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fight!
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しおりを挟む眠気でぼんやりと秋と瑠衣先輩のやり取りを眺めていると、秋はお兄ちゃんみたいなのに、まるで世話してやってると言う雰囲気の瑠衣先輩に気付いた。こちらからすると2人とも微笑ましい限り。唯同様、個人的にこの2人も面白いのだが先輩がいる場で言う訳にはいかない。
俺はどうなのだろう。眠気でぼんやりしてて今日は頭の動きがいまいち遅い。
「眠たそう」
さらりと頰を撫でられて気持ちよくて目が閉じそうだ。
目の前でにっこりと微笑んだ暮刃先輩の視線が俺よりも後ろを捉えた。
「あの!」
ここにいると色んな人に声かけられるなぁと実感しながらも後ろを向いた。
またしても上から大勢が見下ろしている。
「お前らネロの……」
式の言葉で気づく、ネロの彼らはまだこの場になれていないのか佇まいが些か遠慮気味なのだ。
「どうかした?桃花なら向こうで話してたけど……」
「暮刃さん、こいつらが自分たちもお礼がしたいって」
団体の後ろから桃花さんがひょっこり出てきた。彼もまた少し申し訳なさそうに前に出てくる。
なんだかチームによって人間の特色が全く違う。桃花さん達のチームは見た目も派手な人は少なく、なんなら本当に不良なのか?と言うほど礼儀正しい人もいる。
「良いのに別にー、オレは今日の方が楽しみダシ?」
「本当に気にしないでくれ、君たちが入ってくれて嬉しいし」
トップの2人の言葉に安心したのか全員の雰囲気が和らいだ。桃花さんが守りたいって言っていた理由がよくわかるほどなんだか可愛い。俺が思うのもおかしな話だが。
「あ、あと、唯斗さんにもお礼がしたくて」
「唯なら……」
二階に顔を向けたが今2人を邪魔して良いものか。暮刃先輩に視線を向ければ彼もまた困った顔。秋が面白そうに俺にこそっと話す。
「どうする?2人があられもないことになってたら」
「どうもこうも……唯のカテゴリにエロいが加わる」
「ぶは!」
聞こえてしまった瑠衣先輩が笑い出した。相変わらずツボが浅いのか、すでにお腹が痛そうだ。
「2人とも何言ってくれちゃってんの……」
「あ、唯」
顔を真っ赤にした唯が氷怜先輩と立っていた。
「よく聞こえたな今の会話……」
苦笑気味の氷怜先輩が唯の頭を撫でた。2人ともなんだかスッキリした顔をしていたので、なんとなく唯の家庭環境を話したのかなと頭をよぎる。ああいうのは本人から聞いた方が良いよね。
ひとしきり笑った瑠衣先輩が意地悪そうにこう聞くのだ。
「ラブラブ出来たー?」
「ラブラブはしましたけど!」
したのかい。そこさらっと言ったら意味なくない?瑠衣先輩が何故か首を傾げた。
「え、この短時間で?」
「……なんもしてねぇよ、膝に乗せてただけだ」
この会話の意味に唯は一応気がついたらしい。すぐに真っ赤になると再び笑って転げ回る瑠衣先輩に、呆れたように笑う暮刃先輩。
「あ、でもぎゅーはしてもらいましたよ!」
唯が何故それを申告したのか、唯にとってぎゅーは別に恥ずかしく無いからだと俺と秋には分かる。
そんな事は知らない式はこれでもかと眉間にしわを寄せた。
わかるよ式、唯ってやっぱ頭おかしい。
そこ含めて好きだけどさとは言ってあげない。
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