73 / 379
school!
2
しおりを挟む「そんな気がしないけど学校でこうして会うの初めてなんですよね」
「そうだな、今日はお前の飯が食えるしな」
そう、今日は先輩達にお昼ご飯を作ることになっていた。昨日あのVIPルームでの話を思い出したおれは秋と優にそれを話すと、俺たちのも作ってとなんともわがままなことを言い始めた。もうどうせ作るなら結局先輩達も式もみんな呼ぶことにしたのだ。赤羽さんは今日お休みだった。
「……俺まで良いんですか?」
「何がダメなんだ」
遠慮がちな式に氷怜先輩が笑って式の頭をぐしゃぐしゃにすると式が嬉しそうに笑った。
そうそう、みんなで食べると2倍美味いしね。
「唯たろうご飯とか作れるのー?」
瑠衣先輩今日は太郎の気分らしい。本当に呼び名がコロコロ変わるな。
唯太郎なおれはかなり大きくなったお腰につけたきびだんご……ではなくお弁当を広げた。
「ランチらしいやつにしました」
「相変わらず凝ってんなぁ」
秋が呆れたようにつぶやくも美味いけどさと付け足した。
今日はパンを主食にエビとアボカドのサンドイッチとフランスパンにつけるようのアボカドディップ。卵たっぷりブロッコリーと玉ねぎのポテサラ。おかずに濃厚ソースのハンバーグとウインナー。
飲み物は春さんブレンドの紅茶にしてみた。
良い感じに一口サイズに全部してあるのだ。ランチョンマットを広げて並べたらピクニックみたいで可愛い。
「流石に昼はめっちゃ食べるかなって」
「すげえな……」
「ひーは食べるよー胃袋宇宙だから」
「俺よりお前の方食うだろ」
「どうぞー食べてください!」
やはりそこは男子の胃袋、みんな食べるよね。みるみる手を付けられていく。作り甲斐あるよなぁ。よかったいっぱい作って。
式が覗き込みながらつぎに何を食べようか迷っている。
「マジですごいな、見直したわ唯斗」
「え、そんな料理できなそう?」
おれの質問にも答えず式めっちゃ食ってる。これたぶん餌付けされて見直したって言ってるだけだ。
「うんま!唯たろうえらーい!」
「マジで美味いわ」
「良かったね氷怜、良い奥さんになるよ」
暮刃先輩の言葉に一堂がおれの方を向く。
たしかに美容を突き詰めたおれは少しは奥さん代わりになるかもしれない。
「女子力には自信あります!」
「唯、たぶんそこ恥ずかしがるところ」
「え!?」
胸を叩いてみせたおれに優が訂正した。氷怜先輩が笑いを堪えて口元を隠し、瑠衣先輩は隠しもせずに笑い転げている。暮刃先輩は微笑んで紅茶を飲んだ。
「唯はそういうところがダメだよな」
「唯らしいんだけどね」
「馬鹿だよな」
秋と優と式が好き勝手言い始めたのでアボカドディップつきパンを口に突っ込んだ。何も言わずにもぐもぐし始めたので作戦は成功だ。
紅茶も美味しい、と少しだけ目を見開いた先輩は改めておれたちを見た。
「ほんと色んなことしてるよねぇ君たち」
「先輩達っていつも何してるんですか?自由な時間」
式が気になっていたのか、パンを口に挟んだまま聞き耳を立てる。そう言えばおれ先輩達の私生活全然知らない。
「うーん、聞きたい?」
暮刃先輩は怪しく笑ったので、おれたちは正座に切り替えた。
46
お気に入りに追加
1,388
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!?
※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。
いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。
しかしまだ問題が残っていた。
その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。
果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか?
また、恋の行方は如何に。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
異世界で、初めて恋を知りました。(仮)
青樹蓮華
BL
カフェ&レストランで料理人として働く葉山直人(はやまなおと)24歳はある日突然異世界へ転生される。
異世界からの転生者は、付与された能力で国を救うとされているが...。自分の能力もわからない中、心の支えになったのは第二王子クリスと、第一騎士団団長アルベルト。
2人と共に行動をすることで徐々に互いに惹かれあっていく。だが、以前失恋したカフェ&レストランのオーナーがちらつき一歩踏み出せずにいる。
♯異世界溺愛系BLストーリー
⭐︎少しでも性的描写が含まれる場合タイトルに『※』がつきます。
読まなくてもストーリーが繋がるよう努めますので苦手な方はご遠慮ください。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!
慎
BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥
『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。
人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。
そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥
権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥
彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。
――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、
『耳鳴りすれば来た道引き返せ』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる