君は殺人鬼

仔犬

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案外すぐに見つかった。

自分の家から駆け出してさらにカオの家から10分程度歩いたところに一軒家が建っていてその庭のガーデニングをしていたのだ。もう長くこの家に住んで居そうな感じの家。その庭をいじるおっさんは首にタオルをかけて地面の土に何かを埋めていた。


まさかこんなにあっさり見つかるとは思わず立ち尽くす俺をまた怪訝そうに下から見つめるおっさん。


「お前さん……この前の」

「おっさん、カオについて知ってるのか?」


敬語すら使えない。
もう気持ちが昂って切羽詰まったように要点しか聞けなくて、相手はさらに俺を怪しんだ。

「カオだあ……?」

「そう、カオの事なんか知って……」


いや、カオなんて呼んでるの俺だけだ。
熱い。しっかりしろ俺。深く呼吸を吸って落ち着くために大きめの声を出す。


「あー、あー、すみません、待ってください。ちょっと落ちくんで…………俺は成谷 好なりや こう、です。この前あいつの、空野 香からの こうの家覗いてたあんたに、カオの事を、教えてもらいたくて」

しどろもどろ、しかも走ったから汗だくの変質者な俺をおっさんは眉間にシワを寄せたままじっと見つめる。
昨日の今日じゃまだ体調も微妙なのか熱い上に何故か寒気がするし。ああ、なんかカオが変になってからツイてない気分。


「顔色、悪いぞ……」


おっさんの声が上からすると思ったら相手はすでに立ち上がっていた。案外この人近くに立つとでかい。低い声はなんだか呆れ気味で、それでも指は自分の家を指していた。


「倒れられたら困る、中入ってけ」

「え」

「話、聞きたいんだろ……アイツの」


案外良い人なのかも知れない。
固まるを俺を引っ張っておっさんは家の中に招き入れた。リビングはカオの家とは違って生活感があった。テレビ横にいくつか飾ってある写真には子供と奥さんらしき人物が写っている。

そこに座ってろと言われたソファも3人が座るには余裕の大きさだ。

木真 誠きま まこと

「え?」

「俺の名前、好きに呼べ」

「あ、木真さん……すみません突然」


台所に居る木真さんにペコリと頭を下げるとカランとグラスの音が聞こえてくる。


「麦茶しかねぇから」

「あ、ありがとうございます……」


手に持ったグラスを渡された。
氷がたくさん入っていた麦茶はよく冷えていて思考も少しスッキリした気がする。今更他人の家に突撃してしまった事実に自分がしでかした事とは思えない羞恥心がきた。
それでも木真さんはソファに座ると俺が聞きたい事を話しはじめた。



「何かあったんだろ、アイツと」





    
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