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work!
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しおりを挟むあの後、先輩達のチームの人を紹介してもらった。おれは思う。あのチームは顔採用だ。
だって余すことなく美形美形美形の嵐。まるっとみんなアイドルをやったら一瞬で天下が取れそうだった。しかもみんな気さくで優しい。そして獅之宮先輩をめちゃくちゃ敬っていた。本当になんでみんな不良と呼ばれているのかわからない、と話せば天音蛇先輩が男はみんな狼だからと答えてくれたが意味深な発言でその時はよくわからなかった。
さらに最後に紹介された本田式くんには驚いた。彼はクラスメイトでおれの右隣りの席だ。イメージでは足が早く陸上部のエースで、性格は淡々と何事にも取り組み、物事ははっきり伝えるそんな人だ。そんな彼はおれ達を紹介されると珍妙な顔でこう言った。
「お前らか……」
「え、本田くん?それ、どっちの表情?いいの?悪いの?」
「……良くも悪くもない」
「本田くんの素直なとこおれは好きだよ」
「そういうとこが……」
何故か落胆した本田くんの肩を優と秋がポンと叩いて慰めていた。え?何?おれが悪いの?
「呼び方、式でいいから。俺もそうする。はい、連絡先交換して」
やはり淡々と物事を告げるとぽいっとスマホを渡される。勝手に登録しろということだろうか。talkieを見つけたので連絡先を登録。秋と優の連絡先ももちろん入れておいた。
スマホを返すと物凄い速さでスマホを弄る。するとポッケに入れたおれ達3人のスマホがバイブした。
「先輩達の連絡先な、あと俺たち用にグループ作ったから」
「はや!」
「なぁ、なんで式はチームに?」
秋が質問すると式は先輩達を見てこう言った。
「最高だなって思ったから」
その答えは百点満点で納得だ。
それからあっという間に1週間が過ぎた。
宣言した通り、バイト三昧なおれ達は今日も今日とて働いている。おれと秋と優はバイトも同じで、家から徒歩10分の場所、小さなカフェで働いている。オーナーは甘いマスクをもった穏やかな雷那春さん。年は30半ばの色香溢れるお人だ。
よく遊びに行くうちに気に入られ今ではバイトリーダーに。とは言え基本的にゆったりまったりなのだが。最近雑誌に載ったらしく来店が2倍になった。おれ達の他にもバイトが増えて店内は賑やかに。そのおかげで、増えたにも関わらず人手が足りずに毎日のように働いているわけだ。
メディアに載るというのはすごい事だと今更実感した。雑誌の注目はお洒落な空間とたくさんの種類のティーカップ。お客様にあったティーカップを見繕って差し上げる方式が心を掴んだらしい。
「お待たせいたしました。ダージリンティーでございます」
「ありがとうございます!新しいティーカップだ!可愛い~~」
春さんはティーカップやアンティーク物が好きで店内にも飾るもの専用だったりとにかくたくさんある。ちなみに飾ってあるやつもお客様に出すものやつも、さらっと数万円するものがあるのでおれ達は一つだって割ってはいけないと日々胸に誓っている。
「今日も女の子が喜んで、ここは最高だなぁ……」
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