sweet!!

仔犬

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「おら、つけてやったぞ」

「はわーーーー」

「……なんつー声だしてんだよ」

アッシュの髪にも、はっきりとした端正な顔立ちにも、そのニヒルな笑みにもその耳が似合い過ぎていた。スマホを持つ指が連写して止まらない。

そんな氷怜先輩と暮刃先輩、瑠衣先輩が並んだ時にはもう目の前が眩しくて視界がにじむ。


「うう、カッコいい泣けてきた……」

「……うわ、ガチ泣きかよ」

「……唯本当にイケメンに弱くない?」


ガチで泣き始めるおれの涙を秋がアウターの裾で拭いてくれ、優は情けを含んだ目で頭を撫でてくれた。もう開き直って仕方ないと思うしかない。かっこいいのが悪いのだ。

そんなおれ達を瑠衣先輩が爆笑しながら写真に収めるので涙流しながらピースした。

暮刃先輩も氷怜先輩も仕方なそうに笑った。氷怜先輩が親指で入り口を指差す。

「そんだけ喜んでくれて嬉しいんだけどよ……まだ入ってもねぇんだわ」

「ああ、そうです!行きましょうレッツ犬の国!!」

「ワンワン!」

拳を掲げたおれの真似して瑠衣先輩も同じポーズをとると泣き真似するもんだから吹き出してしまった。

「る、瑠衣先輩今の反則!!あはは!」

「ほら行くよーー?唯ちんに合わせてると日が暮れちゃいますカラ」

それは本当にすみません。
どんどんおれの背中を押していく瑠衣先輩。
受付の人にチケットを渡せば、代わりに首輪が返ってくるというサービスである。

そしてやっと一同人園。まず見えてきたどでかいシンボルの銅像。犬様のおやつ、骨。


「骨ーーー!」

「あはははは!!ホネーーー!!」


もうテンションが上がったおれの横でやっぱり瑠衣先輩は爆笑した。この分だと帰る頃にはとんでもなく疲れていそうだ。
シンボルを見ながら暮刃先輩が首を傾げ、優に聞く。


「これ、有名なの?」

「みんなこれの前で写真撮りますよ」

「へぇ……」


暮刃先輩は深く考えるのをやめたようだった。秋がスタッフの人にお願いして写真を撮ってもらうといい笑顔でイケメングループですね!と褒めてくれた。おれたちまでまとめてくれるところが優しさの塊である。

撮ってもらった秋の写真を除いた暮刃先輩が遠い目をした。

「これ他のチームに流れたら死ぬまで笑われるんだろうな……」

「だ、大丈夫ですか?」

すかさず優が不安げに覗き込むと、そのつけられた首輪に手が掛けられた。流し目で優を捉える。


「でも、可愛いものが見れたから」

「……本当はそんなに気にしてない事がよく分かりました」

「あれ怒らせちゃった?」

いいえと、ため息をついた優が歩きだし暮刃先輩もそれについていく。瑠衣先輩が秋ともツーショットを撮りながら園内を見渡して次はどこへ行くかと尋ねた。

おれは大体遊園地にきたらコースは決まっている。

「最初に乗るとテンションが上がるんでジェットコースター!」

「んじゃあイコー!!」

「おいお前ら走んなよ」


意気投合した瑠衣先輩とGoGo!と片手を高く掲げて歩き出したところで、氷怜先輩もおれの横についた。横顔にもしっかりときめく。

後ろからゆっくりとついてくる優と秋が暮刃先輩に質問した。2人ははおれのはしゃぎっぷりに冷静さを取り戻していたのだ。


「瑠衣先輩って兄弟居ます?」
 
「ん?一人っ子だよ」

「……唯もです」

「ああ、なるほど」



一人っ子コンビは自由だと言いたいらしい。











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