sweet!!

仔犬

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battle!

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「秋、優、怪我は」

「大丈夫……行くなとは言わないけど」

「唯……」

「うん、大丈夫」


声にうまく抑揚が付けられなくて素っ気ない返事になってしまった。それでも既に窓枠に足をかけ飛び降りてしまったので後で謝ろう。壁の飾りと階段の手すりをを使って下に降りていく。心の中は落ち着いている。体が勝手に動いているようだ。

視界の真ん中で銃を持って不敵に笑う男が氷怜先輩によって殴られた。リュウジだ。マサトもヒカルも呆然としたまま動いていない。
殴られ横に倒れて、銃が誠司さんの足元に転がってきた。床に押しつぶされてもまだ笑っている。

「なんだ、当たらなかったのか」

狂ってるのはこの人だ。




「おい、唯斗ケガは!……唯斗?」

「おれは、大丈夫です。サクラ姉さんが怪我を……」

氷怜先輩はすぐにおれのいつもの雰囲気の違いに気づきしゃがむように目線を合わせてきた。

「許せない……」

「悪かった……お前らを傷つけない約束だったのに」

違う、氷怜先輩のせいじゃない。おれがサクラ姉さんを窓に近づけさせなければ良かった事だし、やっぱりそもそも撃ったあいつがどう考えても許せない。おれのブチギレに先輩は気づいているようだった。流石に撃つ気はなかったが足元の銃をそっと自分の手に持った。


「おれに任せてください」

その横から誠司さんがまるでおれの心情が分かっているように話し掛ける。その目に同じ気持ちを感じた。


「それ、貸してください」

「お前……」

リュウジに背を向けて誠司さんが氷怜先輩に向き合った。先輩は誠司さんの顔を数秒見て諦めたようにため息をつく。


「……好きにしろ」

「ちょっと、氷怜!誠司くん、彼様子が」

「唯ちん、危ないからこっち来ちゃダメだよ」

おれの肩を瑠衣先輩が押さえた。

ゆっくりと誠司さんがリュウジに向き直して目の前まで移動する。彼の言葉はゆっくりと、低く重い話し方だった。


「……アンタ達は俺の地位じゃ飽き足らず仲間まで脅して……それでも俺が耐えてどうにかなるだけなら良かった。でも、無関係の人やあまつさえ女性にまで怪我をさせた……」

「この期に及んでまだ女の心配してんのか?とんだ神経だなあおい!」


銃を構えて彼が言った。


「ああ、狂ってますもんね、貴方が」

ズドンと耳障りな音が響く。
反動で彼の身体がよろけた。



「なんだ、アタラナカッタノカ」


誠司さんの笑みにリュウジの顔から始めて恐怖が生まれた。顔のすぐ横の床にできた銃痕に目を見開いた。


「お、お前、まさか本当に……」

「次は当てる」

「おい、やめろ!!」


頭に向いた銃にやっと本気で打たれることがわかっようだ。もう一度指をかける。そこでおれいつのまにか瑠衣先輩の腕を外し、制止する声も聞かずに走り出した。

銃の音が響くよりも先におれが叫んだ。




「バーン!」




そう言いながらリュウジの鼻にキャンディを突っ込んでやった。
ちなみに棒の方。


いきなり目の前に現れたおれに誠司さんが驚いた顔をした。目を見開いて状況について行けてない、そんな顔だ。それでもおれの心は晴れやかだった。


「誠司さん、あなたは同士です!」

「え?」
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