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fight!!
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しおりを挟む「俺はあまり戦いに興味がないのですが……」
困り眉の赤羽さんだが階段をコツコツと降りて、サクラ姉さんにタブレットPCを渡すと氷怜先輩の横に立つ。
「とは言え瑠衣さんの頼みとあれば仕方がないですね」
今日も白い歯が眩しいぜ。仕方ないなんて言いつつ怯んだ顔は一度もしない。ヤル気しかないじゃないですか赤羽さん。
ニッと瑠衣先輩の口が笑う。
「オレらの秘密兵器だかんねー、たまには磨かないと」
「ですよねめっちゃ強いですよね……」
ため息の秋にますます笑い始めた瑠衣先輩はやっと機嫌が直ってきた様子。赤羽さんもしかしたら瑠衣先輩の機嫌のために?と思ったが結局楽しそうなところを見ると関係なさそうだ。
「ルールはさっきと同じでいいんですか?」
「うん、イイよー」
赤羽さんの質問にすぐに応え、もはやこちらの主導権は瑠衣先輩に移行した。どうやら秘策があるらしく、またもや円陣を組まされる。
「桃花ちんが基本的に攻めなのは変わらないんだケドー……優夜も秋裕も唯斗も攻めて?」
悪戯っ子全開な瑠衣先輩だが、急に名前をちゃんと呼び出したのでかなり本気に見える。
これ絶対やんなきゃなやつだ。それでも正直、秋がやったようにおれたちが間を持たせるのは数秒しか無理だ。
絶対逃げ切れないしリーチがない。
不安な顔をしたおれたちに瑠衣先輩はすぐ言葉をに付け足した。
「ゼーッタイ楽しんでるからすぐ倒されないし、赤羽っちもデータ収集したいだけだから」
なるほど、データのためならえんやこら、なかなか取れないデータは自分の身体でと言うやつか。
「てゆか別にみんな動けんでしょ?それなりに」
「やでも、喧嘩した事ないですよ?」
「えーでも唯ちんも優たんもさ……」
「おーっと……」
意味ありげに言葉を切られ、おれと優視線を合わせて苦笑い。
桃花が驚いたのか、円陣で振動が伝わる。
「え、出来るんですか?」
「……まあ、出来ます」
「多彩ですね……」
関心したように呟かれるとなんだか恥ずかしい。瑠衣先輩って鋭いところあるよね。
「んね。まあまあ、適当に攻めててよ。フォローするからさ」
「はい……」
正攻法でいく気がなかったおれたちは不安だが仕方がないと腹をくくる。どうせ策なしだったので瑠衣先輩に任せよう。
「やだ、なんだか盛り上がってきちゃってもう!じゃあもう一度……開始!」
おれはもうサクラ姉さんが楽しいそうで何よりです。
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