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fight!!
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しおりを挟むサクラ姉さんが持ってきてくれたドリンクも空になり、お祭りも後半戦のようだ。だいぶ死屍累々というか、悲惨なフロアが出来上がってきた。
立っている人はもちろん先輩達、それから桃花、式、前に挨拶してもらった幹部の人が多い。ネロの人たちは一回だけ手合わせするとすぐに観戦の体制に入っていた。戦うよりも観戦して対策、分析、それくらい熱心な見方だった。氷怜先輩たちのチームの人は立てなくなるまでなんどもトライ。かなり溝に入って気絶した人も目覚めてすぐに突撃して行くという根性を見せてくれた。
「いやー、なかなかの粘りです!」
「そんな実況風に言わなくても……」
優のツッコミが飛んできたが、彼の視線は暮刃先輩に向いていた。
まだ息も上がっていないが少しだけ汗をかいてその頰に流れていた。少し下がったパーカーのチャックから鎖骨が見えた。
「うーん、暮刃先輩の色気どこから来るんだろ。俺も欲しい……」
「唯も割と色気あると思うけど」
「え、そう?」
優はツンデレだがたまに素直にぽろっと本音を言ってくれるのでおれはびっくりする。その横顔が何かを考えているようで、反射的に答えてるのかもしれない。
思わず優のほっぺを突くと、途端に固まる。
「何……」
不機嫌な顔でこちらを向いたけど、気にしない。
優は難しく考えるから。
「考えすぎちゃダメだよ」
「……ん」
素直にこくんと頷いた。いつもは優様モードだけどこの素直さというギャップは素晴らしいと親友は思っています。
「おお!瑠衣先輩ー!ガンバレー!」
秋が叫ぶと瑠衣先輩がピースサインを返してくれた。最後の力を振り絞って10人くらいで瑠衣先輩に仕掛けるもニッコニコで相手をぶっとばしている。その様は恐ろしいのにいい笑顔すぎてむしろ可愛い。おそるべき瑠衣先輩、彼の戦いに容赦はない。
「瑠衣先輩輝いてるね」
「ボコるの趣味って言ってたから」
「わあお……」
さすがだなぁ。振り切ってるなぁ。
どんどんフロアの中で立ち上がっている人が少なくなっていく。でもみんな幸せそうに倒れてて、やりきったという感情が表に出ている。先輩達とケンカできることがそれほど嬉しいのだろう。
「これは確かにいいチームになるよね」
秋の言葉に頷いた。みんながみんなやりたい事してて、しかもやりきってるなんて中々できる事じゃない。それを受け止めてくれる先輩達について行きたいと思うのは必然だ。
ついに式と桃花が一緒になって先輩達に挑み始めた。流石の2人も息は上がっているが、いまや不安そうな桃花の面影はなく、攻略を楽しむように先輩達に向かっていく。
ニヒルな笑みが飛び交った。
「何だよ、お前いい動きになったな」
「そんな余裕そうな人に言われても嬉しくない、です!」
氷怜先輩の拳を往なし、その懐に潜り込むその瞬間に式が後ろに回って氷怜先輩を狙った。
「オレらはー?」
その式に瑠衣先輩の脚が降りる。何とか腕で受け止めるも膝が降りてしまった。
「式、そこで流さないと」
「分かってるよ!」
桃花の注意にキレ気味に返す式。それでも桃花が怯むことはなかった。結局楽しんでいるのだ。その桃花にも後ろから暮刃先輩の拳がきたがちゃんと避けている。さすがだ。
ちらりと見えた桃花の顔が楽しそう。
「なんか愛犬が人見知りをしなくなった気分……」
「それ、桃花さんに言ったら複雑な顔すんだろな」
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