他人の食事に付き合うなんて初めて見たけどな。あとこいつ基本的に手作りとか食べねぇよ」
「へ」
おれの手作りランチふっつうに食べてくれていた。そうなんだ、それはなんかニヤニヤしちゃうやつじゃないですか。
「えへへへ」
「じゃあみんなみたいに唯とか秋って俺も呼ぶよ、良い?優」
「もちろん」
パスタを放り込んだ優が頷くと、優の空になったグラスに暮刃先輩が注いで微笑んだ。
「オレは好きに呼ぶ~」
「瑠衣先輩はそういう遠慮とか無いですもんね」
「おー?生意気になってきたネ?」
やべっと秋が誤魔化すためにお肉を頬張る、そんな事も忘れるほどそのお肉が美味しいのはおれも分かっているので顔がへにゃっとなっても仕方ない。
その顔をけらけら笑って写メを撮り始めた瑠衣先輩はやはり自由だ。
ワンダラ出口のすぐ真横にあるホテルに流れるように連れて来られるとおれはその光景に飛びついた。
「うーーめっちゃ綺麗ーーーー」
ワンダラホテルの最上階は夜景の見えるレストランで、そのレベルはかなり高いとの噂だ。確かにワンダラを一望でき、その光景も一気に大人の雰囲気へと変貌している。
しかも出入り口をカーテンで仕切られ、窓からその夜景を独り占めできる個室に案内されてしまった。
「案内されるのおれたちで良いんだろうか……」
「深く考えたら終わりだろ」
「ここ確か1年先まで予約埋まってるってテレビで」
夜景に張り付いたおれと秋に優が横から恐ろしいこと言うので、思わず先輩たちを振り返った。すでに座り心地の良さそうなソファーに座っていた先輩達が笑顔だけを返したが、それがどんな意味なのかは聞けずに終わる。
「お待ちかねのディナーだね」
「はい!」
くすくす笑う暮刃先輩の声にぱたぱたとソファーに座ればやはり包まれるような柔らかさ。隣の氷怜先輩が足を組むと振動が伝わった。
次々と運ばれる食事はどれもこれも豪華。しかもちょこんとした食べ物ばっかりじゃなくて男の子には嬉しい、ちゃんと量があるものばかり。そして不満も1つも出ないほど美味しい。フォークの通りやすいお肉を口に運べばとろけるような歯ごたえに身悶えた。絶対A5。
氷怜先輩が笑っておれのお肉で膨らんだ頰を撫でた。
「意外と良かったなここ」
「うん、どれも良い味」
上品に食べる暮刃先輩が答える。クラブの料理もかなりの美味しさだったけどこちらも負けていない。瑠衣先輩が品の良い店員さんにドリンクを頼めばやはりしゅわしゅわの黄金色が出てきた。
出たなハッピードリンク……。おれの睨みに気づいたのか暮刃先輩がからかうようにハッピードリンクが入ったグラスを向けた。
「唯斗くんも飲む?」
「おい、暮刃」
「冗談」
氷怜先輩が暮刃先輩に怒れば、くすくす笑った。
それよりもなんか暮刃先輩に久しぶり君付けで呼ばれたような気がする。しかも昨日の桃花との会話を思い出した。敬語とか敬称ってやっぱり砕けた方が好きなんだよな。
優は取ってるしおれも呼んでくんないかなとダメ元で聞いてみた。
「暮刃先輩!おれもくんとって欲しいです!」
「あ、俺も!」
暮刃先輩の目がおれに向くと秋もこの話に参戦した。やはり気軽に読んでもらいたいよね。瑠衣先輩がけらけら笑いながら黄金色のドリンクを一気に流し込んだ。
「お硬いって~」
「ああ、なんかつけちゃうんだよね」
「くれちんは大体の人間に微笑んでシールド張るんだよ。厄介でショ」
ああ、たしかに基本的に爽やかな笑顔で誰にもでも対応してるけど深追いはしなそうだな。でもおれたちには割と質問してくれるし、色々助けてもらっているからか壁は感じなかった。
「おれたちにも壁あります?」
「暮刃が数回も他人の食事に付き合うなんて初めて見たけどな。あとこいつ基本的に手作りとか食べねぇよ」
「へ」
おれの手作りランチふっつうに食べてくれていた。そうなんだ、それはなんかニヤニヤしちゃうやつじゃないですか。
「えへへへ」
「じゃあみんなみたいに唯とか秋って俺も呼ぶよ、良い?優」
「もちろん」
パスタを放り込んだ優が頷くと、優の空になったグラスに暮刃先輩が注いで微笑んだ。
「オレは好きに呼ぶ~」
「瑠衣先輩はそういう遠慮とか無いですもんね」
「おー?生意気になってきたネ?」
やべっと秋が誤魔化すためにお肉を頬張る、そんな事も忘れるほどそのお肉が美味しいのはおれも分かっているので顔がへにゃっとなっても仕方ない。
その顔をけらけら笑って写メを撮り始めた瑠衣先輩はやはり自由だ。
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