sweet!!

仔犬

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fight!!

2

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それでもやはり実力差は歴然だった。式は体力も限界そうだし、桃花さん1人ではいくら強くても厳しい。避けるのがやっとでその合間に体力を回復した式が仕掛けるのだが、効率が悪い。

「いくらタッグ組んでも先輩3人に2人は厳しいよな」

「私、入ってこようかしら」

「彼氏さん失神しちゃいますよ……」

「そうです、ダメですよ~!」

おれの目が黒いうちは女の子に怪我させません。2度と。
でも一理ある。

「あ、おれらも3人で行く?」

「ええ……」

「流石に邪魔になるよ……」

とは言えもう先輩達しか立っていないので式が体力の限界を迎えればこのお祭りも終了だ。そしてその現実も意外と早く来た。




「ぐッ……わり、桃花……」

氷怜先輩の見事なパンチが式のお腹に命中したのだ。もう支える力がないのかうずくまる。


「やっぱお前が残ったな桃花」

「……流石に俺だけでは」


桃花が諦めの態度を示した。でもまだ体力はありそうだ。ならばやはり。

「サクラ姉さん、勝利の女神お願いします」

「え?」

ゆっくり階段から立ち上がり、倒れたチームの人たちを避けてフロアの真ん中に手を挙げて入っていった。後ろから優が馬鹿……と小さく言っているのが聞こえたが戻ることはもう出来ない。


「桃花~おれもする~」

「はあ?」

臨戦態勢だった先輩達の身体が緩んでしまう。
氷怜先輩も流石に何を馬鹿なことをと顔に書いてあるがそう、そうなのだおれは馬鹿である。


「また面白いこと言ってー!あはは!」


おれの宣言に瑠衣先輩が笑い始めた。あーでもと言葉が続く。

「唯ちん運動神経それなりにいいハズ~だって二階からからふっつうに降りてきたし」

「ああ、そう言えばそうだったね」

「ちなみに運動神経は秋の方が良いし、優も線は細いけどそれなりですよ」

ふむ、とアゴに手を当てて面白そうに思案する暮刃先輩。意外にも参加に協力的だ。後ろからおれへの罵倒が聞こえてきた。

「唯の馬鹿……」

「唯のアホ」

いつのまにかフロアに降りてきた優と秋。来てしまった理由がよく分かる。気まずそうに、でも楽しそうなんだもん。


「あれ2人大丈夫なの?いいのに」

ニヤニヤしながら聞いたらふたりは言いづらそうにこう言った。

「いやだって」

「ちょっと」

「「面白そうだったから」」


類は友を呼ぶね。大満足のおれに桃花が青い顔で叫んだ。

「待ってください!喧嘩すらしたことない唯斗さん達が少しでも入ったら大怪我しますよ、ダメです!」

「んー、なのでハンデを所望します!」

「なんだ唯斗」


氷怜先輩も少し俺の考えが読めてきたのか口の端が上がってきた。そう、もう終わったも同然なこの祭り。最後くらいまともな喧嘩じゃなくたっていいじゃない。


「まず、おれたちと桃花の4人対先輩達3人。それから立てなくなったらとかじゃなくて単純に背中を床についた時点で負けです。この2つだけ」

「……良いだろう」


百獣の王の目が始めておれに向いた。

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