君は殺人鬼

仔犬

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もう、巻き込んじゃダメだよ。
でも好ならずっと一緒にいてくれるかもしれない。
きっと今までと一緒だよ。
好きなのになんで我慢するの、あんなに可愛いのに。
僕はいなくなってほしくない。


白い部屋はいつでも整然としている。白で戒めて赤で手錠をはめる。だけど、もうそれが意味なくしている。

初めて好を見た時、一目惚れだった。
同時にまた人を愛してしまうことに絶望した。

もちろん、俺が出てくる。
僕を無理やり押し込んで、お茶に誘って。しまいには家にまで誘って。少しならば好だって飽きて自然と居なくなるかと思ったのに、嫌ってくれれば良かったのに、まさか好がここまで僕を受け入れてくれるなんて思わなかったんだ。

ああ、好には此処にいてほしい。ずっと一緒にいてほしい。でもダメなんだ。俺がいる限り君がいなくなってしまう。でもやっぱり僕は……。


「……君と一緒にいたい」


うるさい。頭の中がぐちゃぐちゃだ。誰でもない。全部僕だ。俺を押し込めない。


「か、カオ?」

好が怯えたような目で僕を見ている。なんて言ったんだっけ。ああ、俺が殺してしまうって言ったんだ。しかも僕が一緒にいたいと言ってしまったんだ。ごめんね、意味がわからないよね。僕も、もうダメみたいなんだ。


「なんでも無いよ、大丈夫。何もなかったよ。好は何も聞いてない」

「ちょ、待って」

「どうかな、そろそろ立てそうかな。ああいや、タクシーを呼ぶよ。君は乗るんだよ。そして明日は病院に行ってね」

「カオ、なぁ!」

「そしてもう来ないで欲しい」

何を話しかけられても答えないと決めたら音が聞こえなくなった。好が必死に何かを叫んでいる。でも微笑むことしかできなくて、そうして数分で呼んだタクシーが家の前に到着した。

立てない好を抱き上げてタクシーまで運んで無理矢理押し込んだ。酔っているんだと適当に誤魔化して彼の住所を伝えれば運転手は怪訝な顔をしながらも発車した。



「さようなら」



僕が僕でいるうちに。
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